離婚調停とは?進め方(流れ)や当日必ず聞かれる5つの質問、注意点を紹介!
- 監修記事
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弁護士法人アクロピース 赤羽支店
佐々木 一夫 弁護士
離婚調停に臨むにあたって、調停委員からの質問にしっかりと答えられるよう、準備をしておく必要があります。最初の調停日に聞かれる質問は、ほぼ決まっていて、そのときの回答をもとに個別の内容を聞かれることになります。自宅で事前に練習しておくと良いでしょう。
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離婚調停とは?
離婚調停とは、家庭裁判所において夫婦が夫婦間の問題について話しあう手続きのことです。正式名称を「夫婦関係調整調停」と言います。
調停なので家庭裁判所の調停委員が間に入って話を進めてくれます。相手と直接顔を合わせずに済むので、離婚問題のように感情的になりやすい問題でも、お互いが感情を抑えて冷静に話をしやすいです。
ただ、離婚調停はあくまで話合いの手続きなので、調停員から何らかの結論を強制されることはありません。話合いによってもお互いが合意することができなければ、調停は不成立になって終わってしまいます。その場合には、離婚訴訟をしないと離婚できません。
法律上の離婚原因がなくても離婚できる
離婚調停では夫婦の双方が離婚することに納得したら離婚ができるので、法律上の離婚原因がなくても離婚できます。
また、金銭支払いなどについても裁判所が金額を決定するわけではないので、当事者が自由に金額を定めることができます。通常の相場より高額にすることも低額にすることもできますし、支払い方法も一括だけではなく分割払いなどもできます。
このように、離婚調停は、家庭裁判所で行われる手続きではありますが、当事者が話し合いによりその希望によって柔軟に離婚条件等を決定することができます。
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離婚調停の流れ(進め方)は?
- 調停の申立
- 一回目の調停
- 二回目の調停(調停終了まで続く)
- 離婚調停の終了
おおまかに分けると、離婚調停は上記の4つの流れで進んでいきます。
離婚調停申立書が管轄の家庭裁判所に受理されると、自宅に第一回調停の場所や開始時刻が書いた通知書が届きます。
同じものが相手方にも送付されますが、当日は申立人待合室、相手方待合室と別室での待機となり、調停委員からも別々のタイミングで呼び出されるので顔を合わせなければならない心配もありません。
頻度は月1回を目安に開かれ、お互いが合意できる調停内容が固まれば成立となります。基本的には3~6回程度の調停で決着がつくケースが多いようです。
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離婚調停を有利に進めるにはリハーサルが大切!
本番さながらの事前練習で調停を成功に導く
調停を有利に進めるためには、一連の流れを自宅で予習することがとても大切です。「経験があるから大丈夫」という人は別ですが、ほとんどの人が調停は初めての経験でしょう。コンサートや演劇にもリハーサルがあるように、調停も事前に練習することで、落ち着いて調停に臨むことができます。
もし担当の弁護士が親身になってくれるタイプの人なら、弁護士を相手に練習できればベストです。それが無理なら、親族や気心の知れた友人に相手を頼み、本番さながらに何度かやってみましょう。これをやっておくだけでも、裁判所に行ったときに緊張がかなり和らぎます。
相手がどんな風に出てくるかも予測をする
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という諺がありますが、離婚調停の場合もまさにそれです。
「もしかしたら自分がこう言うと、相手はこう出てくるかもしれない。そうしたらこう言おう」というような予測をいくつか立て、弁護士と共に対処法を考えることが大切です。
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離婚調停で当日に必ず聞かれる5つの質問
【Q1】「2人の出会いや、結婚した経緯は?」
“別れることを説明するためのなれそめ”なので、楽しかった日々を長々と語る必要はありません。出会いのきっかけや結婚までの経緯を、あくまでも離婚の話へとつなげるプロローグとして話しましょう。
【Q2】「なぜ離婚を決意したのですか?」
調停の話し合いの根幹となる部分です。離婚を決意するに至る道筋を話し、「本当は離婚せずに頑張ろうと思っていたけれど、どうしてもできなかった」という気持ちが伝わるように語りましょう。離婚に至る道筋が走馬灯のように脳裏にイメージできるように、わかりやすく話すことが大切です。
ただし、感情がこもり過ぎて滔々と話し続けてしまうのはNG。あくまでも調停に必要なことを端的に話す姿勢が求められます。
【Q3】「夫婦関係が修復できる可能性はありますか?」
離婚するほどの一大事に見舞われながらも、二人の関係をなんとか修復しようと努力したということが、調停委員に伝わるように話しましょう。たとえ不貞やDVなどの事実があったとしても、「だからすぐに離婚を決めた」というのでは、説得力がありません。“夫婦関係を修復するようにここまで努力したけれど、やはり駄目だった”という努力の軌跡が、調停委員の心を動かします。
【Q4】「現在の夫婦生活の状況は?」
いまの夫婦生活の現状を、ありのままに伝えましょう。恥ずかしいからといって取り繕ったり、ごまかしたりしないことが大切です。調停委員は、調停が終わればもう会う必要もない相手です。調停委員自身も、修羅場の話は毎日のように聞いているので、「こんなことを言ったら驚くかもしれない」と思うようなことを言われても、ビクともしません。言いづらいような内容もあるかもしれませんが、調停で勝ち抜くためにも、オープンにすることが大切です。
【Q5】「財産分与・親権・養育費・慰謝料などに対する考えは?」
財産分与をどうするか、親権は誰がとるか、養育費や慰謝料はいくら欲しいか、婚姻費用はいくら必要かといった内容は、離婚調停のメインテーマともいえる部分です。自分の意思をはっきりと示し、「養育費は月に6万円欲しい」「自分が親権をとって子どもを育てたい」といったように、具体的に伝えましょう。
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離婚調停で調停委員と話すときの注意点
離婚調停は、調停委員の采配によってすすめられます。調停は当事者の話し合いであり調停委員から強制をされることはないとはいえ、調停委員が受けた心証で自分や相手方にどのような質問やアドバイスをするかは、事実上、調停の結果を大いに左右します。以下のことに気を付けて、気持ちを引き締めて調停に臨みましょう!
自分の意見が正しいことを、相手によくわかるように伝える
調停委員は、自分と離婚相手の双方に対して、個別に話をします。そのときにどちらの話をより正しいと思うかで、調停委員の心証は大きく異なります。
自分に正当性があることを伝える際に、調停委員から「共感」が得られるように話すことが重要です。たとえば、「いまこのような理由で離婚ができないでいるが、自分も相手もまだ30代なので、いまなら二人とも新しいパートナーと出会って幸せになれるかもしれない」というような内容を、しみじみと伝えたとしましょう。
調停委員がこれに共感してくれれば相手との話し合いの場で「君もまだ若いから、いま離婚することで新しいパートナーと出会うチャンスもでき、かえっていい人生が拓けてくるのではないか」というような説得をしてくれる場合があります。
このように自分だけでなく“相手にとってもプラスになる”という言い方が、調停委員を説得するコツです。
「何のために話しているのか」を明確にして話す
友達同士で話すときには、いつの間にか話の趣旨がすり代わってしまったとしても愛嬌といえるかもしれません。
しかし、離婚調停のような場では“話の目的を明確にする”ことが非常に重要です。たとえば、「なぜ自分が親権者であるべきなのか」「なぜ離婚したいのか」といった話の目的があり、そのための内容以外は一切話す必要はありません。
特に女性は話が思わず脱線してしまうことがありますが、調停の席ではそれが調停委員を苛立たせる原因になることもあります。調停委員に聞かれたことに対してのみ答えることを、徹底しましょう。
心をこめて誠実に伝える
調停委員に離婚理由を聞かれて、「あの人が暴力を振るうから、しかたなかったんです。本当にひどい人」などと愚痴をこぼすような言い方は、逆効果になってしまいます。
そうではなく自分も相手も幸せになるために離婚をすることが一番の方法であることを、心を込めて誠実に伝えることが大切です。
調停委員に限らず、誠実に物事を伝える人を応援しようと思うのは誰もが同じです。愚痴以前に信憑性がないような話をする場合には、言わずもがなでしょう。けっして嘘をつかず、真摯な気持ちで調停に臨みましょう。
“絶対に諦めない”という強さを見せることも必要
調停委員には「話をまとめる」という使命があるため、ある意味ずるがしこさがあるのも事実です。たとえば夫と妻の両方と話し合った後、「もうひと押しすれば、妻の方が先に折れるかもしれない」と思えば、そちらに説得にかかるということもあるのです。
その予防線を張るためにも、“この人は絶対に自分の主張を曲げそうにもない”という雰囲気を漂わせることも必要です。もちろんそのような態度が一切なく、誠を尽くしてくれる調停委員もいますが、どんな人に当たるかはわかりません。けっして隙を作らず、敢然とした態度で臨みましょう。
離婚調停の説明でおすすめの離婚理由
調停委員に「離婚するべき」という印象を持たせられる理由
離婚調停は、調停委員という第三者が離婚しようとしている夫婦の間に入り、アドバイスをしながら離婚すべきかどうか検討していく手続きです。
この手続きでは夫婦の話し合いに調停委員も参加するという形になるため、調停委員から夫婦関係について詳しく聞かれることになります。このうち、手続きの最初に調停委員から聞かれる事項として最も多いのが、離婚理由についてです。
なぜなら調停委員が離婚理由を聞き、明らかに離婚すべきだと印象を持った場合、財産分与など離婚に向けた決着をどうつけるのかに重点が置かれてきます。
他方、離婚すべきではないという印象を持った場合、修復に向けてどうしていくべきかという事項に重点が置かれてくるのです。
法定離婚事由があった事実
あなたが離婚したいと思った理由はいくつかあるかもしれません。その中で、離婚事由に該当する理由はあるでしょうか。
離婚事由は、民法770条に列挙されており、具体的には不貞行為、悪意の遺棄、生死が3年以上明らかでない、強度の精神病にかかり回復の見込みがない、その他婚姻を継続し難い重大な事由を指します。
不貞行為
不貞行為は、一般的な言葉で表せば、不倫行為が該当します。ただし、世間一般において、さまざまな行為をこの不倫行為と当てはめて用いていますが、法律上においての不貞行為に該当するのは、配偶者以外と肉体関係を持つという行為です。
こうしたことから、離婚を考えている配偶者が不貞行為をしていたという場合は、この理由を離婚理由として、できればその証拠を添えたうえで、調停の際に述べると離婚に持っていきやすくなるとされているのです。
悪意の遺棄
悪意の遺棄、という言葉は一般的に耳慣れないかもしれませんが、分かりやすい言葉で表現すると、見捨てるということです。また、この遺棄は、物理的な意味だけでなく、経済的な意味や精神的な意味も含まれると解釈されています。
夫婦としての義務を果たしていないと捉えることもできます。こうしたことから、意外に多くの行為が当てはまるようになっているのです。
具体的には、家に入れないという行為です。家に入れないというのは、外に放置するのですから、遺棄にあたります。遺棄というと、山奥に置き去りにするようなイメージを持つかもしれませんが、こうした行為も遺棄に該当します。さらに、理由がないにも関わらず同居を拒否することも、遺棄に該当します。
さらに、経済的な遺棄として、生活費を渡さない行為も該当するのです。本来であれば働くことができるのにも関わらず働かないという行為も経済的な遺棄に該当します。
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経済的なハラスメントを日常的にされていたという場合は、この理由に引きつけて離婚理由を述べるようにするとよいでしょう。
3年以上生死が明らかでない
3年以上、生きているのか死んでいるのか分からないという場合に離婚が認められていますが、これは、失踪宣告に近い制度になります。調停を用いて離婚をするような場合、相手がどこにいるのか判明しているので、この理由に即すことは困難でしょう。
強度の精神病にかかり回復の見込みがない
配偶者が強度の精神病にかかっており、それが回復の見込みがないような場合に離婚できるとする法定離婚事由です。ご自身が強度の精神病にかかっている場合ではありませんので、注意が必要です。
もっとも、回復の見込みがないという判断は、医師の見立てなど、慎重に検討されることになります。なぜこのような制度があるのか、といいますと、精神病にかかり回復の見込みがなければ、夫婦として義務を果たせないためです。
回復できるのならば回復後に夫婦として義務が果たせるようになります。しかし、義務が果たせないような場合にも、健康な相手方の配偶者に夫婦としての義務を一方的に負わせるのは酷であるため、離婚が認められているのです。夫婦の相互扶助義務が果たせないという客観的な証拠も必要になるでしょう。
その他婚姻を継続し難い重大な事由
その他婚姻を継続し難い重大な事由は、夫婦として続けていくことができない理由が該当します。これ以上具体的なことは明記されていませんので、包括的な理由になります。裁判で離婚が争われたとき、この理由に該当するかどうかは、具体的な証拠などを用いて具体的に判断されていきます。
そのため、調停の際に、ここの規定に則して理由を述べたつもりでも、調停委員からすると、当てはまらないと判断される場合もありますので、この理由に即す場合は、弁護士に相談して、どのように理由を述べるのがいいのか慎重に判断していく必要があるでしょう。
もっとも、この事由に該当する具体例としては、モラルハラスメントやDV、長期間の別居状態で夫婦関係が破綻している、配偶者の薬物依存、夫婦生活を継続できないほど熱心な宗教活動、浪費、性の嗜好が合わないなどという場合です。
このようにある程度従来から具体的に判断されている理由に当てはまるのならば、離婚理由として良いといえるでしょう。こうした理由から、婚姻生活を続けることができない、と示すことが重要です。
離婚調停をスムーズに進めたいなら弁護士への相談がベスト
離婚調停をする際は今回説明した離婚のための話し合いだけでなく、子どもがいる場合は養育費、不貞行為があった場合は慰謝料、そして共有財産の財産分与など様々なことを話し合う必要があります。
離婚調停を早く済ませたいからと言ってこの辺りのやり取りを急いでしまうと、将来的に自分や子どもが経済的に困窮する可能性が高いです。
しかし素人ではその辺りの知識がないため具体的にどう請求をすれば良いのか分からなかったり、慰謝料や養育費の相場もどれぐらいの金額なのか分からなかったりします。
そんな時に役立つのが離婚弁護士です。弁護士は離婚の準備はもちろん調停の依頼も引き受けますし、個人で対応するよりも確実に有利に話を進めることが可能です。
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特に離婚調停で決着がつかないのが分かっており、今後裁判を検討している方は離婚弁護士を利用するべきでしょう。
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