家庭内別居とはどのような状態?生活実態やデメリットについて解説

家庭内別居とは?生活実態、メリット・デメリットとルール決めのポイント

夫婦関係に悩みながら別居や離婚に踏み切るのも難しい場合、家庭内別居は現状を解決する方法となり得る選択肢のひとつです。
この記事では、家庭内別居とはどういうものか、どんなメリット・デメリットがあり、家庭内別居中の生活とはどういうものか、お金の問題や仮面夫婦との違いなど、家庭内別居を検討されている方にもイメージしやすいよう、わかりやすく解説していきます。

家庭内別居とは

家庭内別居とは、夫婦が離婚せず同居したまま、別居状態のように別々で過ごし、共同生活を行わない状態のことです。

家庭内別居の生活では、家の中での会話はもちろん顔を合わせることもなるべく避けます。
通常は共同生活を行う夫婦関係が破綻している状態ながら、経済的な問題や世間体、子供への影響などを鑑みて家庭内別居に至るパターンが一般的です。

家庭内別居にあたるケース

家庭内別居に法律上の明確な定義はありませんが、一般的には以下のようなケースが該当すると考えられます。

  • 会話をしない
  • 食事は別で取る
  • 居室も寝室も別で過ごす
  • 家事をするのは自分の分だけ
  • 互いの生活を把握していない

こうした夫婦としての協力・協働を欠いた状況は、婚姻関係が破綻していることを示しています。しかし、離婚や別居に踏み切れない理由があるため、一つ屋根の下で生活を続けています。

家庭内別居と仮面夫婦の違い

家庭内別居と似た言葉に仮面夫婦というものがあります。

仮面夫婦とは、人前では仲の良い夫婦を演じているものの、実際には関係が冷え切っている状態の夫婦を指します。仮面夫婦の場合、夫婦間の関係を悟られないために、外では一緒に行動したり、周囲からすれば仲が良い夫婦に見えることもあります。しかし、二人きりになると会話もなく、冷めた関係が続きます。

両者の違いは「良い夫婦」を演じるかどうか

仮面夫婦と家庭内別居の違いは「人前で夫婦を演じるかどうか」です。
仮面夫婦は世間体や子供のため対外的に仲の良い2人と見せる行動を取ります。家庭内別居の場合は、仮面的に良い夫婦に見せかける必要性も感じていないケースも多く、そもそも夫婦揃って人前に出ることがあまりありません。

夫婦関係の悪化をどの程度表に出すかは夫婦の考え方や社会的な人間関係によってそれぞれに異なるもの。いわば、仮面夫婦は家庭内別居の中でも対外的な視線を考慮する1類型と言うこともできるでしょう。

家庭内別居のメリット

関係が破綻した夫婦が家庭内別居を選択するメリットには以下のようなものがあると考えられます。

経済的な負担が少ない

最大のメリットはお金の面で、特別な費用はかけずに夫婦の距離だけを取ることができる点です。

夫婦関係の問題で別居するとなると、別の家に引っ越すため家賃・光熱費といった経済的な負担がかかります。
婚姻関係を続けるなら、従来の家と合わせて2軒分の家賃・光熱費などの生活費がかかり続けることになります。
こうした経済的負担の問題もあり、特に収入のない専業主婦(主夫)だと、親の実家などでもなければ、別居という選択自体ができません。

家庭内別居なら、夫婦は従来どおり、同じ家に住み続けます。家賃や光熱費も1軒分で済み、生活費の分担について話し合う必要がありますが、別居でそれぞれ別の家に住むよりはずっと費用を抑えることができます。離婚しても出ていこうにも出ていきようがないという、経済的な理由から家庭内別居にとどめている夫婦は決して少なくありません。

世間体を守れる

家庭内別居では、対外的には離婚していないため、世間体を守れるというメリットがあります。

離婚すると、職場や親族、友人などから変な詮索や気遣いをされたり、相手によっては非難を受けることもありえます。
家庭内別居ならば、別居はあくまで家の中でのことであり、実際に別居しているわけでもありません。自ら公表しなければ、夫婦で別の生活を送っていると第三者に気づかれる心配もないです。周囲からは今までと同様「家庭のある人」とみなされる生活を続けることができます。

こうした世間体の面を重視し、外では仲の良い夫婦を演じているのが仮面夫婦にあたります。

子供との関わりを維持できる

家庭内別居では、父親・母親が揃った家庭を維持することで、子供との関わりを維持できるというメリットがあります。
夫婦関係は冷めてしまっているものの、子供のために離婚や別居しないという理由で家庭内別居を選んでいる夫婦は決して少なくありません。

もちろん、毎日子供の前で夫婦喧嘩をしているようではかえって悪影響です。
ですが、従来からの生活を継続するための判断として家庭内別居を選べるのであれば、両親が離れ離れよりは同居している方が、子供にとっては好ましい環境と言えるでしょう。

また、夫婦で別居してしまうと、家から出ていった方の親は、子供となかなか会えなくなります。
親にとっても、子どもと離れず日常的に会える点は、同居を続けるメリットの一つです。

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家庭内別居のデメリット

以上のように家庭内別居には同居を続けることによるメリットもありますが、逆にデメリットとなる点も決して少なくありません。
家庭内別居のデメリットをいくつか挙げてみます。

同居生活が続くストレス

家庭内別居は別居とはいっても、ひとつ屋根の下での同居生活が続きます。

経済的負担こそ少なく済みますが、同居生活が続くこと自体へのストレスは大きく変わりません。
夫婦関係に嫌気が差し、相手の顔も見るのが嫌だという人も多いでしょう。また、ちょっとした物音や落ちているゴミ、洗濯物、子供への接し方など、些細なことでイライラしてしまう場面や、注意したら注意したで「いきなりなんだよ!」などと言われるなど、暴言や暴力的な対応を受け、夫婦関係がむしろ悪化する可能性もあります。

家庭内別居は、完全な別居と比べると心理的な負担が大きい生活形態と言えます。

子供への悪影響

子供との関わりを維持できるのは家庭内別居のメリットですが、夫婦間の関係が悪化した家庭が、子供にとって必ずしも良い環境とは限りません。両親が不仲のまま落ち着かない空気の家庭にいる不安や孤独感から、子供が深刻な心理的ダメージを負う可能性もあります。

両親の家庭内別居は、子供に様々な影響を与えます。そのため、家庭内別居を選択する場合は、子供の気持ちや様子に対して十分な注意を払うことが重要です。

夫婦関係の修復が難しい

家庭内別居には、夫婦としての関係が破綻しているにもかかわらず、離婚や別居をせずに同じ家で暮らし続けることで、かえって夫婦関係の修復が難しくなる場合もあります。
家にいてもお互い顔を合わせないような習慣がついてしまうと、そこから元に戻すことは簡単ではありません。

また、家庭内別居中に不倫や浮気をしたりされたりすれば、夫婦関係はさらに悪化し、修復の可能性はほぼなくなります。

家庭内別居は一時的な冷却期間として利用することはできたとしても、長期化すれば夫婦関係の回復は困難になることを覚えておきましょう。

離婚理由としては弱い

家庭内別居は、同居を継続していることもあり、完全な別居よりは「夫婦関係が破綻した」理由として認められないことが多いです。

日本の法律では、夫婦に同居・協力・扶助義務を定めています。

民法 第752条

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

別居はこの民法の定める夫婦の義務に反する行為であり、法律上でも一定の意味を持ちます。
家庭内別居は、別居を選択していない時点で、この義務に沿った、いわば「普通の夫婦」と同じ状態です。
そのため基本的に家庭内別居だけを理由に「婚姻を継続し難い重大な事由」と認めてもらうことはできないでしょう。

他の理由があれば家庭内別居でも離婚は認められる

もちろん、家庭内別居でも

  • 会話や食事、性交渉などが全くない
  • 生活費や家事も分担していない
  • DVにあたる暴力や侮辱などがある

など、他の要因・状況もあわせてあるなら「夫婦関係の破綻」と判断される可能性はあります。
ただし、離婚することを前提に考えるのであれば、家庭内別居がベストな方法とは言えません。

家庭内別居による子どもへの影響

家庭内別居によって、家庭の空気は冷たくなります。会話や笑顔もない状態だと、子供は「親から愛されていない」と感じてしまうことがあります。
また、親の不仲を見続ける中で「両親が不仲なのは自分が悪い」と自分を責めてしまい、子供自らの自信の喪失、将来の恋愛・夫婦関係におけるモデルの崩壊にもつながります。
親に対する反発や無関心を強め、学業や友人関係に支障をきたすケースもあるでしょう。

このように、家庭内別居は子供に様々な影響を与えます。
実際のところ、どんな影響が、どの程度出るかは、子供の性格や性質、年齢によっても大きく異なります。
子持ち家庭の両親が家庭内別居を選択する際は、子供への影響・環境変化を考慮し、子供がなるべく穏やかに生活できるルール決めを行うことが重要です。

家庭内別居のやり方とルール設定のコツ

家庭内別居で同じ家で暮らし続けていくと、段々と、お互いに気持ちや考え方がずれてしまうこともあります。
夫婦間での更なる衝突を避け、家庭内別居をスムーズに進めるためには、 日常生活に関するルールを明確に定めておくことが大切です。

家庭内別居のルールを定める

具体的には、たとえば以下のような項目について話し合っておくと良いでしょう。

  • 日常のあいさつ
  • お互いの生活に干渉しない
  • 家事の分担(洗濯・ゴミ捨てなど)
  • 食事の時間・準備・片付け
  • お風呂の時間・タイミング・掃除
  • 子供との接し方

日常のあいさつ

家庭内別居でも最低限のあいさつは必要です。無視するのは相手に失礼ですし、関係がさらに悪化する原因にもなります。ただし、あいさつだけで会話はしないということも伝えておきましょう。

お互いの生活に干渉しない

家庭内別居では、相手の生活スタイルや行動に口出ししないことが基本です。出かける時間や帰宅時間、友人との付き合いなどは自由にさせてあげましょう。
ただし、子供がいる場合は、子供への影響を考えて相談しておく必要があります。

家事の分担(洗濯・ゴミ捨てなど)

家庭内別居でも共同生活をしている以上、家事は分担する必要があります。
しかし、相手に期待したり指示したりすると喧嘩になりかねません。

そこで、各自が自分の部屋や荷物などは自分で片付けるというルールを作っておくと良いでしょう。共用部分や共有物などは交代制や割合制などで決めておきましょう。

食事の時間・準備・片付け

食事は各自で自由にすることが望ましいです。一緒に食べる必要はありませんし、相手の食事を用意する義務もありません。

ただし、子供がいる場合は、子供の食事も考えておく必要があります。どちらが子供と一緒に食べるかどうか、誰が作るかなどを話し合っておきましょう。

お風呂の時間・タイミング・掃除

お風呂については、入浴する時間やタイミングが重ならないよう、お互いの生活時間もふまえ取り決めておくのが良いでしょう。
また、お風呂の掃除も分担するか、各自入った後に行うかなど、定めておくとスムーズです。

子供との接し方

家庭内別居でも、子供との関わりは丁寧に対応する必要があります。子供にとっては父親・母親、両方が大切です。
子供との接し方については、以下のような点を話し合っておくと良いでしょう。

  • 子供に家庭内別居の理由や状況をどう説明するか
  • 子供に対してどんな態度や言動を取るか
  • 子供の教育や習い事などにどう関わるか
  • 子供と一緒に過ごす時間や場所をどうするか
  • 子供の誕生日や行事などにどう参加するか
ルールは双方が快適に過ごすためのもの

家庭内別居の形で共同生活を続けていく上で、双方がなるべく快適に過ごしていくための取り決めです。
こうしたルール決めは、家庭内別居を始める前に話し合っておくことが望ましいですが、すでに始めた後からでも遅くはありません。

また、定めたルールで運用してみた上で問題が生じた場合は、状況に応じて柔軟にルールを見直していくのも良いでしょう。
ルールを変更する場合は、相手に事前に伝えて了承を得ることが必要です。

生活費の取り決め

家庭内別居で非常に重要なポイントとなるのが、生活費の取り決めです。
生活費とは、家賃や光熱費などの住居費や、食費や日用品費などの生活必需品費、子供の教育費や医療費なども含みます。

家で生活を続けている以上、生活費は必ず発生します。
請求がまとめてひとつ届いたとしても、双方が公平に費用を負担しなければ、家庭内別居そのものが成り立ちません。

生活費の負担について適切な取り決めを行っておかないと、支払い金額に差が出た場合、多く支払った人にとっては不公平感が生まれます。
遅延・滞納、無駄遣いなどの理由で夫婦どちらかが未払い等を起こせば、夫婦間での金銭トラブルとなり関係悪化に追い打ちをかけます。
金銭的なメリットすらなければ、家庭内別居の継続そのもの難しくなるでしょう。

明確に取り決め、夫婦間での不満・金銭トラブル発生を避ける

こうした問題を避けるためにも、家庭内別居を始める場合、お金の問題については特に具体的な形で話し合っておくのが賢明です。

  • 生活費の項目や金額を明確にする
  • 生活費の支払い方法や時期を決める
  • 生活費の分担割合や負担者を決める
  • 生活費の見直しや変更の条件を決める

家庭内別居だからこそ、費用分担を曖昧にしておくことは大きなリスクとなります。夫婦双方の収入状況も考慮し、負担割合や項目について明確な取り決めを行いましょう。

家庭内別居の期限を想定する

家庭内別居の良い点は、生活環境を維持継続しながら、夫婦が互いに干渉しない、別の人生を歩める点にあります。
反面、家庭内別居の状態に一度慣れてしまうと、夫婦関係としては破綻したままにもかかわらず惰性の生活が続き、次の一歩を踏み出しづらくなる点が、問題になる可能性もあります。

家庭内別居の期限を想定することで、家庭内別居のラクな状況に甘んじてしまうことを防ぎ、夫婦関係の修復や離婚の判断をするための目安にすることができます。

家庭内別居の期限の定め方

家庭内別居の期限は、具体的な日付で決める形が、夫婦間で話し合うタイミングを明確に定めることができて有用です。また、期限を日付ではなく、一定の条件や目標をもって定めることもできます。例えば、以下のようなものが考えられます。

  • 子供の卒業や就職まで
  • 貯金や借金の額が一定になるまで
  • 夫婦カウンセリングや夫婦セミナーに参加するまで
  • 夫婦関係に改善が見られるまで

家庭内別居中、生活費はどうなる?

先の家庭内別居におけるルールの決め方としても指摘した通り、家庭内別居するにあたり、誰もが気にするのがお金の話、生活費の負担の問題です。

婚姻中の生活費は婚姻費用として分担する

民法は、婚姻中の夫婦が双方同等の水準で生活できるよう、生活費を分担する義務を定めています。(民法760条)
そのため、 収入が多い夫(妻)は収入が少ない妻(夫)に対して、生活費をより多く負担することになります。この点は、たとえ家庭内別居中でも、法的に婚姻が継続されている以上は変わりません。

この、夫婦が相互に分担する義務を負う生活費のことを、法律用語では「婚姻費用」と呼びます。
婚姻費用には、夫婦や子供の生活に必要な費用のことで、例えば食費や住居費、光熱費、教育費などが含まれます。

夫(妻)に生活費を請求することは可能?

夫(妻)が婚姻費用を分担する義務を果たしてくれない場合、生活費を支払った側には未払い分の婚姻費用を請求する権利があります。
話し合いで解決できない場合は、婚姻費用分担調停や裁判などの法的手段を利用することになります。

法的手段に移る時点では、すでに家庭内別居を継続できなくなっている可能性は高いですが、相手に生活費の未払いが発生した場合の備えとして、婚姻費用の基本的な考え方は把握しておくと良いでしょう。

生活費の支払い方法や額はどう決める?

生活費の支払い方法や金額は、夫婦間で合意すれば自由に決めることができます。

例えば、毎月一定額を振り込む方法や、必要に応じて現金で渡す方法などがあります。
ただし、合意した内容を証明するために、取り決めた内容を口約束ではなく書面で残しておくことをおすすめします。

ただし、生活費とは、夫婦や子供の生活水準や必要経費に応じて変動するものです。通常の夫婦でも家計をふまえた生活が必要なのと同様、家庭内別居でも状況にあわせて適切な生活費の見直しは必要です。

生活費の変更に合意が得られない場合、家庭内別居を継続するのも難しくなるため、離婚含めた新生活の検討、あるいは前述したような法的手段を利用し、生活全体の見直しを図るタイミングかもしれません。

家庭内別居でも離婚は認められる?

家庭内別居から離婚に進めていくことは可能ですし、ケースとしても決して少なくはありません。
では、家庭内別居の状態であること自体を理由に、離婚を認めてもらうことは可能なのでしょうか?

夫婦関係の破綻を証明できれば離婚は可能

夫婦のどちらかが離婚の意思を伝え、相手が同意すれば、通常の協議離婚として、離婚は成立します。
夫婦での話し合いでどちらかが離婚を拒否した場合、裁判所に離婚調停を申し立て調停委員を介した話し合い。それでも離婚に応じず不調に終わった場合は離婚審判、離婚裁判で離婚の認否が決まります。
離婚審判・離婚裁判での離婚が認めてもらうには、法定離婚事由が必要です。

家庭内別居は「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性

家庭内別居は、5つある法定離婚事由のうち「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる可能性があります。

ただし、家庭内別居のみを理由として「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とみなされることは通常ありません。
家庭内別居は裁判所など第三者から実態を把握することは難しく、申立人からの申告のみをもって、夫婦関係の破綻と認めることはできないためです。

家庭内別居とは別の、具体的な原因・経緯の説明が必要

夫婦関係の破綻とは、夫婦としての結びつきや信頼が失われ、修復不可能な状態になっていることを指します。
家庭内別居も夫婦の現状としては評価されますが、家庭内別居だけでは夫婦関係破綻の証拠にはみなされないでしょう。家庭内別居とは別に、浮気やDV、セックスレス、親族との不和、生活費の不払い、性格の不一致など、夫婦関係が悪化した原因や経緯を具体的に示す必要があります。

具体的な夫婦関係の状況説明・証明により、夫婦関係の破綻が認められた場合、「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」とみなされ、離婚を認めてもらえます。

別居した方が離婚には有利?

夫婦で別の生活となる分、家庭内別居に比べれば、完全な別居の方が夫婦関係破綻の有効な証拠とはみなされるでしょう。
別居のみを離婚の理由とする場合、一般的に5~10年程度の期間、別居生活が続けば夫婦関係の破綻とみなされる可能性があります。
離婚請求を行ったのが、離婚に至る原因を作った有責配偶者である場合は更に長くなり10~20年が必要とされています。

別居の事実だけで離婚が認められるのは稀

ただし、それでも別居の事実だけで離婚が認められることは稀です。期間だけで言えば、上記のように、かなりの期間がかかります。
夫婦間でどんな原因・経過を経て、別居に至ったかが重視されるため、別居・家庭内別居を問わず、夫婦間トラブルの原因・状況を証明する証拠(メールや領収書など不倫・浮気の証拠、DVの証拠となる診断書など)はあらかじめ確保しておく事が重要です。

家庭内別居中の浮気・不倫で慰謝料は請求できる?

一般的に、夫婦関係が破綻している場合は、相手が不倫・浮気をしても慰謝料は発生しないのが原則です。
しかし、夫婦関係が破綻していない場合や、そもそも相手の不倫や浮気が夫婦関係の破綻の原因であった場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。

家庭内別居中に相手が他の男性・女性との浮気・不倫に及んだ場合、慰謝料は請求できるかどうかは、夫婦関係が破綻しているかどうかで異なります。

家庭内別居は夫婦関係の破綻を証明しづらい

夫婦関係が破綻しているかどうかは、具体的な事情によって判断されますが、家庭内別居の場合は証明が難しいのが実情です。
家庭内別居の期間や理由、生活の別々具合などを考慮する必要があります。
また、不倫や浮気の証拠も重要です。不倫や浮気の相手との性交渉を示す写真や動画、メールやLINEの内容、探偵の調査報告書などが有効です。

家庭内別居中の浮気・不倫で慰謝料を請求する場合やされる場合は、離婚弁護士に相談することをおすすめします。
離婚弁護士は、夫婦関係の破綻や不倫・浮気の事実関係を客観的に分析し、家庭内別居の現状における慰謝料請求の可能性を見立てることができます。
慰謝料を請求できそうな場合は、適正な慰謝料額を算出し、パートナーや浮気相手への慰謝料請求交渉を任せることも可能です。
家庭内別居中の浮気・不倫への慰謝料請求について、詳細は以下の記事を参照してください。

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家庭内別居状態から夫婦関係を再構築する方法

家庭内別居は、夫婦関係が破綻して離婚に向かう一歩手前の段階と考えられがちです。ただし、実際には家庭内別居をすればすぐ離婚に進むとは限りません。
家庭内別居を夫婦関係修復のプロセスと捉えることで、再び仲良くなる方法はあります。ここでは、家庭内別居状態から夫婦関係を再構築する方法を3つ紹介します。

話し合いの場を持つ

家庭内別居は、夫婦間のコミュニケーションが途絶えてしまった結果です。夫婦関係を修復するには、まず話し合いの場を持つことが重要です。
話し合いの場を持つことで、互いの不満や要望を聞き出したり、感情をぶつけたりすることができます。また、話し合いの場を持つことで、相手に対する理解や尊重、信頼などの感情も徐々に回復していきます。

家庭内別居そのものを夫婦関係修復のプロセスに

家庭内別居は、夫婦が一定の距離を置いて冷静になるための時間でもあります。その時間を有効に活用して、自分自身や相手や夫婦関係について深く考えることができます。

家庭内別居での暮らしを夫婦関係修復のプロセスと捉え、生活の中で気づいたこと、自分が不満に感じていたこと、相手に改善してほしいことなどを整理し、話し合ってみてください。
家庭内別居は、いわば夫婦が新たな関係性を模索するためのチャンスでもあります。そのチャンスを利用して、互いに期待やルール、役割などを明確にすることが重要です。

自分の想いを手紙で伝える

話し合いの場を持つことが難しい、効果が期待しづらい場合は、自分の想いを手紙で伝える方法もあります。
手紙を準備する中で、自分の感情や考えをより冷静に整理していくことができます。

また、手紙で伝えることで、感情的になりがちな直接での話し合いよりも気持ちを素直に、伝わりやすい形で表現できるでしょう。
相手に内容をじっくり読んでもらうことができるのも、対面にはない手紙のメリットです。

完全な別居に移行して冷却期間を作る

完全な別居に移行し、完全な冷却期間を設けることも一つの方法です。
別居に移行し、相手のいない生活を過ごすことで、夫婦はそれぞれの生活や自立を見直すことができます。相手の存在や価値を再認識する機会にもなるでしょう。
冷却期間の長さは、夫婦によって異なりますが、一般的には3か月から半年程度が目安として話し合いを行うことをおすすめします。

長期の別居生活に慣れすぎてしまうと、夫婦関係そのものを煩わしく感じてきてしまう可能性もあります。
夫婦関係の修復を望むのであれば、あくまで冷却期間として期限を切って別居してみることをおすすめします。

家庭内別居のよくある質問

離婚後も同居しての家庭内別居は認められますか?

可能だが、短期間で終えるのが現実的

離婚後も同居しての家庭内別居は、法律上は禁止されていないため本人たちが同意しているのであれば可能です。
生活形態そのものを婚姻中と大きく変わらない形で生活を継続できるので、経済面・新生活の準備・子どもの養育など負担の軽い形でそれぞれの生活をリスタートすることができます。

ただし、同じ家に別れた相手がいるわけなので、離婚したにも関わらず婚姻中同様の精神的ストレスのかかる生活は続きます。
また、両親が同居で揃っている状況のため、ひとり親控除・手当など母子家庭・父子家庭を対象とする行政等の支援を受けられなくなる可能性は高まります。

現実的には、離婚後の同居はせいぜい離婚後の新居や仕事の準備が整うまでの短期間行われれるのが通常で、離婚後同居を長期間続けるのは難しいものと考えられます。

家庭内別居中、休日の過ごし方はどうしたらいいですか?

家庭内別居中の休日の過ごし方は人によってまちまちですが、基本的には結婚前、独身時代と同じように考えて動くのが良いでしょう。
部屋にこもってのんびり過ごすでも、外出して趣味やスポーツを楽しむでもOKです。家庭内別居中の夫(妻)に不快な想いをしない/させない範囲で自由に過ごすことができます。

相手のいる家ではどうしても不自由を感じて休めないようであれば、週末だけ実家に戻って過ごしたり、ホテルや旅館に泊まるというのもひとつの手です。旅行を兼ねての外泊なら精神的なリフレッシュの面でも有効な時間を過ごせるでしょう。

子どものいる家庭の場合、子どもと一緒に遊びに出かけてしまうのがスムーズでしょう。
ひとりで子どもをケアするのは負担でもあります。自分と相手どちらが子どもの面倒を見るかは、互いに相談して決めるのが良いでしょう。
協力が得られない場合は、親の実家に子どもを連れて行くのもひとつの方法でしょう。

生活時間をズラして互いに自由に

家庭内別居中の休日の過ごし方のコツは、パートナーと生活時間をズラすことです。
朝に夫が家を出て、その後に妻が起きる、など時間をズラせば顔をあわせる確率が減り、気まずい思いをしなくてすみます。
互いに快適な休日を過ごせるように、あらかじめルール決めをしておくとスムーズです。

家庭内別居の生活で楽しいところは?

家庭内別居に切り替えることで、生活が楽しくなったと感じる方も少なくありません。
一般的に上げられる家庭内別居を楽しめるポイントには、以下のようなものが上げられます。

自分の時間や空間が増える

パートナーと顔を合わせないようにすることで、自分の好きなことを自由にできる。趣味や勉強、仕事や友達付き合いなどに集中できる。

自立心や自信がつく

パートナーに頼らずに生活することで、自分の力を試すことができる。家事や仕事、子育てなどに責任を持ち、自分の意思や価値観を大切にして生活できる。

パートナーとの関係が改善する

パートナーと生活を分けることで、感情的なやりとりが減る。冷静に話し合うことができるようになったり、相手の良い点や自分が悩んでいた点などを見直すきっかけになる。

基本的には、家庭生活を夫婦がそれぞれで過ごすものに変えることで、ストレスから解放される時間を増やせる点が最大のメリットと言えるでしょう。
ストレスのない時間を手にすることで、自分で行動する習慣を取り戻すことができ、心に余裕ができることで、パートナーとの関係を見つめ直すことが可能になります。

家庭内別居に孤独感・不安感を覚える人も

一方、家庭内別居することで、ひとり時間が増えたことによる孤独感、経済面含め将来を見通しづらい不安感がのしかかり、重く感じる方もいます。
家庭内別居の受け取め方は、夫婦それぞれ、人それぞれで異なるものと言えるでしょう。

まとめ

この記事では、家庭内別居にあたるケースや、仮面夫婦との違い、家庭内別居による子どもへの影響、家庭内別居のやり方やルール設定のコツ、家庭内別居中の生活費や離婚の可能性、家庭内別居状態から夫婦関係を再構築する方法などについても触れてきました。

離婚と異なり、家庭内別居は一時的な選択肢であり、最終的な解決策ではありません。家庭内別居をする前には、夫婦の間にどんな問題があるかよく話し合い、場合によっては弁護士や夫婦カウンセラーなどの専門家をまじえ解決を図るのも有効です。家庭内別居について深く理解し、ご自身にとって最善の道をご検討ください。

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