離婚慰謝料を請求できる場合と離婚慰謝料の相場を徹底解説!

離婚慰謝料請求

夫婦が離婚をする場合、慰謝料請求をすることが多いですが、離婚慰謝料はどのような場合でも発生するわけではありません。
それぞれの離婚慰謝料には相場がありますし、どのような手続きをとれば良いのかも問題となります。

そこで今回は、離婚慰謝料が発生する場合と金額の相場、慰謝料の決め方や請求方法について、網羅的に解説します。

離婚慰謝料とは

離婚する場合、漠然と「慰謝料を請求できる」と考えていることが多いですが、実際に離婚慰謝料とはどのようなものなのでしょうか?

離婚慰謝料は、離婚の際に相手に請求する慰謝料のこと

慰謝料とは、相手の不法行為によって精神的損害を受けた場合にその責任のある相手に請求できる損害賠償金です。そこで、慰謝料を請求することができるのは、相手に責任がある場合に限られます。

たとえば、相手に不貞(不倫)などの明確な責任があれば慰謝料請求ができますが、自分に責任がある場合、どちらの責任とも言えない場合などには、離婚慰謝料を請求することはできないことになります。

離婚慰謝料が発生するケースとしないケース

次に、離婚慰謝料が発生するケースと発生しないケースにはどのようなものがあるのか、見てみましょう。

離婚慰謝料が発生する場合

まずは、離婚慰謝料が発生するケースをご紹介します。

典型的なのは、相手が不貞(不倫)した場合

不貞は法律上の離婚原因にもなっていますが、不貞によって婚姻関係を破綻させた場合には、有責性(離婚を招いた責任)があると考えられます。そこで、不貞があると、不貞した側は不貞された側に対して、慰謝料を支払わなければなりません。

「悪意の遺棄」があった場合にも離婚慰謝料が発生

悪意の遺棄とは、悪意をもって相手を見捨てることです。たとえば、相手が専業主婦の場合に、サラリーマンの夫が突然生活費を渡さなくなったり家出をして音信不通になったりした場合に、離婚慰謝料が発生します。

DV(家庭内暴力)があったケースでも離婚慰謝料が発生

家庭内暴力とは、主に夫が妻に対して継続的に重度の暴力を振るい続けることです。たとえば、1週間に2,3回以上、1回2~3時間以上殴る蹴るの暴力を続けていた場合などに慰謝料が発生しやすいです。反対に、1年に1回だけ軽く平手で殴ったというようなケースでは、DVにはなりません。

モラハラの場合にも、離婚慰謝料が発生

モラハラとは、モラルハラスメントの略で、相手に対して精神的におとしめる行為を続けることです。精神的DVなどとも呼ばれます。モラハラも夫から妻に対して行われることが多いです。たとえば、日常的に妻に対して「お前はひとりでは何もできない」「最低な人間だ」「世界中の人間から蔑まれる」「相手にしてやっているのは俺だけ」などと言い続けて、妻が反論しようとすると切れたり暴れたりします。

また、四六時中メールや電話をかけたり、一日の行動記録をつけさせたりなどして妻を束縛するパターンや、実家に返さないパターンもあります。

離婚慰謝料が発生しない場合

それでは、離婚慰謝料が発生しないケースはどのようなものでしょうか?

夫婦

「性格の不一致」は慰謝料が発生しません

まずは、夫婦のどちらにも責任がないケースです。たとえば、よくある離婚原因として性格の不一致がありますが、このような場合「どちらが悪い」とも言えないので、離婚慰謝料は発生しません。

自分に責任がある場合には、自分が慰謝料を支払う必要があります

また、自分に責任がある場合には、自分が慰謝料を支払わなければなりません。たとえば、自分が不貞をしていて、そのことが原因で離婚に至ったケースでは、自分が相手に慰謝料を支払わなければならないのであって、相手に慰謝料請求することはできません。

ただし、自分が不貞をしていて、相手がDVをしていたように、双方に有責性があるケースでは、自分は相手に対して不貞についての離婚慰謝料を支払い、相手からはDVにもとづく離婚慰謝料を支払ってもらうこともあります。この場合には、慰謝料のクロス払いのようになります。

「妻は夫に慰謝料請求ができる」と思っていませんか?

さらに、世間で良くある誤解として、「妻は夫に慰謝料請求ができる」と考えられているケースがあります。離婚するとき、離婚原因に関係なく、女性は男性に慰謝料請求ができると考えられているのです。

しかし、これは間違いです。離婚の際に離婚慰謝料が発生するにはどちらかに有責性があるケースに限られるので、夫に有責性がない限り、妻は夫に慰謝料請求することはできません。
妻や子どもの離婚後の生活が心配な場合、慰謝料ではなく財産分与や養育費などで填補することを考える必要があります。

離婚慰謝料の相場

離婚慰謝料の相場

次に、離婚慰謝料の相場を確認しましょう。

不貞の慰謝料

不貞の場合の慰謝料の相場は、だいたい300万円くらいです。ただ、この金額は婚姻年数が10年くらいの夫婦で、不貞によって夫婦関係が破綻した場合のものです。婚姻期間が短い場合にはそれより安くなります。たとえば、結婚後1年や2年しか経っていない夫婦の場合には100万円程度にしかならないこともあります。

また、不貞があっても、それ以前から別の原因で夫婦関係が破綻していた場合には、慰謝料の金額が低くなったり、場合によっては慰謝料が認められなくなったりします。たとえば、もともと性格の不一致によって夫婦関係が完全に破綻していて夫婦が別居していたところ、別居後1年が経過したときに、妻が別の男性と交際関係になったとしても、通常離婚慰謝料は発生しません。

悪意の遺棄の慰謝料

次に、悪意の遺棄の場合の慰謝料の相場を見てみましょう。これについては、だいたい50万円~200万円程度です。生活費不払いの期間や家出をしていた期間などが長くなればその分高額になりますし、期間が短い場合には低額になります。

DVの慰謝料

DVの慰謝料は、だいたい100万円~300万円くらいです。少し幅がありますが、DVの頻度が高く、態様が酷いケースなどでは慰謝料が高額になりますし、頻度が少なかったり、1回の暴力の内容が軽かったりするケースなどでは金額が低くなります。

モラハラの慰謝料

モラハラの場合の慰謝料の金額は、だいたい50万円~200万円くらいです。
モラハラの頻度や内容によって、金額が異なります。モラハラは立証が難しいことが多いので、うまく被害を証明することができない場合には、実際には被害があっても慰謝料が支払われないことがあります。

以上のように、離婚慰謝料には相場があります。ただ、これはあくまで相場ですから、個別の場合にいくらくらいの慰謝料が見込めるかと言うことに関しては、専門化にしか判断できません。正確に知りたい場合には、弁護士に相談に行かれることをおすすめします。

相場より多く離婚慰謝料を請求する方法

多くの慰謝料

離婚慰謝料にはそれぞれ相場がありますが、これらの数字は裁判をして裁判所に判断してもらうことを想定しています。そこで、裁判をせずに、自分たちで話し合いをして慰謝料を決める場合には、相場にとらわれずに自由に慰謝料の金額を決めることができます。

たとえば、不貞があった場合、裁判をしても通常のケースなら300万円程度が限度です。このような金額では到底納得ができないということも多いでしょう。

離婚条件を話し合い(離婚協議)で定める

そのような場合には、相手と話し合いによって離婚条件を決めれば良いのです。話し合いで離婚をすることを協議離婚と言いますが、協議離婚の場合には、当事者が納得しさえすれば、どのような条件の離婚条件でも定めることができます(ただし、公序良俗に違反しない限りです)。

そこで、相手が支払うと入ってくれさえすれば、500万円の慰謝料でも1000万円の慰謝料でも1億円の慰謝料でも支払ってもらうことができます。

支払いを分割払いにすることもできます

また、話し合いで慰謝料の支払いを決める場合、分割払いで支払をしてもらうこともできます。

判決になると、一括払い命令になってしまい、相手にお金がなくて支払えない場合にはそのまま支払いを受けられなくなってしまうことがありますが、協議離婚で分割払いの約束をした場合、相手にお金がなくても月々の給料から分割払いしてもらうことができますし、今すぐ全額を支払ってもらわない代わりに、高額な慰謝料を定めることができます。

以上のように、なるべく高額な離婚慰謝料を請求するためには、協議離婚(あるいは調停離婚)によって、話し合いで慰謝料の金額や支払い条件を決めることが役に立つので、覚えておきましょう。

離婚慰謝料を請求するためには証拠が必要!

離婚慰謝料を請求するためには、証拠が重要です。

証拠がないと相手に慰謝料を支払わせるのは難しい?

証拠相手に対して「慰謝料を支払ってほしい」と言っても、相手は「なぜ支払わなければならないのか」と反論してくることが多いです。

たとえば相手が不貞をしているときに、こちらが「だって、不貞をしているじゃない」と言っても、相手はしらを切って「そんなことはしていない。慰謝料は支払わない」と言ってくることが多いです。

こちらがあまりしつこく言うと、相手は「うるさい!お前がそんなんだから離婚になるんだ!お前が慰謝料を支払え!」などと言って、逆切れしてくることも少なくありません。

DVやモラハラなどのケースでも、証拠が重要

これらのケースでは、加害者側に、自分が問題のある行為をしているという自覚がないことが多いです。殴っていても「相手が悪いから正してやっている」というくらいの気持ちしかありませんし、モラハラで相手にきついことを言うのは「教育」と考えていることも多いです。

そこで、妻が夫に対して「慰謝料を支払ってほしい」などと言っても、とうてい聞く耳を持ちません。DV事案の場合には、夫が切れて酷い暴力が始まってしまうことが多いですし、モラハラ事案では、またいつもの説教や暴言が始まってしまい、延々と続いてしまいます。

これではとうてい慰謝料請求どころではありません。DVやモラハラ事案では、妻が自分で夫に対して慰謝料請求を行うのは難しいので、弁護士を介して請求をするか、調停や裁判を利用して請求をしなければなりません。
こうしたとき、証拠がないと、慰謝料を認めてもらうことはできません。

どのようなケースでも証拠が必要に

弁護士に依頼するとき、DVやモラハラの証拠がないと、そもそも「慰謝料請求はできませんよ」と言われてしまいますし、調停でも調停委員から「証拠がないと請求できない」と言われます。離婚訴訟になると、証拠がないことは認められないので、やはり慰謝料の支払い命令を出してもらうことはできません。

このように、離婚慰謝料を請求するには、どのようなケースでも必ず証拠が必要になります。慰謝料請求をする前に、確実に証拠を集めておくことが重要です。

離婚後に離婚慰謝料を請求する方法

離婚慰謝料は、離婚と同時に請求をして支払いを受けることが一般的ですが、中には慰謝料を請求しないまま離婚してしまうケースがあります。その場合、離婚後でも慰謝料請求ができる可能性があります。

離婚後3年以内なら相手に離婚慰謝料の請求が行える

離婚慰謝料の時効は離婚後3年なので、離婚して3年以内なら相手に対して慰謝料請求のみを行うことができるのです。そこで、行政の手続き上などの理由で、とにかく早く離婚だけしたい、といケースでは、先に離婚だけをして、後に慰謝料請求をすることも可能です。

たとえば、相手の不貞が原因で離婚する場合、とりあえず先に離婚だけしておいて、離婚後相手と不貞相手の両方に対してまとめて慰謝料請求をすることなどもできます。

離婚後に慰謝料請求をする場合も、まずは相手と話し合いをすることが基本

この場合、当初に内容証明郵便で請求書を送り、それをきっかけに話し合いを開始することが多いです。

話し合いができたらその内容を合意書にまとめて支払いを受けます。このときも、協議離婚の際と同様、任意の合意書では不払いのときに不安があるので、合意内容を公正証書にしておくことをおすすめします。

話し合いで解決できなければ裁判へ

また、離婚後に慰謝料請求をして、話し合いで解決出来ないケースでは、裁判を起こす必要があります。この場合、提起する訴訟は「損害賠償請求訴訟」であり、提訴先の裁判所は地方裁判所になります。

離婚の場合には、家庭裁判所で離婚調停や離婚訴訟を行いますが、これとは異なる手続きになるので、注意しましょう。

裁判では、慰謝料発生原因の主張と立証をしなければならないので、このときにも証拠が必要です。そして、慰謝料の発生の有無や金額が審理されて、裁判官によって認められたら慰謝料支払い命令が出ます。そうすると、判決内容にしたがって相手から慰謝料の支払いを受けることができます。相手が支払わない場合には、相手の給料や預貯金、不動産などの財産を強制執行(差押え)することも可能です。

離婚慰謝料請求を弁護士に依頼すべきか?

弁護士

離婚慰謝料を請求したいなら弁護士に依頼を

以上のように、離婚慰謝料が発生する場合はさまざまですし、それぞれについて発生する慰謝料の金額が異なります。また、用意すべき証拠資料の内容や、手続きの進め方などにも工夫が必要です。このような離婚慰謝料の請求手続きは、当事者がひとりで進めることが難しいことが多いです。

自分で慰謝料請求をしようとしても、どのような証拠を揃えて良いのかわからなかったり、どのように話し合いを持ちかけて良いかわからなかったり、相手の言うままになってしまったりして結局支払いを受けられなくなってしまうことも多いです。

特にDVやモラハラなどの事案では、被害者が自分で相手と交渉したり法的な手続きを進めたりすることは困難ですし、これらの事案でなくても、特に訴訟が必要になる場合には、専門的な対応が必要なので、素人では難しくなります。

そこで、離婚慰謝料を請求したいなら、弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士であれば、依頼者の代理人として適切な証拠を集めて事案に応じた適切な慰謝料の金額を算定し、適切な手続きによって確実に相手から慰謝料を支払わせることができます。

今、離婚問題で悩んでいたり、自分のケースでも慰謝料が請求できるのかどうかがわからず迷っていたりするケースでは、まずは一度、離婚問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。

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