浮気・不倫慰謝料の相場を徹底解説!相場以上の判例や夫(妻)への請求に必要な知識まとめ!

不倫、浮気の慰謝料

不倫慰謝料の相場は、一般的には50万円から300万円と言われています。しかし、「婚姻期間が長い」「幼い子どもがいる」「不倫の期間が長い」などの個別の事情により、かなり金額が変わります。

不倫慰謝料を相場以上に獲得するには弁護士に相談し、効果的な証拠を集め、証拠に基づく主張・立証をするのがベストです。

そこで今回は不倫されたときの慰謝料請求方法や、反対に奥さんから慰謝料請求されたときの対処方法をご説明します。

浮気(不倫)慰謝料の相場はいくら?

旦那が浮気して離婚するときの慰謝料の相場

一般的に言えば、冒頭にも説明した通り不倫による慰謝料の相場は「50万円〜300万円程度」です。しかし実際には婚姻期間等の夫婦関係や不倫の内容などの個別の事情により、かなり金額が変わってきます。

相場は離婚や別居をする・しないで大きく変わる

特に大きなポイントとなるのは、今後も夫婦関係を継続するのか、それとも離婚や別居をするのかという点です。

それを考慮すると、一般的な不倫慰謝料の相場は以下のとおりとなっています。

離婚や別居をせず夫婦関係を継続するケース 50万円〜150万円
離婚や別居をするケース 150万円〜300万円

相場以上に不倫慰謝料の請求ができる要因

不倫浮気_慰謝料_相場以上に請求

しかしながら50万円〜300万円程度が相場と言われている不倫慰謝料ですが、場合により相場以上に増額されるケースもあります。

その要因は、前述した「離婚や別居をする」こと以外に下記のものがあります。

婚姻期間が長い

婚姻期間が長ければ長いほど、不倫による被害者の精神的ダメージは大きいとされ、慰謝料が増額傾向にあります。

これまでの裁判例では、15年以上であれば婚姻期間が長いと判断される傾向にありました。

幼い子どもがいる

幼い子どもがいる状態で婚姻関係が破綻すると、精神的・経済的影ダメージが大きいとされ、慰謝料が増額傾向にあります。

不倫発覚前の夫婦関係が良好

不倫発覚前の夫婦関係が良好であった場合、不倫により婚姻関係を破綻させたと考えられ、慰謝料が増額されやすいです。

不倫関係解消の約束を破った

不倫関係解消の誓約書を取り交わすなどしたにも関わらず、再度不倫をした場合は悪質性が高いと考えられ、慰謝料が増額傾向にあります。

配偶者・不倫相手に経済力がある

異論もありますが配偶者・不倫相手に経済力があれば、それに見合う高額な慰謝料が認められやすい傾向にあります。

不倫の期間が長い

不倫浮気_慰謝料_相場以上に請求_浮気の期間

不倫の期間が長ければ長いほど、悪質性が高いと考えられ、慰謝料が増額されやすいです。

これまでの裁判例では、1年以上の期間を長いと判断される傾向にありました。

不倫の頻度が高い

不倫の頻度が高ければ高いほど、悪質性が高いと考えられ、慰謝料が増額傾向にあります。

これまでの裁判例では、20回以上の場合は頻度が高いと判断される傾向にありました。

不倫に対する謝罪がない

不倫の証拠があるにも関わらず謝罪がない場合、反省の姿勢がなく悪質であるとされ慰謝料が増額されやすいです。

不倫による被害が大きい

不倫のショックでうつ病となった、不倫についての交渉の過程で暴力を振るわれたなど、明らかな被害が出ており診断書などの証拠がある場合は、慰謝料が増額される傾向にあります。

不倫相手が配偶者を既婚者だと知っていた

不倫相手が、配偶者を既婚者だと知っていた場合は、家庭を壊す意図が見られ、悪質性が高いとされ、慰謝料が増額されやすいです。

配偶者と不倫相手の間に子どもが出産された

配偶者と不倫相手の間に子どもが出産されたという出来事は、被害者に多大な精神的ショックを与えるため、慰謝料が増額されやすいです。

そもそも不倫(浮気)の慰謝料の定義とは?

精神的苦痛に対して支払われる損害賠償金

不貞と不倫・浮気の違い
旦那が不倫や浮気をしたら、不倫相手に慰謝料請求できます。なぜ慰謝料が発生するのでしょうか?相場を紹介する前にまずは知っておくねき法的な仕組みを説明します。

慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償金です。配偶者が自分を裏切って他の異性と男女関係をもっていたら、どのような人でも大きな精神的ショックを受けるものです。そこで不倫は民法上の「不法行為」となります(民法709条)。また、不倫は配偶者と不倫相手が共同して行うものなので、配偶者と不倫相手による「共同不法行為」です。

このように不倫相手や夫は、不法行為の「加害者」の立場となるので、「被害者」である奥さんに賠償金として慰謝料を支払わねばならないのです。

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なお、一般には「不倫や浮気をされたら慰謝料が発生する」と思われていることが多いです。この表現はおおむね合っていますが、正確ではありません。不倫や浮気は法律用語ではないからです。法律上、不倫や浮気のことを「不貞」と言います。不貞と不倫・浮気には少し違うニュアンスがあるので、ご説明します。

不貞とは

法律用語としての「不貞」は、配偶者のある人が配偶者以外の人と男女関係を持つことです。つまり、不貞の場合、「性交渉」があることが前提です。配偶者以外の人と「男女交際」をしていても、性関係がなければ「不貞」になりません。

不倫、浮気とは

不倫は「人の道に外れた行為」という意味合いで、たいていは既婚者が別の異性と性関係をもっている場合を指します。浮気は「浮ついた気持ち」という意味合いでもう少し範疇が広く、人によって理解している内容がかなり異なります。

中には「旦那が他の女と話すだけで浮気」などと言う人もいるくらいで、必ずしも男女の性関係を伴うものではありません。また既婚者だけではなく、恋人が別の異性と交際した場合にも「浮気」ということが多々あります。

上記記事のように、風俗店で性関係を持った場合でも、性関係がある限りは(少なくとも夫には)慰謝料請求は可能です。

不貞と不倫はだいたい同じ意味で使われることが多いですが、浮気と不貞ではかなり異なるニュアンスとなります。夫や恋人が「浮気」をしても、性関係がない場合には必ずしも慰謝料請求できないので、注意が必要です。

不貞と離婚の関係

「不貞」は、民法の定める離婚事由となっています。そこで夫が不貞をした場合には、夫が離婚を拒絶しても訴訟によって離婚できます。

一方で、不貞した本人である夫は裁判による離婚請求が長期間にわたって(7~10年くらい)できないので、不貞をされた被害者であるあなたが離婚に応じない限り、夫の希望で早期に強制的に離婚される心配はありません。

また夫の不貞によって離婚する場合には、夫に慰謝料請求できます。この場合、夫と浮気相手の双方に全額の慰謝料請求をできます。

不貞があって初めて慰謝料請求できる

不貞、不倫、浮気と似た言葉が並びますが、慰謝料が発生するのは「不貞」(=性行為)が成立する場合です。夫が別の女性と仲良くしていても、肉体関係をもっておらず単に恋愛感情を抱きあっているだけの状態では、原則として慰謝料請求できません。

そこで夫の不貞によって慰謝料請求するためには、夫と不倫相手の肉体関係を示す証拠を集める必要があります。

実際に相場以上の不倫(浮気)慰謝料を獲得できた判例

不倫期間40年の間、資産家の夫が被害者(妻)に生活費を一切支払わず1,500万円が認められたケース

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被害者(妻)と夫の婚姻期間が52年、夫の不倫期間(別居期間)が40年、夫は別居時に建物を被害者(妻)に渡したものの生活費を一切支払わず、その間に不倫相手が夫の子どもを2人出産、夫は認知し、夫が不倫相手と3つの会社を経営するほど資産家であったケースです。

このケースでは1,500万円の不倫慰謝料が認められました。(東京高等裁判所 平成元年11月22日判決)

ただし、このケースは比較的古い裁判例ですし、ここまでの高額慰謝料が認められるケースはほぼないでしょう。

夫婦で購入した別荘で夫が不倫相手と同棲、被害者(妻)に暴力をふるい1,000万円が認められたケース

被害者(妻)と夫の婚姻期間が30年、夫の不倫期間が14年、夫が被害者(妻)と共同で購入した別荘で不倫相手と同棲、その事実が発覚した後の交渉の過程で、夫が被害者(妻)に対し暴力をふるい負傷させたケースです。

このケースでは1,000万円の不倫慰謝料が認められました。なおこの不倫慰謝料には、夫からの暴力による負傷等の慰謝料も考慮されています。

不倫相手が出産した子どもを夫が認知し、被害者(妻)に無断で離婚届を出して500万円が認められたケース

被害者(妻)と夫の婚姻期間が35年、夫の不倫期間が14年、不倫相手が夫の子どもを出産し夫が認知、被害者(妻)に無断で離婚届を出したケースです。

このケースでは離婚せず別居のみとなりましたが、500万円の不倫慰謝料が認められました。(東京地方裁判所 平成14年10月21日判決)

不倫関係解消の約束を破り、反復継続して不倫し440万円が認められたケース

夫による同僚との不倫が被害者(妻)に発覚し、同僚である不倫相手は謝罪の手紙を送り、慰謝料200万円の支払いと今後は私的接触をしないこと、違反した場合には違約金100万円の支払いを約束し示談したが、示談成立後も反復継続して不倫関係を続けたケースです。

このケースでは不貞の慰謝料、違約金等あわせて440万円の不倫慰謝料が認められました(東京地方裁判所 平成15年2月14日判決)。

被害者(妻)が出産したと同時期に、不倫相手も出産し450万円が認められたケース

被害者(妻)が子どもを出産したのと同じ時期に、夫の不倫相手も子どもを出産し、その後に同棲、不倫相手は不倫を止めないと意思表明。被害者(妻)とその子どもが夫の存在を必要としているのに、不倫相手がこれを妨害していたケースです。

このケースでは450万円の不倫慰謝料が認められました(東京地方裁判所 平成15年9月8日)

ただ判例の日付を見ての通りここ15年では400万以上を認めた裁判例は少ないため、相場以上の慰謝料を請求するのは何らかの事由がなければ難しいと考えた方が良いかもしれません。

浮気(不倫)慰謝料を相場以上に請求する際に必要な証拠

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以上のように、まれではあるものの、不貞慰謝料の相場を超えた慰謝料を認められる場合もあります。

不倫慰謝料を相場以上に請求する際には、まずは不倫の証拠が必要です。証拠がなければ、相手方との交渉だけでなく、調停や訴訟でも、不倫の事実を認めてもらえません。

具体的には、以下のものが必要です。

肉体関係を示す証拠

不倫の証拠を集めるときには「肉体関係」を直接示すものを探しましょう。「不貞」というためには配偶者と不倫相手が肉体関係を持っていることが前提となるからです。肉体関係を証明できなければ、裁判を起こしても負けてしまう可能性が高くなります。

具体的には、以下のようなものが不倫の証拠となります。

メール、LINEのメッセージ

配偶者と不倫相手が交わしているメールやLINEのメッセージにより、不貞が明らかになるケースは非常に多いです。メールでデートの約束をしていたり、ハートマークなどが乱発されていて明らかに男女交際していることがわかったりします。

ただし、メールやLINEは「肉体関係」を直接証明できないことが多いです。「冗談でメールを交わしただけ」などと言い訳されてしまうことが多いのも問題です。

メールやLINEのメッセージを保存するときには、できるだけ画面をそのまま写真撮影することをお勧めします。メールを転送すると「編集した」「ねつ造した」などと言われるケースがあるためです。

ただし、時間がない場合などには転送せざるを得ないケースもあります。LINEについては、一括でメール転送することによりバックアップをとれる機能があるので、必要に応じて活用してみて下さい。

SNSやブログの記録

フェイスブックやツイッターなどのSNS、ブログの記録から不倫を証明できるケースもあります。たとえば夫と不倫相手が一緒にクリスマスイブの夜を共に過ごしていることが明らかになったり、一緒に旅行に行ったことが書かれていたりします。

これらの証拠については、サイトURLを控えるだけではなく必ずプリントアウトして紙の形で保管しましょう。ウェブ上の記録だけでは、相手が後に削除してしまう可能性があるためです。

通話履歴

配偶者の携帯電話とファミリー契約にしている場合などには、配偶者の通話記録を取得できる可能性があります。通話記録には、いつどの電話番号にかけたのか、あるいはかかってきたのか、どのくらいの時間通話し続けたのか、明細が書いてあります。特定の携帯電話番号と深夜に何時間も話していたら、不倫相手である可能性が高いと考えられます。

領収証

プレゼントを購入したときやデートで利用したレストランや映画、テーマパークなどの支払いの領収証も、不倫の証拠となります。また、映画やテーマパーク、博物館や寺院などの半券やチケットなども不倫を窺わせる資料になります。

クレジットカードの明細書

クレジットカードでデート代やプレゼント代などの支払いをしているなど、不自然な記録があれば、不倫の証拠として利用できます。

写真

不倫相手と一緒に写っている写真や不倫相手が単独で写っている写真も、不倫の証拠になることがあります。ただし写真を証拠にするには、写真によって「肉体関係」を証明できることが必要です。

よくある有効な写真は、ホテルなどでふざけて写した性的な写真や、不倫相手が送ってきた上半身裸の写真などです。反対に、単にデートしたときに外で一緒に写した写真などは証拠としての価値が低くなります。

交通ICカードの記録

スイカなどの交通ICカードを使って不倫相手宅に通っている場合には、交通ICカードの記録が証拠となります。高速道路を使って通っている場合には、ETCカードの記録が証拠になるケースもあります。

性交渉をするときに使う物品など

配偶者が、不倫相手と性交渉をするときに使用する下着や道具類、ローションなどを保管していることがあります。そのような場合には、かなり直接的な不貞の証拠となるでしょう。

手帳、スケジュール表、カレンダー

配偶者が手帳やスケジュール表、カレンダーなどに不貞相手と会う日をマークしていることがあります。それだけで直接不倫を証明するのは難しくても、他の証拠と合わせて不倫を示す証拠になるでしょう。

日記

配偶者の日記に、不倫相手について書かれているケースがあります。直接的な記載であればあるほど、証拠としては強くなります。

自白

不貞をした当事者に、不貞行為を行ったことを認めさせるメールを送信させたり、一筆を書いてもらうことは非常に有効な証拠になります。

この際には、「性関係を伴う」や「肉体関係を伴う」などと、必ず性的関係を含むことを自白させてください。

探偵の調査報告書

以上のように、不倫の証拠になるものはさまざまですが、上記のようなものではどうしても「肉体関係」の証明に足りないケースが多いです。その場合には、探偵事務所に依頼して配偶者や不倫相手を尾行してもらい、不倫の現場を押さえてもらいましょう。

探偵事務所に依頼すると、調査結果を「調査報告書」にまとめて提出してくれます。これがあれば、不倫や離婚の裁判でも有効な証拠として利用でき、肉体関係を証明することが可能です。

探偵事務所には良質な業者も悪徳業者もあるので、良心的な業者を探して依頼することが重要です。離婚問題に強い弁護士は、探偵事務所と提携していることも多いので、調査を依頼したい場合には一度弁護士に相談してみるのも良いでしょう。

不倫(浮気)相手に慰謝料請求する方法

内容証明郵便で請求

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まずは内容証明郵便を利用して、相手に慰謝料請求書を送ります。内容証明郵便とは、郵便局と差出人(あなたのことです)の元に、相手に送ったものと同じ写しが残る郵便です。

いつ発送したかも明らかにできますし「配達証明」というサービスを利用すると、相手にいつ送達されたかも明らかになります。内容証明郵便を利用すると、相手に確実に慰謝料請求した証拠を残せるので、相手から「知らない、聞いていない」などと言われるおそれがなくなります。

また、内容証明郵便は書式も特殊で相手への直接手渡し方式となっているので、相手に対してプレッシャーを与えることができます。あなたの本気度が相手に伝わり、相手が真剣に対応する可能性が高くなります。

合意書を作成して支払いを受ける

内容証明郵便を送ったら、次に浮気相手との間で話合いをします。相手が無視する場合には、こちらから電話などで連絡を入れて話合いに応じさせる必要があります。

交渉の結果、慰謝料の金額や支払い方法について合意できたら「慰謝料支払いについての合意書」を作成します。その後、相手から約束通りに支払いが行われたら慰謝料を回収できます。

訴訟を起こす

相手と交渉をしてもお互いの意見が合致しないことがあります。また内容証明郵便を送っても相手が受け取らなかったり無視したりするケースも考えられます。そのようなときには、訴訟(損害賠償請求訴訟)を起こして慰謝料請求を進める必要があります。

訴訟で浮気相手とあなたの配偶者の肉体関係を立証できれば、裁判官が判決で相手に支払い命令を出してくれます。

不倫(浮気)慰謝料のトラブルで困ったときは弁護士に相談しよう!

不倫浮気_慰謝料_相場以上に請求するなら弁護士が最適
不倫慰謝料トラブルが発生したときには、慰謝料請求をする場合にもされる場合でも法律の専門家である弁護士による助けが必要です。

お困りの場合には状況が悪化してしまう前に、離婚や男女問題に強い弁護士を探して相談を受けてみましょう。

弁護士なら高額の慰謝料を請求することができますし、早期に解決することが可能です。

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