子どもができないから離婚?不妊で離婚する前に考えたいこと

不妊の悩み

そもそも不妊は離婚理由になる?

結論から言うと、日本の民法上では不妊は離婚に事由には該当しません。離婚が認められる5つの事由は以下の通りです。

  1. 不貞行為がった
  2. 3年以上の生死不明になっている
  3. 悪意の遺棄があった
  4. 相手に重大な精神病がある
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由

不妊は体質や相性、相手が不妊になる原因を持っているケースがほとんどです。

しかし、不妊だけでは婚姻を継続し難い重大な事由にはならないため、日本では離婚理由として認められませんし、強制的に離婚をさせられることもないです。

そのため、不妊が原因でどうしても離婚をしたい場合、以下の3つの要素をよく考える必要があるでしょう。

不妊が原因で離婚考える前に考えたい、3つのこと

もしもあなたが不妊をきっかけに夫(妻)と不仲になり、離婚を考えているとしたら、その前に次の3つのことをよく考えてみましょう。もともとは仲の良かった二人のこと。絡まってしまった心の紐さえほどいてあげられれば、夫婦生活をもち直すことができるかもしれません。

夫(妻)はどこまで不妊治療を望んでいるのか?

必死になっていたのは、自分だけだったかもしれません。

「どうしても赤ちゃんが欲しい!友人は普通に生んでいるのに、なぜうちだけができないの?」そんな切ない思いがあると、「自分はこんなにがんばっているのに、なぜ夫(妻)はいい加減なのだろう?」と、苛立ちが募ってしまいます。

しかし、夫(妻)はそもそもあなたと同じように、「どうしても赤ちゃんが欲しい」と思っているでしょうか? もしかしたら、「赤ちゃんが生まれたらもちろんうれしいけれど、もしできなかったとしても、それはそれで二人で楽しく生きていけばいい」と思ってはいないでしょうか?

夫(妻)とじっくり腰を据えて話し合い、本心を聞き出してみましょう。そしてもしも夫(妻)が「無理してまで子どもが欲しいとは思わない」と言うようなら、「じゃあここまで不妊治療を続けて、それでもダメなら諦めましょう」と、不妊治療の到達点を明確にすることです。そのことで夫(妻)も肩の荷が下り、離婚の危機も回避できるかもしれません。

不妊治療のために、夫(妻)を我慢させ過ぎていないか?

過度の締め付けは、夫婦不仲の原因になる

これは妻に多いパターンですが、「妊娠するためには、あれもこれも改善しなくちゃダメ!朝は早起きして青汁1杯、ご飯はもちろん玄米、豆類は精子を元気にするからドッサリ食べてね」と、夫の好みを無視して食事管理を徹底する人がいます。

さらに「タバコは当然禁煙!」などと夫の楽しみを奪い、妊娠の可能性がない日のセックスは却下。これでは夫は、仕事をする元気もなくなるでしょう。次第に外で食べたい物を食べ、快楽を共にできる女性と不倫をするようになり、やがて離婚を考えるようになるのです。

夫の気持ちになって不妊改善の努力を

不妊治療のためとはいえ、過度の締め付けは離婚の危機を招きます。もちろん努力することは大切ですが、何事も限度を超えてしまうと、不妊治療以前に一番大事な“夫婦の調和”が保てなくなります。

たとえば「朝は青汁を飲んでくれたら、あなたの好きなアジの開きを付けるわね」「煮豆は苦手みたいだから、毎朝納豆を食べましょうか」というように、夫の気持ちになって不妊改善のための努力をすると、夫も「それならボクもがんばるよ!」と協力的になってくれるでしょう。

子どもが欲しいばっかりに、妻を責めるのはNG

不妊治療のために我慢をさせ過ぎるのは、妻ばかりではありません。「親から跡継ぎを作れと言われている」などのプレッシャーをかかえている夫の中には、妻が不妊治療の痛みに耐えきれずにいると、「そのくらい我慢できなくてどうするんだ!」と責めたてるケースもあります。

痛みに対する感じ方には個人差があって、不妊治療の痛みがどうしても我慢できない人もいます。それを無理強いすると、夫婦仲がしだいに悪化し、離婚へと進んでしまうことになるのです。

不妊治療は、夫婦がお互いを慈しみ、思いやり合ってこそ成り立つもの。特に一度決めたことは絶対に貫くような根性のある人は、結婚相手が必ずしも自分と同じ性格ではないことを認識し、場合によっては不妊治療を諦めるくらいのしなやかな心が必要です。

一番大切なのは“夫婦の愛”だということを、忘れてはいないか?

もう一度原点に戻って、夫婦の愛情を考えてみる

不妊がきっかけで、不妊外来に通い始める夫婦。最初は「何回か治療を受ければ、妊娠できるかもしれない」と期待を抱いて、辛い治療もがまんするのですが、何回か失敗するうちに少しずつ二人の心は折れていきます。

そして「もうこれ以上不妊治療を続けても、どうせうちは無理だね」という話になったとき、夫婦の間には言い知れない寂しさが漂い、離婚の2文字が頭をかすめ始めるのです。

痛い思いを我慢し、沢山のお金をかけて不妊治療をしたのに、すべてが無駄になってしまったときの虚しさ。これは不妊治療を受けた夫婦にしか、絶対にわからない気持ちでしょう。

不妊治療の費用が家計を圧迫し、生活に潤いがない

不妊治療が高額なのはよく知られていますが、問診・内診・超音波検査・血液検査などを含めると、1回の費用は4千円~1万円程度。この金額はクリニックや治療内容によってかなり違い、人工授精に至ると自由診療なので、1回1万5千円~3万円程度の費用がかかります。

不妊治療が1回で終わることは稀で、何回か繰り返すことになるため、トータルで数十万円、中には100万円以上の経費をかける夫婦も珍しくありません。こうした不妊治療が夫婦の家計に及ぼす影響は大きく、夫婦はその分つましい生活を強いられ、ギスギスした生活に疲れて離婚へと至ってしまうケースもあります。

同じように数十万円かけたとしても、「海外旅行に行ってリッチに過ごしてきた」というのなら満足感もあるでしょう。ところが不妊治療は、先の見えない苦しい作業。「不妊治療の費用は無駄になるかもしれない」と思いつつ、給料日後の外食すら控えるような生活を送るうちに、夫婦の関係が冷え込んでいくのは当然かもしれません。

不妊治療の痛みは、特に女性にとって大きな苦しみとなる

不妊治療の中には、かなりの痛みを伴う治療もあります。たとえば「卵管造影検査」。これは子宮の形や卵管の詰まり具合などを調べる検査で、膣から子宮に向けてカテーテルを入れます。この検査で激痛を感じるかどうかは、ドクターの腕にもかかっているようですが、「気が遠くなるほど痛かった」と嘆く妊婦さんも数多くいます。

他にも「筋肉注射」や「排卵時の採卵」など、女性が強い痛みを感じる不妊治療があり、妊娠するためにはこうした痛みを乗り越えなければなりません。

この痛みが女性の精神状態に与える影響は小さくなく、思わず「あなたはいいわね!結局私だけが辛い思いをするんだわ」と捨てゼリフのひとつも吐きたくなるでしょう。このように不妊治療の痛みは、夫婦関係を悪化させ、離婚をしてしまう要因のひとつになっています。

不妊治療に対する夫婦間の温度差も、夫婦関係悪化の原因となる

不妊治療は夫婦で協力し合って臨まなければなりませんが、たとえば妻が「どうしても赤ちゃんが欲しい」と思っていても、夫は「できなければできないで別にかまわない」と思っている場合もあります。

そうなると、妻は「赤ちゃんが生まれるなら、いくらお金を使ってもいい」と思っていても、夫は「そこまでしてやる必要があるのか?」と苛立ち、揉め事になるケースもあります。

妻は妻で、「どうしてもっと協力してくれないの?」と、不満を溜めることになります。そんな夫婦の温度差が、夫婦関係の悪化につながり、離婚へと発展してしまうのです。

不妊治療をすることで、性生活そのものが義務になってしまう

性生活は本来、夫婦の絆を深めるための行為でなくてはならないのに、不妊治療をすることによって“子どもを作るための仕事”に変わってしまいます。タイミングを見計らって「今日なんだけど」と妻に言われても、夫の中には興ざめしてしまう人もいるでしょう。

特に夫がそこまで子作りに積極的でない場合は、次第に不満が溜まってしまい、ついに浮気へと進んで離婚の危機に瀕するケースもあります。

不妊が原因で離婚に至ってしまう場合は、弁護士に相談を

不妊をきっかけに、どうしても離婚せざるを得ない状況になってしまった場合は、弁護士に相談するのがベストの方法です。当サイトでお住まいの地域を選び、離婚問題に強い弁護士を何件かピックアップし、何件か法律相談を受けて相性のいい弁護士を見つけましょう。

不妊と離婚の関係に関するまとめ

不妊というのは、確かに夫婦にとってショッキングな事実です。友人や兄弟姉妹が何の悩みもなく子どもを産み、ワイワイと子育ての話で盛り上がっている中で、「自分だけが取り残された」という気持ちを持つのは無理のないことです。

しかし、もしも夫婦の間に子どもができなかったとしたら、それは子育て以外に何かやるべきことがあるからなのかもしれません。子どもができたら幸せ、でもできなくても、それはそれで幸せ。そんなおおらかな心で不妊治療を行うことが、不妊から離婚へと道を踏み外さないための、一番の方法といえるでしょう。

結婚したての頃はラブラブだった二人なのに、「赤ちゃんができない」という障害にぶち当たった時点で、一番大切な“夫婦の愛”を忘れて、不妊治療に向けて突き進んでしまう人がいます。

しかし、そこですぐに妊娠できれば問題ありませんが、長期にわたってその状態が続くのは離婚の危機を招きます。もう一度原点に戻って、一番大切なのは子どもではなく、“夫婦の愛”だということを、振り返ってみましょう。

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