養育費はいつまで支払う?期間の変更や減額のケースについても解説

養育費はいつまで払うもの?

養育費の支払いはいつまで?

養育費の支払いはいつまでするのが一般的なのでしょうか。結論から言いますと、養育費の支払期間は一般に20歳までが目安となります。

養育費は、経済的・社会的に自立できない未成熟な子どもを対象に支払うお金です。経済的・社会的な自立とは、すなわち本人が社会人として独り立ちすることを指します。
そのため、大学進学の有無など個々人の事情によっても変わってきますが、2023年現在の養育費の支払期間としては、従来から長く成人年齢とされてきた20歳を一般的な目安と考えて良いでしょう。

ただし、養育費の支払期間自体は法律で一律に定められているものではありません。実際のところ、養育費をいつまで払うかは、当事者間の話し合いで決めることになります。

養育費は、子どもが自立するまでの間の教育費・生活費・医療費など、子どもの生活に必要な費用にあてられます。離婚後も子どもの親であることには変わりませんから、離れて暮らすことになった親にも養育費の支払い義務があるのです。

経済的自立のタイミングは子どもの進路による

子どもが社会的、経済的に自立するタイミングはさまざまです。高校卒業後就職して自立した生活を送ることもありますし、大学へ進学することで20歳を超えても自立していない場合もあります。

そのため、養育費の支払いも、子どもが高校や大学を卒業し、社会に出て就職・就業して自活可能となるまでは負担する責任は続きます。

20歳以上でも受け取れるケース

一般に20歳まで支払われる養育費ですが、20歳を超えた子どもでも必要があれば受け取れることがあります。

養育費は子どもが経済的・社会的に自立するまでの期間に必要な費用と考えられますから、一律20歳で区切るべきではないのです。

子どもが大学に進学する場合

子どもがすでに大学生という場合、通学しながら経済的に自立することは困難と考えられますから、20歳を超えても養育費を受け取れる可能性があるでしょう。

大学進学前であっても、進学する可能性が高く、両親の学歴・収入などから鑑みて大学卒業までの養育費を負担するべきと考えられる場合は20歳を超えても引き続き養育費を受け取ることが妥当と思われます。

病気・障害などの理由から自立が難しい場合

子どもの持病や障害が原因で自立した生活が困難な場合、20歳を超えても養育費はかかり続け、離れて暮らす親にも支払いの義務があると考えられます。

養育費は未成熟子(経済的・社会的に自立していない子)にかかるものですから、年齢はあくまで目安であって、自立が困難と認められた場合には継続して養育費を受け取れるのです。

成年年齢18歳引き下げによる養育費の支払い期間への影響

民法の改正により、成年年齢は従来の20歳から2021年から18歳に引き下げられました。
これにより18歳以上の子どもについては離婚の際に親権者を決める必要がなくなりましたが、養育費については別の問題になります。

18歳を越えても自立前の子どもなら養育費を受け取る権利がある

養育費は成人したら当然に不要になるわけではありません。未成熟子には必要なものです。
受取の基準は子どもが自立するかどうかで、18歳となった成年後もまだ経済的・社会的自立を果たしていない子どもの場合は、養育費を受け取る権利があります。
逆に、18歳成人で就職・就業し、自活をはじめたケースでは、養育費の支払いを終了するケースもあり得るでしょう。

また、法改正以前に養育費の支払いを「成人するまで」と取り決めをしていた場合も、20歳まで受け取れます。
これは、法改正以前の取り決め=成年年齢が20歳であることを前提とした取り決めであると考えられるためです。

再婚したら養育費はいつまで払う?減額は可能?

離婚した夫婦が別の相手と再婚しても、子どもにとっての親であることには変わりません。
支払う側は養育費を払い続ける必要がありますし、受け取る側は今まで通り請求できます。

養育費の減額が認められるケース

ただし、養育費の取り決め時に想定していなかった、生活状況の変化が発生した場合には養育費の減額が認められる場合があります。
具体的には、養育費を支払う親が失職し収入が現象した・病気や怪我、災害等で働けなくなった場合などがありえます。

当事者間の同意があれば減額は可能ですが、話し合いで解決しない場合は家事調停や家事審判の手続きが必要になります。
減額の手続きは弁護士へ相談して対応することをお勧めします。

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受け取る側が再婚し、子どもを養子縁組した

養育費を受け取る側の再婚相手と子どもが養子縁組した場合は、一緒に生活している養親(再婚相手)の扶養義務の方が実親よりも優先されます。
実親の扶養義務がなくなるわけではありませんが、減額や免除が認められるケースがあります。

支払う側が再婚し、再婚相手の子を養子縁組した

養育費を支払う側が再婚した場合、再婚相手の子どもと養子縁組をすると扶養しなければならない子どもが増えるため、支払う側の扶養負担の増加を理由として、別居の子に対する養育費の減額が認められるケースがあります。
ただし、再婚しただけでは養育費の支払い期間や金額は変化するものではありません。両親での話し合い、あるいは家事調停・審判等の手続きを通じて、減額を認めてもらうことが必要です。

大学進学時の養育費の支払い終期

子どもが大学へ進学した場合や、進学予定の子どもには卒業して自立するまでお金がかかります。ですから養育費の支払い終期も22歳の3月(大学卒業予定の月)とすることが妥当と考えられます。

ただし大学進学を予定していても必ずしも卒業までの間の養育費の支払い義務が認められるとは限りません。両親の経済状況などをふまえ、18歳・20歳までという取り決めをすることも多くあります。

子どもが自立するまでの間に十分な期間の支払いを受けられるよう、弁護士などの専門家へ相談して有利に交渉をすすめましょう。

養育費の支払い期間の変更は可能?

一度取り決めた養育費の支払い期間であっても、離婚当初の状況から変化があれば変更は可能です。

子どもが予定よりも早く仕事に就いた場合など、自立が早まった場合は、支払い期間を短縮できます。

一方で、子どもが当初予定していなかった大学への進学を希望した場合や、突然の病気やけがで療養が必要な場合などは、支払い期間を延長できます。

養育費の支払期間を一方的に終了された場合

養育費の支払いは、未成熟子に対して必要で、保護されるべきお金であるため、支払う側だけでの一方的な減額や終了はできません。

万が一支払う側の親が一方的に終了するとして支払いをストップした場合、強制執行(強制的に養育費を回収する手続き)を申し立てる権利があります。
ただし強制執行を利用するには家庭裁判所で作成した書面か公正証書が必要です。

公正証書がない場合には家事調停を申し立て、支払いを求めていくことになりますが、支払う側にお金がなくなっていることも少なくありません。
一度つまづいてしまうと交渉が難航するケースが多いのも養育費をめぐる問題の特徴です。

離婚協議書が公正証書かどうかが重要に

公正証書を作成しておけば、もしも養育費の支払いを一方的に打ち切られても、強制執行を利用すれば、支払う側の親の財産や給与を差し押さえ、未払い分を回収することができます。

養育費の未払いに備える意味、および親権・財産分与等についても、離婚協議での取り決めを相互に守らせる意味で、離婚時の話し合いでまとまった取り決めは公正証書の離婚協議書として作成しておくことが重要です。言った言わなかったでもめないために、取り決めた内容を公正証書にすることをおすすめします。

まとめ

養育費は、子が経済的・社会的に自立するまで支払われるべきもので、一般的な支払い期間の目安としては20歳が上げられます。
ただし、大学進学や子どもの病気・怪我・障害等の事情から20歳を越えても養育費の支払いが必要となるケースは多々あります。
両親は、養育費をいつまで支払うか、離婚時に話し合いで定めておくことが重要です。

養育費の受け取りは子どもの大切な権利です。子どもが両親の離婚によって生活に困窮することがないよう、離婚の際にきちんと話し合い、決めておきましょう。
適切な金額と期間を設定するために弁護士へ相談しながら決めることをお勧めします。

養育費の支払い期間の短縮や延長に伴う手続きなどをスムーズに進めるためにも、弁護士への相談をご検討ください。

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