離婚調停とは?調停の流れや費用、メリットついて解説

離婚調停の流れ協議離婚がうまくいかず話がまとまらない場合、裁判所を介して離婚の話し合いを進める離婚調停の申し立てを検討することになります。

離婚調停に臨むにあたって、調停委員からの質問にしっかりと答えられるよう、準備をしておく必要があります。

最初の調停日に聞かれる質問は、ほぼ決まっていて、そのときの回答をもとに個別の内容を聞かれることになります。自宅で事前に練習しておくと良いでしょう。

離婚調停とは?

離婚調停とは、家庭裁判所において夫婦が夫婦間の問題について話し合う手続きのことです。正式名称を「夫婦関係調整調停」と言います。

調停なので家庭裁判所の調停委員が間に入って話を進めてくれます。
相手と直接顔を合わせずに済むので、離婚問題のように感情的になりやすい問題でも、お互いが感情を抑えて冷静に話をしやすいです。

ただ、離婚調停はあくまで話合いの手続きなので、調停員から何らかの結論を強制されることはありません。

話し合いによってもお互いが合意することができなければ、調停は不成立になって終わります。
その場合には、離婚訴訟をしないと離婚できません。

法律上の離婚原因がなくても離婚できる

離婚調停では夫婦の双方が離婚することに納得したら離婚ができるので、法律上の離婚原因がなくても離婚できます。

また、金銭支払いなどについても裁判所が金額を決定するわけではないので、当事者が自由に金額を定めることができます。
通常の相場より高額にすることも低額にすることもできますし、支払い方法も一括だけではなく分割払いなどもできます。

このように、離婚調停は、家庭裁判所で行われる手続きではありますが、当事者が話し合いによりその希望によって柔軟に離婚条件等を決定することができます。

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離婚調停手続きの流れ

離婚調停の申し立て方法

離婚調停の申し立てを行った後、手続きはどのような流れで進んでいくのか、ご説明します。

離婚調停は、おおまかに分けると下記の4つの流れで進んでいきます。

  1. 調停の申立
  2. 一回目の調停
  3. 二回目の調停(調停終了まで続く)
  4. 離婚調停の終了

離婚調停の申し立て~調停期日の通知

調停申立書が受け付けられると、しばらくして自宅宛に裁判所から期日の通知書が届きます。

そこには、第一回の調停期日の日程と時刻が書いてあります。

同じ頃、相手にも期日の通知書が届いています。

一回目の調停

第一回の期日に行くと、通常は相手も来ています。

相手とは別々の待合室で待機することとなり、調停委員から、互い違いに呼出を受けます。
別々のタイミングで呼び出されるので、裁判所内で顔を合わせる心配もありません。

こちらの意見は、調停委員を通じて相手に伝えてもらいますし、相手の意見は調停委員を通じてこちらに伝えられます。

このように、伝言ゲームのような形でお互いが話し合いをすすめるのが主な調停手続きです。

一回の調停期日は、平日の午前または午後の2~3時間程度であり、その日に合意ができなければ、次回の期日が入れられます。

調停は月1回程度、3~6回くらいで終わるのが一般的

調停は、月に1回程度開かれるのが標準的です。

回数については、ケースによって異なりますが、だいたい3回~6回くらいで終わることが多いです。

調停成立後、調停調書を役所に提出して手続き完了

調停において、夫婦双方が合意できると、その内容で調停が成立します。

すると、後日自宅に調停調書が届くので、それを役所に持っていったら離婚届ができます。

金銭支払いを約束した場合には、その内容にしたがって支払いを受ける(行う)ことになります。

離婚調停に相手が来ないとどうなる?

離婚調停を行うとき、相手が調停に来なかったらどうなるのかと心配する人が多いです。

調停は、お互いが話合いによって離婚問題を解決する手続きなので、相手が調停に来なければ、話を進めることが出来ません。

相手が調停に来ない場合には、基本的に何もできずその日の調停が終わってしまいます。

書記官が相手に電話してくれることがある

相手の電話番号がわかっている場合には、裁判所の書記官から相手に電話してもらえることもあります。

相手が電話に出て「次は行きます」などと言うのであれば、日程を調整して次回期日を入れます。

その期日に相手が来たら、その後は普通通り調停を進めていくことが出来ます。

相手が来ないことが続くと不成立になる

これに対し、電話などをしても相手が全く対応しないことがあります。

このようなケースでも、1回で離婚調停を不成立にするのではなく、次の期日を入れることが多いです。

2回目も同じように相手が来なかったら、そのときには不成立になることが普通です。

不成立になったら、相手に対して離婚訴訟を行うことができますし、離婚訴訟であれば、相手が対応しないとその分相手が不利になるだけなので、こちらの有利に離婚を勧めることができます。

このように、離婚調停で相手が来ないとしても、いずれは不成立になって裁判で離婚ができるので、さほど心配をする必要はありません。

離婚調停が不成立になった後の流れと対策

離婚調停は、夫婦の間に第三者である調停委員が間に入り争いの解決を図る手続きです。

しかし、調停委員の判断は当事者を拘束しないため、夫婦が合意しなければ争いは解決せず、結果的に調停不成立と判断され、調停が終了してしまいます。

離婚調停が不成立となった場合、その後の手続きは、

  • 離婚裁判に移行する
  • 協議離婚を試す
  • 審判離婚に移行する

の3通りのうちから選択することになります。
なお、離婚裁判へ移行するのが多くなっています。

離婚裁判

離婚裁判は、裁判制度を利用して、裁判官に判断してもらう手続きになります。

離婚調停が不成立になってから2週間以内に離婚裁判を提起することで、離婚調停の申立手数料を訴訟提起の手数料に充てることが可能になっています。

裁判の場合、判決に納得がいかなくても従わなければならないため、否応なしに手続きが終了となります。

ただし、証拠の提出など一般的な裁判の手続きに則って行う必要があるため、弁護士に依頼する必要があります。

協議離婚

調停の際に、相手の考えが明確になったため、改めて話し合いで解決を図ることもできます。

この話し合いで解決すれば、争いは終了します。

審判離婚

例外的な手続きとして実施される審判離婚は、裁判官が適当な場合と判断した場合に実施されます。

たとえば、裁判手続きは長期間に及ぶため、子どもにデメリットが大きい場合などのみ、審判を用いて条件の決定などを行います。

ただし、当事者に不服申し立ての権利があるため、これがなされると審判の効力が失われ、結局裁判手続きに移行することになります。

こうしたことから、実務ではほとんど用いられていないとされています。

離婚調停を行う6つのメリット

では、離婚調停をすると、何かメリットはあるのでしょうか?以下で、順番に見てみましょう。

相手と顔を合わせないので冷静に話ができる

離婚調停のメリットとして、まずは相手と顔を合わさないので冷静に話を進められることがあります。

夫婦が自分達で話をしていると、どうしても感情的になって、話を進めるのが難しくなりがちです。
必要な離婚の取り決めができず、単なる喧嘩になってしまう例もあります。

そこで、離婚調停をすると、調停委員を介する形になるので、相手と直接話をしません。
まったくの第三者が間に入るので、お互いが感情的になりにくく、話を進めやすくなります。

柔軟に解決できる

離婚調停の良い点は、裁判所を利用する手続きではありながら、柔軟に解決ができる点です。

訴訟になると、裁判官が法的な観点から何もかも決定してしまうので、硬直的な判断になりますが、離婚調停なら当事者が自由に決められます。
当事者同士の話し合いを、調停委員が手伝ってくれる、という程度のイメージです。

離婚原因がなくても離婚ができますし、相手に有責性がなくても多額の離婚解決金を支払ってもらうことなどもできます。

財産分与の割合も、2分の1ずつにこだわらず、自由に分け合うことができます。

調停委員が間に入ってくれるので、相手と対等に話ができる

夫婦が離婚の話合いをするとき、DV事案などのケースでは、被害者側はかなり不利になります。

このような場合、妻が離婚話を持ち出したら、それだけで夫による激しい暴力が始まったりしますし、モラハラ事案でも、妻が離婚したいというと、夫が延々と説教をはじめて一切離婚話が進まなかったりします。

このように、夫婦が自分達で話しあうと対等に話ができない事案では、離婚調停を利用するメリットがあります。

調停では、調停委員が間に入ってくれますし、法的な知識を持った裁判官が関わってくれるので、適切な方向で話を進めることができます。

離婚条件を漏らさず取り決めできる

離婚調停をすると、離婚に必要なことを漏らさず取り決めできるメリットがあります。

夫婦が離婚するときには、離婚だけではなく子どもの養育費や慰謝料、財産分与、年金分割など、いろいろな取り決め事項があります。

ただ、協議離婚するときには離婚と親権者だけ決めれば良いので、その他の条件が無視されることがあります。

そうなると、離婚後にそれらの話合いが必要になり、紛争が蒸し返されてしまうのです。

ここで、離婚調停を利用すると、通常はそのケースで必要な財産分与や慰謝料、養育費などの問題をすべて一緒に決定することになるので、漏れが発生しません。

調停調書が作られるので、強制執行などの効果がある

離婚調停によって合意が成立したら、調停調書が作成されます。

調停調書は裁判所で作成される文書で、強制執行力を持っています。強制執行力とは、差押えをするための効力、ということです。
つまり、調停調書があると、相手がその内容にしたがった支払をしない場合に相手の給料や財産を差し押さえることができます。

協議離婚の場合、慰謝料や財産分与の支払いを相手と合意しても、それを単なる離婚合意書にしかしないケースが多いです。

そうなると、相手が約束とおりにお金を支払ってくれない場合、すぐに差押えをすることができません。
まずは訴訟や調停をして、合意を成立させるか判決をもらってからでないと、強制執行はできないのです。

調停や訴訟をしている間に相手が逃げてしまったり財産を隠してしまったり、自己破産してしまったりするおそれもあります。

これに対し、調停離婚によって調停調書が作成されていたら、すぐに強制執行ができるので効果的に支払いを受けることができます。

DV事案の場合には配慮してもらえる

DV
離婚調停では、相手からDV被害を受けていた事案などでは特別の配慮をしてもらうことができます。

通常のケースの場合

通常のケースでは、調停委員が1つの部屋で待機しており、当事者はそれぞれ別の部屋に待機して、それぞれが入れ替わりで調停委員の部屋に出入りして話を進めることになります。
この方法でも、通常は相手と顔を合わせずに済みます。

DV事案の場合

通常のケースと同様の方法をとると、DV事案の場合などには、相手が待合室に押しかけてきて暴力を振るうおそれなどがあります。
また、裁判所の帰りに後をつけられて、家がバレてしまうかもしれません。

そこで、DVなどの特殊事案においては、当事者それぞれが別々の部屋に待機していて、調停委員が移動する形にします。
そうすると、廊下などで相手とすれ違うこともありませんし、相手が押しかけてくることもありません。また、行きや帰りの時間もずらしてもらうことができます。

離婚調停のやり方を事案に応じて工夫することで、DV夫(妻)による帰り道での尾行や追跡・自宅特定などを防止することができます。

2025年までに離婚調停もIT化、ウェブ会議での離婚成立が可能に

2022年5月18日には、民事裁判手続きのIT化を定める改正民事訴訟法が参議院本会議で成立。
2025年までに段階的なIT化が進められ、離婚調停も離婚成立をウェブ会議で行えるようになることが決まりました。

従来の離婚調停では、調停の途中段階までは電話会議が認められていたものの、最終的な離婚成立時には夫・妻双方の裁判所への出頭が必要というルールでした。
協議中の夫・妻両者が最も接近するタイミングとなるため、DV事案の場合、離婚を不服に感じるDV夫(妻)からの危害リスクを避けるため、離婚成立日に非常に慎重な対応が求められていました。

こうした実態もふまえ、ITの利活用で離婚調停は、今後さらに安心して行える手続きへと変わっていく見込みです。

離婚調停を弁護士に依頼するメリット

弁護士

離婚調停を有利に進めるには、正しい知識とそれをうまく伝える能力が必要ですが、このようなことは、専門知識を持たない一般の人にはなかなか難しいものです。

離婚調停にどう対応するとよいのか不安を感じる人は、離婚調停を弁護士に依頼することもできます。

以下で、離婚調停を弁護士に依頼するメリットをご説明します。

交渉を有利に進めてくれる

弁護士に依頼すると、まず、交渉を有利に進めてくれます。

弁護士は交渉のプロなので、離婚調停の話の進め方にも工夫して、相手の出方などを予測しながらその都度適切な対応をとります。

離婚調停が有利になるよう交渉を進めてくれます。

調停委員が話を聞いてくれやすい

調停委員も話を聞いてくれやすいです。

当事者が自分で説明しようとしてもうまく説明出来ない場合があります。

一方、弁護士は説明することが仕事です。依頼者の気持ちや希望を代弁する能力が高く、調停委員にしっかり伝えてくれるので、依頼者の希望が実現されやすくなります。

手間がかからない

弁護士に離婚調停を依頼していると、手続きを弁護士が全部してくれるので、依頼者は非常に楽になります。

申立書の作成、収入印紙の購入、裁判所への提出、期日のやり取りなどすべて弁護士がしてくれるので、依頼者は煩わしい離婚調停の手続きから解放されます。

安心感があってストレスがなくなる

法律のプロである弁護士が自分の味方になってくれているという安心感をもって離婚調停に臨めます。

離婚問題を抱えて大きなストレスになっている場合でも、弁護士がついてくれていると思うと精神的に非常に楽になります。

離婚問題のせいでうつ状態になっていても、弁護士に対応を依頼してしばらくすると、だんだん元気になってくることがあります。

間違った判断をせずに済む

弁護士に対応を任せていたら、間違った判断をすることを避けられます。

離婚調停では、相手から条件提示をされたときに、それを受け入れるかどうか決めないといけません。

このとき、依頼者は素人ですから、それが相場と比べてよい条件になっているのかそうでないのかについて、判断ができません。
知らない間に不利な条件を受け入れてしまうおそれもあります。

ここで、弁護士は離婚問題の法的な考え方を知っているので、依頼者に不利になる条件を受け入れることがありません。

相手から不当な条件の提示があってもそれを断ることができますし、むしろこちらから有利な条件提示を行うことができるので、依頼者の利益を実現できます。

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離婚調停の手続きに発生する費用

収入印紙代

離婚調停には1枚1,200円の収入印紙が必要です。郵便局やコンビニで購入することができます。

戸籍謄本取得費用

離婚調停には1通450円の戸籍謄本を取得する必要もあります。

こちらは本籍のある市区町村の役所に行き、申請をすることで取得可能です。

切手代

大まかな家庭裁判所によって異なるのですが、およそ800円の切手代も必要になります。

家庭裁判所によっては種類の指定があったりするので、事前に確認を取っておくと安心でしょう。

住民票取得費用

離婚調停には住民票も必要です。こちらは1通250円で発行可能です。

最近は市区町村の役場だけでなく、コンビニで取得可能なケースも増えています。

相談費用

家庭裁判所や地方自治体に相談する場合は基本的に無料です。

ただし、離婚調停への対応を弁護士に依頼する場合は一定の相談費用が発生します。

その他諸費用

基本的には上記の費用しかかかりませんが、婚姻費用の分担請求や不貞行為があった場合の慰謝料、子どもがいる場合の養育費などの請求も合わせて行う場合、別途印紙代が発生します。

  1. 婚姻費用分担請求:1,200円
  2. 慰謝料請求:1,200円
  3. 財産分与請求:1,200円
  4. 養育費請求:1,200円
    子ども一人につき1枚必要

離婚調停を有利に進めるにはリハーサルが大切!

離婚調停の進み方

本番さながらの事前練習で調停を成功に導く

調停を有利に進めるためには、一連の流れを自宅で予習することがとても大切です。

「経験があるから大丈夫」という人は別ですが、ほとんどの人が調停は初めての経験でしょう。
コンサートや演劇にもリハーサルがあるように、調停も事前に練習することで、落ち着いて調停に臨むことができます。

もし担当の弁護士が親身になってくれるタイプの人なら、弁護士を相手に練習できればベストです。
それが無理なら、親族や気心の知れた友人に相手を頼み、本番さながらに何度かやってみましょう。

これをやっておくだけでも、裁判所に行ったときに緊張がかなり和らぎます。

相手がどんな風に出てくるかも予測をする

相手の出方の予測をいくつか立て、弁護士と共に対処法を考えることが大切です。

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という諺がありますが、離婚調停の場合にも相手の動きを知ることは重要です。

離婚問題に強い弁護士は、離婚協議の中でどういう状況に対して、どういうリアクションが来るかを、経験上知っています。

弁護士のアドバイスを受けることで、自分の主張に対して予想される相手のリアクションを前立って想定した上で「相手がこう出てきたらこう言おう」と対処法をあらかじめ考えておくことが可能です。

離婚調停で当日に必ず聞かれる5つの質問

調停質問

【Q1】「2人の出会いや、結婚した経緯は?」

“別れることを説明するためのなれそめ”なので、楽しかった日々を長々と語る必要はありません。

出会いのきっかけや結婚までの経緯を、あくまでも離婚の話へとつなげるプロローグとして話しましょう。

【Q2】「なぜ離婚を決意したのですか?」

調停の話し合いの根幹となる部分です。

離婚を決意するに至る道筋を話し、「本当は離婚せずに頑張ろうと思っていたけれど、どうしてもできなかった」という気持ちが伝わるように語りましょう。

離婚に至る道筋が走馬灯のように脳裏にイメージできるように、わかりやすく話すことが大切です。

ただし、感情がこもり過ぎて滔々と話し続けてしまうのはNG。あくまでも調停に必要なことを端的に話す姿勢が求められます。

【Q3】「夫婦関係が修復できる可能性はありますか?」

離婚するほどの一大事に見舞われながらも、二人の関係をなんとか修復しようと努力したということが、調停委員に伝わるように話しましょう。

たとえ不貞やDVなどの事実があったとしても、「だからすぐに離婚を決めた」というのでは、説得力がありません。

“夫婦関係を修復するようにここまで努力したけれど、やはり駄目だった”という努力の軌跡が、調停委員の心を動かします。

【Q4】「現在の夫婦生活の状況は?」

いまの夫婦生活の現状を、ありのままに伝えましょう。
恥ずかしいからといって取り繕ったり、ごまかしたりしないことが大切です。

調停委員は、調停が終わればもう会う必要もない相手です。

調停委員自身も、修羅場の話は毎日のように聞いているので、「こんなことを言ったら驚くかもしれない」と思うようなことを言われても、ビクともしません。

言いづらいような内容もあるかもしれませんが、調停で勝ち抜くためにも、オープンにすることが大切です。

【Q5】「財産分与・親権・養育費・慰謝料などに対する考えは?」

財産分与をどうするか、親権は誰がとるか、養育費や慰謝料はいくら欲しいか、婚姻費用はいくら必要かといった内容は、離婚調停のメインテーマともいえる部分です。

自分の意思をはっきりと示し、「養育費は月に6万円欲しい」「自分が親権をとって子どもを育てたい」といったように、具体的に伝えましょう。

離婚調停で調停委員と話すときの注意点

離婚調停は、調停委員の采配によってすすめられます。

調停は当事者の話し合いであり調停委員から強制をされることはないとはいえ、調停委員が受けた心証で自分や相手方にどのような質問やアドバイスをするかは、事実上、調停の結果を大いに左右します。

以下のことに気を付けて、気持ちを引き締めて調停に臨みましょう!

自分の意見が正しいことを、相手によくわかるように伝える

調停委員は、自分と離婚相手の双方に対して、個別に話をします。
そのときにどちらの話をより正しいと思うかで、調停委員の心証は大きく異なります。

自分に正当性があることを伝える際に、調停委員から「共感」が得られるように話すことが重要です。

たとえば、「いまこのような理由で離婚ができないでいるが、自分も相手もまだ30代なので、いまなら二人とも新しいパートナーと出会って幸せになれるかもしれない」というような内容を、しみじみと伝えたとしましょう。

調停委員がこれに共感してくれれば相手との話し合いの場で「君もまだ若いから、いま離婚することで新しいパートナーと出会うチャンスもでき、かえっていい人生が拓けてくるのではないか」というような説得をしてくれる場合があります。

このように自分だけでなく“相手にとってもプラスになる”という言い方が、調停委員を説得するコツです。

「何のために話しているのか」を明確にして話す

友達同士で話すときには、いつの間にか話の趣旨がすり代わってしまったとしても愛嬌といえるかもしれません。

しかし、離婚調停のような場では“話の目的を明確にする”ことが非常に重要です。

たとえば、「なぜ自分が親権者であるべきなのか」「なぜ離婚したいのか」といった話の目的があり、そのための内容以外は一切話す必要はありません。

中には主張に夢中になるあまり話にが思わず脱線してしまう人もいますが、調停の席ではその脱線が調停委員を苛立たせる原因になることもあります。

調停委員に聞かれたことに対してのみ答えることを、徹底しましょう。

心をこめて誠実に伝える

調停委員に離婚理由を聞かれて、「あの人が暴力を振るうから、しかたなかったんです。本当にひどい人」などと愚痴をこぼすような言い方は、逆効果になってしまいます。

そうではなく自分も相手も幸せになるために離婚をすることが一番の方法であることを、心を込めて誠実に伝えることが大切です。

調停委員に限らず、誠実に物事を伝える人を応援しようと思うのは誰もが同じです。

愚痴以前に信憑性がないような話をする場合には、言わずもがなでしょう。けっして嘘をつかず、真摯な気持ちで調停に臨みましょう。

“絶対に諦めない”という強さを見せることも必要

調停委員には「話をまとめる」という使命があるため、ある意味ずるがしこさがあるのも事実です。

たとえば夫と妻の両方と話し合った後、「もうひと押しすれば、妻の方が先に折れるかもしれない」と思えば、折れそうな方の説得にかかるということもあるのです。

その予防線を張るためにも、“この人は絶対に自分の主張を曲げそうにもない”という雰囲気を漂わせることも必要です。

もちろんそのような態度が一切なく、誠を尽くしてくれる調停委員もいますが、どんな人に当たるかはわかりません。
けっして隙を作らず、敢然とした態度で臨みましょう。

離婚調停の説明で効果的な離婚理由

「離婚すべきか否か」離婚理由は調停委員の印象に大きく影響する

離婚調停は、調停委員という第三者が離婚しようとしている夫婦の間に入り、アドバイスをしながら離婚すべきかどうか検討していく手続きです。

この手続きでは夫婦の話し合いに調停委員も参加するという形になるため、調停委員から夫婦関係について詳しく聞かれることになります。

このうち、手続きの最初に調停委員から聞かれる事項として最も多いのが、離婚理由についてです。

なぜなら調停委員が離婚理由を聞き、明らかに離婚すべきだと印象を持った場合、財産分与など離婚に向けた決着をどうつけるのかに重点が置かれてきます。

他方、離婚すべきではないという印象を持った場合、修復に向けてどうしていくべきかという事項に重点が置かれてくるのです。

法定離婚事由に該当している事実があると効果的

あなたが離婚したいと思った理由はいくつかあるかもしれません。その中で、離婚事由に該当する理由はあるでしょうか。

離婚事由は、民法770条に列挙されており、具体的には

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 生死が3年以上明らかでない
  • 強度の精神病にかかり回復の見込みがない
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

を指します。

不貞行為

不貞行為は、一般的な言葉で表せば、不倫行為が該当します。

ただし、世間一般において、さまざまな行為をこの不倫行為と当てはめて用いていますが、法律上においての不貞行為に該当するのは、配偶者以外と肉体関係を持つという行為です。

こうしたことから、離婚を考えている配偶者が不貞行為をしていたという場合は、この理由を離婚理由として、できればその証拠を添えたうえで、調停の際に述べると離婚に持っていきやすくなるとされているのです。

悪意の遺棄

悪意の遺棄、とは、分かりやすい言葉で表現すると「見捨てる」ということです。

また、この遺棄は、物理的な意味だけでなく、経済的な意味や精神的な意味も含まれると解釈されています。

夫婦としての義務を果たしていないと捉えることもできます。こうしたことから、意外に多くの行為が当てはまるようになっているのです。

具体的には、家に入れないという行為です。
家に入れないというのは、外に放置するのですから、遺棄にあたります。

遺棄というと、山奥に置き去りにするようなイメージを持つかもしれませんが、こうした行為も遺棄に該当します。

さらに、理由がないにも関わらず同居を拒否することも、遺棄に該当します。

生活費を渡さない行為も経済的な遺棄のひとつです。

本来であれば働くことができるのにも関わらず働かないという行為も経済的な遺棄に該当します。

経済的なハラスメントを日常的にされていたという場合は、この理由に引きつけて離婚理由を述べるようにするとよいでしょう。

3年以上生死が明らかでない

3年以上、生きているのか死んでいるのか分からないという場合に離婚が認められていますが、これは、失踪宣告に近い制度になります。

調停を用いて離婚をするような場合、相手がどこにいるのか判明しているので、この理由に即すことは困難でしょう。

強度の精神病にかかり回復の見込みがない

配偶者が強度の精神病にかかっており、それが回復の見込みがないような場合に離婚できるとする法定離婚事由です。

ご自身が強度の精神病にかかっている場合ではありませんので、注意が必要です。

もっとも、回復の見込みがないという判断は、医師の見立てなど、慎重に検討されることになります。

なぜこのような制度があるのか、といいますと、精神病にかかり回復の見込みがなければ、夫婦として義務を果たせないためです。

回復できるのならば回復後に夫婦として義務が果たせるようになります。

しかし、義務が果たせないような場合にも、健康な相手方の配偶者に夫婦としての義務を一方的に負わせるのは酷であるため、離婚が認められているのです。
夫婦の相互扶助義務が果たせないという客観的な証拠も必要になるでしょう。

その他婚姻を継続し難い重大な事由

その他婚姻を継続し難い重大な事由は、夫婦として続けていくことができない理由が該当します。

これ以上具体的なことは明記されていませんので、包括的な理由になります。
裁判で離婚が争われたとき、この理由に該当するかどうかは、具体的な証拠などを用いて具体的に判断されていきます。

そのため、調停の際に、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」の規定に則して理由を述べたつもりでも、調停委員からすると、当てはまらないと判断される場合もあります。
この理由に即す場合は、弁護士に相談して、どのように理由を述べるのがいいのか慎重に判断していく必要があるでしょう。

もっとも、この事由に該当する具体例としては、

  • モラルハラスメントやDV
  • 長期間の別居状態で夫婦関係が破綻している
  • 配偶者の薬物依存
  • 夫婦生活を継続できないほど熱心な宗教活動
  • 浪費
  • 性の嗜好が合わない

などという場合です。

上記のように、従来からある程度具体的に判断されている理由に当てはまるのならば、離婚理由として入れても良いといえるでしょう。
こうした理由から、婚姻生活を続けることができない、と示すことが重要です。

まとめ

離婚調停をスムーズに進めたいなら弁護士に相談を

日本では協議離婚が多いとは言っても、離婚するために調停が必要になることは多いです。
このような場合、自分に有利になるように離婚調停をすすめるには、弁護士に対応を依頼する必要があります。

弁護士に調停を依頼したら、面倒な手続き関係をすべて任せることができますし、間違った判断をすることもなく、不利になることもありません。

DVやモラハラなどの事案で相手に対して恐怖間を持っているときにも、弁護士が味方になってくれていたら安心感が強いです。
弁護士がついていると、調停委員も話を聞いてくれやすいですし、依頼者のストレスも軽減できます。

このように、離婚調停をスムーズにすすめたいなら、弁護士に対応を依頼することが大切です。

今、夫婦間の問題を抱えていて離婚調停をしようと思っている人や、すでに離婚調停が始まっていて対応に悩んでいる人は、一度、お早めに弁護士に相談してみることをおすすめします。

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