熟年離婚の原因と特徴とは?メリット、デメリットについても解説

熟年離婚する夫婦

近年増えつつあると言われている熟年離婚ですが、いったいどんな原因や理由で離婚の決意をすることになるのでしょうか。

子育てがひと段落したタイミングで夫婦関係を考え直し、長年の婚姻生活に区切りをつける熟年離婚。
離婚を決意するまでには、相当な葛藤やさまざまな思いがあったことでしょう。

ここでは、熟年離婚の原因やメリットやデメリット、熟年離婚をする際に気をつけるべきことについてまとめています。
熟年離婚をして後悔しないように、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

熟年離婚とは?熟年離婚の特徴や増加の背景

一般的に熟年離婚は、夫が定年を迎え、これからのセカンドライフについて考えるタイミングで、妻の方から離婚を切り出すことが多いと言われていますが、具体的にはどのような離婚のことを言うのでしょうか。

熟年離婚が増えてきている理由や、若い時と違いある程度年齢が行ってから離婚することの問題点やリスクについて解説していきます。

熟年離婚とはどんな離婚か

熟年離婚とは、一般的には「夫婦の年齢にかかわらず、結婚してから20年以上経った後に離婚すること」を意味する言葉とされています。

熟年離婚の響きからは、中高年の夫婦が離婚することを想像する方が多いと思いますが、実際には熟年離婚に関する法律や規定が存在するわけではないため、明確な定義はありません。

熟年離婚が増えている理由

図1 離婚件数の年次推移 昭和25~令和2年
引用:図6 離婚の同居期間別構成割合の年次推移-昭和25~令和2年-|厚生労働省

厚生労働省が発表しているデータによると、同居期間が「20 年以上」の割合が年々上昇傾向にあり、令和2年には 21.5%となっていることがわかります。

熟年離婚が増えている理由にはさまざまな要因が考えられますが、主に4つの理由が挙げられるでしょう。

平均寿命が伸びた

昔は今よりも平均寿命が短く、若いうちにどちらかが亡くなってしまうケースも多かったため、熟年夫婦の数自体がそもそも少なかったと考えられます。

しかし、医学医術の進歩や衣食住にわたる生活改善の影響で平均寿命が伸びた昨今、高齢になってからも夫婦がともに健在のケースが増え、それに伴い熟年離婚を考える機会も増えたため結果的に熟年離婚が増加した、と考えることができます。

定年してからのセカンドライフを健康で過ごすことができるからこそ、悔いのない人生を送るために離婚と言う選択肢を採る方が増えたとも言えるでしょう。

夫の介護はしたくない

平均寿命が伸びたことにより、夫婦間で介護が必要なケースが増えたことも、熟年離婚が増えた要因のひとつになっています。

現在では介護保険制度が充実しており、夫婦間で介護を行わなくても、国や市区町村が生活をサポートしてくれます。

とくに、育児に家事と家庭環境を守るために自分を犠牲にしてきた女性にとっては、やっと育児がひと段落ついたので、今後の人生は自分のために使いたいというのが、離婚の大きなモチベーションになっていると考えられます。

夫の年金をもらうことで経済的に自立できるようになった

昔は今のように女性が社会に出て働く時代ではなく、専業主婦として家庭の中に入るのが一般的でした。
そのため、年金保険料を払っていなかった専業主婦は、離婚してしまうと経済的に困窮してしまい生活できなくなってしまうことから、離婚を断念する人が多かったのです。

しかし、平成19年から年金分割制度が始まり、離婚後に夫の年金を一部分割してもらうことができるようになったため、老後の資金を確保しやすくなりました。

年金分割制度が整ったことで、離婚後の経済面で心配することが減ったことが、離婚増加の要因の一つであると言えるでしょう。

離婚する人が増えた

図1 離婚件数の年次推移 -昭和25~令和2年
引用:引用:図1 離婚件数の年次推移 -昭和25~令和2年|厚生労働省

厚生労働省が発表している離婚件数を見ると、昭和に比べて平成、令和の離婚件数はほぼ倍近くになっているのがおわかりになるかと思います。

かつては一度結婚したら生涯寄り添って生きていくのが夫婦であり、離婚は恥ずべき行為だとする価値観が一般的であった時代も存在しますが、現在では離婚自体珍しい行為ではなく、世間体を気にして離婚を思いとどまる人も減っています。

熟年離婚に関しても、メディアやテレビドラマなどで盛んに取り上げられており、熟年離婚自体のハードルが下がっていることも、熟年離婚増加の一因であるといえるでしょう。

熟年離婚における問題点やリスク

熟年離婚のリスクを考える妻

熟年離婚は若い頃に離婚する場合とは異なり、熟年離婚特有の問題点やリスクが存在します。

ここでは大きく3つのリスクをご紹介します。

お互いの財産を相続できない

離婚をすると法律上の配偶者ではなくなってしまうため、お互いが亡くなった時に、財産を相続することができません。

配偶者は法律上相続の面では非常に優遇されており、どんな場面でも必ず相続人になることができるだけでなく、相続する割合についても他の相続人と比べ優遇されています。また、相続税法上も優遇されており、1億6,000万円までの財産であれば、相続したとしても相続税がかかりません。

そのため、もし配偶者が不動産や株などの資産をある程度持っているのであれば、別居するなどして離婚せずに老後を送った方が、今後相続が発生した場面で優位に話を進められる可能性があります。

離婚後どこに住むのかを考えなくてはならない

離婚をすると当然夫婦で別々の場所に住むことになるでしょう。賃貸であっても、持ち家であっても、夫婦のどちらかは家を出ていく必要が出てきます。そのため、離婚後の住居の確保を考える必要があるというのも、熟年離婚のリスクのひとつであるといえます。

また、持ち家であった場合、配偶者が家を出てしまうと1人で生活するには広すぎる、心機一転して新たにスタートを踏み出したい、という思いから家を売却することを考えることもあるでしょう。その場合、家の売却手続きをどうするのか、売却した利益をどのように夫婦間で分配するのかと言う問題も出てくるでしょう。

高齢になればなるほど、アパートやマンションは借りづらくなりますし、家の売却がスムーズにいくとも限りません。介護施設や老人ホームに入ることも視野に入れて、離婚後の住居については事前に十分に検討をしておく必要があるでしょう。

自立して生活できるよう仕事を探さなくてはならない

年金分割や財産分与で得たお金、自分の貯蓄などで老後の生活ができればいいですが、まだ4〜50代の夫婦が離婚するとなると、年金をもらうまでは自分で働き、自立した生活を送る必要が出てくるでしょう。

長年専業主婦だった方がいきなり働くのは非常に大変ですし、年齢を考えると新たな仕事を見つけるのも簡単ではありません。

実際に離婚をする前に、離婚後の仕事はどうするのか、毎月の生活費はどのように工面するのか、ある程度見通しをつけておく必要があるといえるでしょう。

夫婦が熟年離婚をする主な原因

熟年離婚を考える原因は、些細なことから大きなことまで人によってさまざまです。

ここでは実際にどのようなことが原因となって熟年離婚に至っているのか、夫婦両方の視点に立って解説していきます。

妻視点の熟年離婚の原因

まずは、女性側から見る熟年離婚の原因を確認していきます。

定年後の同居ストレス

熟年離婚の原因として1番に挙げられるのが、定年後に夫が家にいることによる同居のストレスでしょう。

熟年離婚する世代の方が結婚した当時は、「男性は会社で働き、女性は家庭に入る」という概念が一般的でした。その世代の男性が定年退職をした後に、急に家にずっといる生活が、妻にとっては非常に耐えがたいストレスを感じる事があります。特に昔気質な亭主関白を貫く夫婦だと、定年後の生活でも夫が妻に対してかなりきつくあたることもあるようです。

夫の浮気

夫の長年にわたる不倫や浮気も熟年離婚の大きな原因のひとつになります。
たとえ夫が長年にわたり浮気や不倫をしていたとしても、子供への影響を考え我慢していたり、離婚後の生活への不安から、なかなか離婚の決断をできない方が大勢います。
そういった方々が、不倫や浮気の証拠を集めながら、夫の定年を機に、離婚に合わせて慰謝料の請求を申し出るケースが増えているのです。

浪費・経済的DV

夫の浪費癖が治らない場合や、生活費を最低限しか入れてくれないなどの経済的DVを受けたことで、離婚を決意する事もあるでしょう。
そもそも金銭的な面で意識の違いがある場合、今後婚姻生活を継続していくのは困難である事が多いです。

なかには、生活費を一切渡してくれず、最低限の生活費すら妻のパート代からの支払いを要求されているケースもあるようです。

年金分割制度

すでに解説したように、年金分割制度が出来たことにより、夫の年金を分割してもらう事ができるようになった事も、熟年離婚の原因のひとつとして考えられるでしょう。

離婚後、財産分与とともに年金分割の請求もおこなえば、離婚後の生活の経済的な不安は解消され、専業主婦でも安心して生活できるだけの経済的な支えが出来ることになります。

子供の自立

子供が自立して親の手がかからなくなることは、熟年離婚の重要な原因です。
たとえ夫婦仲が冷め切っていても、経済的な面だけでなく子供への影響を最優先に考えて、離婚という選択肢を取らないでいる方が大勢います。

子供が自立すると、子供に対する影響まで考える必要がなくなるため、わざわざ離婚を我慢してまで婚姻関係を続ける必要がなくなるのです。

親族の介護

熟年離婚に該当する40~50代の方であれば、双方の両親の介護が必要になってくるケースもあるでしょう。

介護施設に入所しているのであれば問題ないかもしれませんが、ニ世帯、三世帯で生活している家庭の場合には、妻が自分の両親の介護だけでなく、夫の両親の介護までしなくてはならない状況もありえます。

長い間、家事や育児、家のことなど、自分を犠牲にして家族に尽くしてきた方にとっては、夫の両親の介護までしなければいけない状況は、精神的にも肉体的にも非常に辛いものがあるでしょう。
介護疲れは目に見えないストレスを溜め続け、熟年離婚に至る原因のひとつになり得るのです。

夫視点の熟年離婚の原因

ここまでは女性側から見る熟年離婚の原因を確認してきましたが、ここからは男性側から見る熟年離婚の原因も確認してみましょう。

定年による心境の変化

定年退職をすると、夫婦で過ごす時間が増えます。それまでは気にしていなかった妻の嫌なところが目に付き、日常のストレスが日に日に溜まっていきます。
今まで自分は昼間仕事をしていたのに、妻は自由に友人と遊びに行ったり、自分の趣味に時間を使っている事に対して不満が爆発し、最終的に離婚にまで至る事があるのです。

仕事をしている自分と、専業主婦で家庭にいる妻との価値観が少しずつずれていき、定年を迎えて仕事がなくなる事により、価値観のズレを大きく感じてしまう事があります。

このように、定年による心境の変化が、男性側が離婚を切り出す要因のひとつであるといえるでしょう。

妻や家族からの無関心

熟年離婚にあたる世代は、会社内では役職に付いている事が多く、一定水準以上の給料をもらっていることも多いため、子供がすでに自立している場合には、夫の給料でかなり裕福に生活できる事も多いでしょう。

にもかかわらず、自分がいくら稼いできても、家では夫に冷たい態度をとる妻に対して嫌気がさしてしまうケースや、家族を顧みずに仕事をしてきた事により、家族とのコミュニケーションが上手くいかず、家族からのけものにされてしまうケースなども、男性が離婚を決意する理由のひとつになっています。

経済的な不安が少ない

男性の場合、離婚をしたとしても、今までの貯蓄や退職金、厚生年金など、経済的不安が女性に比べて少ない事が、熟年離婚を増加させる原因のひとつとなっています。

自分1人であれば老後の生活も裕福に暮らせることが、女性よりも離婚に対する抵抗がなくなる要因のひとつであると言えるのです。

離婚の一般化が熟年世代の意識にも影響

時代の変化や離婚に対する社会の認識が変わった事により、離婚は昔よりも身近なものになっています。
特に若い世代にとって、離婚はそれほど特別なものではなく、結婚してみて性格が合わないのであれば離婚すればいい、くらいライトに考えている事が多いです。

そうした離婚に対する意識の変化は、熟年世代の価値観にも影響を与えていると言えるでしょう。

戸籍が電子化した事により、「バツイチ」という言葉ももはや失われつつあります。
このように、離婚はもはや特別な行為ではなくなっているのです。

熟年離婚をするメリットとデメリット

それでは熟年離婚をするとどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

熟年離婚のメリット

笑顔の壮年女性
まずは、熟年離婚のメリットから見ていきましょう。

自分らしく生きることができる

熟年離婚の1番のメリットは、夫婦生活や家族から解放され、自分らしく生きる事ができる事でしょう。

なかには、長年にわたりモラハラやDV、不倫などの苦しみに耐えていたケースもあります。離婚をすればそれらの苦しみから解放され、自分が好きなように今後の人生を歩む事ができます。

もちろん、もう家のことを考える必要もありませんし、無理に気を使う相手もいなくなります。ご飯を作ったり、洗濯をしたりするのも、すべて自分の分だけすればいいことを考えると、精神的な負担がだいぶ軽減されるのではないでしょうか。

新しい人生や恋愛を始めることができる

もちろん、セカンドライフを謳歌するために、新しい恋愛を始める事もできます。

熟年離婚をする人が増えていることを考えると、再婚するために新たな出会いを求めることも十分にありえる話なのです。

子供や孫との関係が良好になる場合もある

夫婦の関係は子供の精神面にも影響を与えます。
子供にとっても、冷め切っている夫婦関係の気まずい雰囲気を感じながら、どちらの味方もしなければいけない状況に立たされているケースが1番辛いでしょう。

離婚をして夫婦関係を解消することで、子供も両親の間で板挟みになる状況から解放されます。
その結果、今までよりも親子間で話しやすくなり、子供との関係性が前よりも良好になる事もあるでしょう。

熟年離婚のデメリット

物思いに耽る女性
次に、熟年離婚のデメリットについて見てみましょう。

生活費や老後資金が不安になる

専業主婦の場合、離婚をすると経済的に頼る相手がいなくなってしまうため、今後の生活費や老後資金が不安定になってしまうことを考えなくてはいけません。

財産分与や年金分割、場合によっては慰謝料請求など、離婚手続きの中で請求できるものは、しっかり請求していく必要があると言えるでしょう。

孤独感や心配事が増える

長年に渡って家族と一緒に生活してきたのに急に1人で生活しなくてはならないとなると、どうしても孤独感や寂しさを感じることになってしまうでしょう。
とくに、今まで家事をまったくした事がない男性にとっては、日常生活を送ることすらままならないこともあるでしょう。

経済的な面だけでなく、生活面でも心配事が増えるのが、熟年離婚のデメリットの一つであると言えます。

子供や孫との関係が悪化する場合もある

離婚をすることで子供との関係が良くなる事もありますが、反対に離婚をする事で子どもや孫との関係性が悪化してしまうケースもあります。

子供にとって、離婚の原因などは基本的に関係がありません。
この世に2人しかいない両親が離婚して離れ離れになってしまうことは、子供にとって決して嬉しい事ではないでしょう。

どちらの戸籍に入るのか、苗字はどうするのかだけでなく、相続や介護など、さまざまな面で子供に対して面倒をかけてしまう可能性があるため、熟年離婚を検討している場合、子供の意見を十分に聞いたうえで離婚手続きを進める必要があるといえるでしょう。

熟年離婚をするときに気をつけるべきこと

ここからは熟年離婚をするときに気をつけるべき事について解説していきます。

離婚原因や自分の気持ちを整理する

離婚手続きを本格的に進める前に、まずは自分の気持ちを落ちついて整理してみてください。
離婚原因は何なのか、本当にもうやり直す事はできないのか、離婚するしか解決する事ができない状態なのかどうかを冷静に考えてみましょう。

不倫相手との一時の感情や、考えなしになんとなく離婚をしてしまうことで、離婚してから後悔する事がないようにするべきでしょう。

まずは夫婦間で話し合いを試みる

そのうえで、まずは夫婦間で今後についてしっかり話し合い、できれば離婚調停ではなく、話し合いで解決する協議離婚の方向で話を進めるのがベストです。

熟年離婚の場合、夫婦生活が長いことから、財産分与や年金分割、慰謝料、養育費など、離婚に伴う財産関係の処理が複雑になったり、金額が高額になるケースが多いです。
離婚後のトラブルを避ける意味でも、離婚協議書はしっかりと作成し、できれば公正証書として離婚の条件を公的な書面として残しておくようにするのが良いでしょう。
 

離婚後の生活費や老後資金の確保

離婚後の生活費や老後資金の確保、離婚後の居住地について、事前にしっかり考えておく事が重要です。

とくに女性側からすると、今まで生活費を稼いでいた旦那が急にいなくなってしまうため、今後は1人で生活していかなくてはなりません。
無計画に離婚手続きを進めるのではなく、事前にしっかり計画を立てて離婚手続きを進める事が重要です。

財産分与や慰謝料の交渉方法

離婚の手続きを進める際には、合わせて離婚にともなう財産分与や慰謝料を請求していくことになります。

財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に築いた財産を、離婚時に夫婦で分配する手続きのことを指します。
結婚した後に得た財産については半分ずつが基本ですが、その人の固有の財産であると認められれば、財産分与の対象とはならない財産もあります。

財産分与の請求ができるのは離婚後2年以内となっていますので、離婚時に確実に請求するようにしてください。

なお、財産分与の対象になる財産には以下のようなものがあります。

財産分与の対象になる財産
  • 家や土地などの不動産
  • 結婚してから購入した車
  • 家具や家電
  • それぞれの預貯金
  • 保険の解約返戻金
  • 退職金
  • 年金

退職金については、まだ退職金が支給されていなくても、数年後にもらえるであろう退職金について、財産分与を請求する事が可能です。
給料の後払いとしての性質をもつ退職金は、婚姻期間中に得た財産として妻にももらう権利が発生しているのです。

また、年金については年金分割の請求も忘れずにするようにしてください。

慰謝料請求

慰謝料とは、精神的な損害に対する損害賠償金のことを指します。
性格の不一致を原因として離婚する場合に慰謝料を請求することは難しいかもしれませんが、モラハラやDV、不倫などを原因として離婚する場合には相手に対して慰謝料を請求する事ができます。

慰謝料の額はケースによりまちまちですが、不倫の場合であれば、おおむね50万円〜300万円前後でまとまるケースが多いです。

慰謝料請求について裁判所に認めてもらうためには、それ相応の証拠が必要となります。
証拠にはさまざまなものがあるため、どのような証拠が必要で、実際にどれくらいの慰謝料が認められるのか、詳しくは弁護士に相談してみるのがいいでしょう。

子供や孫との関係性の維持

離婚手続きで揉めて話がなかなか進まないと、その分、子どもにも迷惑をかける事になるかもしれません。
とくに金銭面での折り合いがつかないと交渉がまったく進まず、離婚がなかなか成立しないこともよくあります。

離婚後もできる限り子供との関係性を良好に保つためにも、離婚手続き中も子どもとコミュニケーションを取ることを忘れないようにしてください。

熟年離婚で弁護士に相談するメリットと選び方

女性弁護士
熟年離婚は、若いうちにする離婚よりも年金分割や財産分与、慰謝料請求などの面で手続きが複雑になるケースが多いです。
少しでも不安な部分があるのであれば、協議離婚の仲介から調停離婚の代理などを弁護士に依頼する事も視野に入れることをおすすめします。

ここからは、熟年離婚を弁護士に相談するメリットや弁護士の選び方について解説していきます。

熟年離婚を弁護士に相談するメリット

まずは、熟年離婚を弁護士に相談するメリットを見てみましょう。

離婚条件や手続きに関する専門的なアドバイスが受けられる

熟年離婚の場合、離婚をした後の生活が不安な方も多いかと思います。
熟年離婚の経験豊富な弁護士であれば、離婚した後の生活について、経済的な面や精神的な面から適切にアドバイスをくれるでしょう。

また、離婚手続き、年金分割、財産分与、慰謝料請求など、複雑な手続きについて、法律的な視点から適切なアドバイスをもらうこともできます。
手続きを優位に進めることで、離婚後の生活費を確実に確保するためには、専門的知識のある弁護士に一度相談してみることをおすすめします。

離婚交渉が円滑に進められる可能性が高まる

離婚手続き、年金分割、財産分与、慰謝料請求などの手続きは、計算の仕方や相場など、法律に基づいた専門的な知識が必要になります。

また、ここにあげた手続きはすべて別の手続きで行う必要があり、必要書類や手続きの進め方がそれぞれ異なります。
婚姻生活で精神的にも疲弊してしまっている状況で、これらの複雑な手続きをすべて一人で進めるのは非常に大変です。

弁護士であれば手続きの進め方を熟知しているため、書類の作成や裁判所とのやり取りをすべて任せることができます。
必要書類についても、提出資料は何が必要で、証拠としてどの書類が有効なのかの判断は全て弁護士がしてくれますし、もちろん相手との交渉も全て弁護士に任せることができます。

当事者同士では感情的になってしまいなかなか進まない交渉も、交渉の専門家である弁護士であればスムーズに話を進めることが可能です。

心理的な負担が軽減される

熟年離婚の場合、基本的には夫婦間での話し合いで離婚を進めることになるため、同じ立場になって一緒に考えてくれる人はいないことが多いです。そのため、相手との交渉や難しい手続きを進めることが精神的に辛くなってしまい、離婚の条件などを妥協してしまうことが多いでしょう。

弁護士であればこちらの味方になって交渉を進めてくれるため、精神的な負担はだいぶ軽減されますし、何かあればすぐに弁護士に相談できるという安心感を得ることもできます。

精神的に落ち着いたままこちらに有利な条件で離婚を成立させ、セカンドライフを楽しむ準備を進めるためにも、離婚手続きで味方になってくれる弁護士に相談することは非常に有用であると言えるのです。

熟年離婚を依頼する弁護士の選び方

いざ弁護士に依頼する際にどの弁護士に依頼すればいいのか、迷ってしまう方も多いかと思います。

ここからは、熟年離婚を依頼する弁護士の選び方のポイントを3つご紹介します。

熟年離婚に関する経験や実績が豊富な弁護士を探す

まずは、離婚に関する経験や解決実績が豊富な弁護士であることが重要です。

弁護士にも力を入れている分野とそうでない分野の相談があり、たとえば相続、債務整理、交通事故、労働問題、離婚問題、刑事事件など、得意分野は弁護士により異なります。
そのため、離婚に関する経験があまりない弁護士に依頼してしまうと、相手に請求する金額の計算に時間がかかってしまったり、交渉や手続きがスムーズに進まないおそれがあります。

その点、離婚問題に力を入れている弁護士であれば、離婚に関する法律知識も豊富で、経験に基づいたノウハウを駆使して、こちらの要望通りに手続きを進めることが可能です。

注目!

そのお悩み弁護士に相談してみては?

当サイトを見ても疑問が解決しない、状況が異なるので判断が難しいと感じたら弁護士に相談することをおすすめします。
初回相談無料の弁護士も数多く掲載しておりますし、どの弁護士もいきなり料金が発生するということはありません。まずはお気軽にご相談ください。

相談料や着手金、報酬金などの費用体系を確認する

弁護士費用は弁護士事務所ごとに異なるため、事前にどれくらい弁護士費用がかかるのか、費用体系をしっかり確認しておく必要があります。

弁護士費用としてかかる金額には、大まかに以下のようなものがあります。

  • 相談料…30分あたり5,000円程度
  • 着手金…20万~30万円程度
  • 報酬金…30万~50万円程度
  • 日当…1回の出廷で1万〜3万程度
  • 実費…1〜2万程度

これらの金額はあくまでも目安であり、実際にかかる金額は個別の事案ごとに異なります。

また、年金分割や財産分与、慰謝料を獲得した場合には、その金額に応じて報酬金が別途かかる可能性もあるため、どのような場合に費用がかかるのか、事前にしっかり確認しておくようにしてください。

何件か確認して相性や信頼感がある弁護士を選ぶ

弁護士も人間なので、こちらと相性が良い弁護士も入れば、なかには相性が悪い弁護士も
いるでしょう。

熟年離婚は、依頼者と弁護士がしっかり話し合って、離婚条件等をすり合わせていく必要があります。そのため、親身になって最善の解決方法を一緒に考えてくれる弁護士に依頼しないと、自分の希望していないような条件で離婚が成立してしまうおそれがあります。

離婚を得意とする弁護士に何件か相談してみて、親身になってくれそうな弁護士や自分に合いそうな弁護士に依頼するようにしてください。

熟年離婚をする際の準備・手続きの流れ

離婚手続きの流れ
離婚をしたことがない人にとって、離婚手続きがどのように進んでいくのかわからな
方も多いと思います。

ここでは離婚手続きの流れについて解説していきます。

  1. 協議離婚
  2. 離婚調停
  3. 裁判離婚

協議離婚

離婚の条件や財産分与、慰謝料などについて、まずは相手と交渉をして話をまとめることになります。もし弁護士に依頼するのであれば、この交渉は全て弁護士が代理人となって行ってくれることになります。

離婚の条件についてお互いの合意が得られたら、離婚協議書という書面を作成し、場合によっては公正証書として作成し、公的な書面として残しておくことになるでしょう。

離婚調停

相手との話し合いがまとまらない場合、裁判所を通した手続きである離婚調停を申し立てることになります。

離婚調停では裁判所の調停委員が夫婦の間に立ち、双方の合意を得られるよう、何回かに渡り話し合いを行うことになります。

話し合いが無事にまとまれば調停離婚が成立し、裁判所より離婚が成立した旨の書面が作成されることになります。

裁判離婚

離婚調停でも話し合いがまとまらない場合には、裁判所に直接離婚の可否を判断してもらう離婚裁判を起こすことになるでしょう。

裁判ではお互いの主張と証拠を提出し合い、裁判所がその内容について判断する事になります。

もしも裁判の中で和解が成立すれば「和解離婚」、和解には至らず、裁判所が出す判決という形で離婚が認められた場合は「裁判離婚」が成立する事になります。

熟年離婚に関するよくある質問

熟年離婚に関するよくある質問をまとめました。

熟年離婚の財産分与で気を付けることは何ですか?

熟年離婚の場合、婚姻生活が長いことから夫婦の財産が高額になることが多く、夫婦間でどのように財産を分割するのか揉める事が多いです。

基本的に婚姻生活中に得た財産はすべて半分ずつ分割する事になるので、まずは財産分与の対象を把握するため、財産をリストアップするところから始めましょう。

専業主婦でも熟年離婚の財産分与は半分もらえますか?

専業主婦の方であっても、財産を半分もらう事ができるのが原則です。

ただし、夫が働いている間に家事や育児を全くしないなど、妻側に何らかの落ち度が認められる場合には、もらえる財産の額が減ってしまう可能性があります。

将来もらえる退職金は財産分与の対象になりますか?

まだもらっていない退職金については、このまま何もなければ退職金の支給が確実に認められるような場合には、その退職金の半額を財産分与として請求する事ができます。

もちろん、すでに退職金を受け取っているのであれば、その分の退職金も対象となります。

熟年離婚で財産分与は拒否できますか?

財産分与の請求は拒否することはできません。

しかし、請求期限である「離婚の時から2年」を過ぎてしまうと財産分与を請求する事ができなくなってしまうため、離婚後であればいつでも請求できる訳ではない事に注意が必要です。

熟年離婚した場合、税金や社会保険料はどうなりますか?

財産分与は税金がかからないのが原則です。しかし、不動産や株式などの財産が財産分与の対象となっている場合には、譲渡所得税が課される可能性があります。

また、贈与税や相続税を免れるために形だけの離婚をしたような場合には、脱税と見なされ贈与税が課されてしまう可能性がある事にも注意が必要です。

なお、社会保険に関しては、離婚をすると当然夫の扶養から外れる事になるため、妻自身で国民年金などの保険に加入する事になります。

まとめ

熟年離婚は、家や車、退職金などを含む財産分与、年金分割や慰謝料など、決めなければいけない事が山ほどあります。
協議離婚で話がすんなりまとまれば問題ないですが、話がこじれてしまうと離婚調停や離婚裁判まで行う必要が出てきてしまいます。

離婚後の経済的支援など、熟年離婚特有の問題点もたくさんあり、どのように話を進めればいいのか、必要な書類は何なのか、わからなくなってしまうこともたくさんあるでしょう。
熟年離婚を考えている場合には、専門家弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

熟年離婚で損しないためには経験豊富な弁護士に相談を

多くの人にとって、離婚は何度も経験する事ではありません。
よくわからないまま手続きを進めてしまうと、相手に有利な条件で離婚が成立してしまい、金銭面で損をしてしまうこともあるでしょう。

離婚問題の経験が豊富な弁護士であれば、相手の交渉で優位に立てるだけでなく、精神的にも心の支えになってくれるでしょう。
まずは、親身になって相談を聞いてくれる弁護士に気軽に相談してみましょう。

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