離婚届の書き方|スムーズに受理してもらうための注意点5つを解説

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佐々木 一夫 弁護士

離婚届を記入する際の注意点

離婚届が一回で通らない夫婦は、実は意外とたくさんいます。「しまった!証人の印鑑がシャチハタだった」というようなことがあると、また離婚届を持って証人宅に行かなければなりません。煩雑さをさけるためにも、記入の際の注意点を事前に把握しておきましょう!

離婚届の書き方は?事前に把握しておきたいこと

離婚届の書き方①しっかりと色の出る「筆記用具」を使う

消えるタイプのペンは使えない

離婚届を書くときは、しっかりと色の出るボールペンやサインペンを使いましょう。インクがなくなりかかっているようなペンや、消えるタイプのペンはNGです。

離婚届の書き方②「訂正」するときは二重線を引く

修正テープや修正液は使えない

「いけない!間違えて書いてしまった」というときは、思わず修正テープや修正液を使いたくなりますが、これもNG。訂正箇所は二重線で消して、その横に訂正印を押しましょう。

離婚届の書き方③協議離婚の場合は、必ず二人で書く

調停や裁判による離婚には、相手の署名はいらない

協議離婚の場合は、必ず夫婦ふたりで署名をして、印鑑を押します。調停や審判・裁判による離婚の場合には、申し立てた人がすべてを記入して、相手の署名部分は空白でかまいません。

離婚届の書き方④印鑑にシャチハタはNG

認め印でも大丈夫

印鑑は夫婦・証人ともに、シャチハタやゴム印はNGです。「実印を押さなければ」と思う人もいるのですが、認め印でも大丈夫です。印鑑がかすんだりしないように、はっきりと押しましょう。

離婚届の書き方⑤協議離婚の場合は「証人」2名の署名捺印が必要

離婚の証人に法的な拘束はない

協議離婚の場合は、証人2名の証明捺印が必要です。証人は、成人している人なら誰でもかまいません。

離婚の証人を頼むと、人によっては借金の保証人とダブって考えてしまい、「それは受けられない」と断られる場合があるかもしれません。しかし、離婚の証人になったからといって、法的な拘束を受けたり、権利・義務が生じたりすることはありません。役所からどこかに、証人になったという情報がいってしまうこともありません。その辺をよく話したうえで、承認をお願いすると良いでしょう。

どうしても証人が見つからない場合には、離婚届の承認を代行する会社を利用する方法もあります。2名の承認を頼んでも、多くの場合1万円以下で済ませることができます。(調停や審判・裁判による離婚の場合には、離婚届の証人は必要ありません。)

実際に離婚届を書きながら気を付けたいこと

用紙の書き込み順に、書き方の注意点をまとめています。実際に書きながらチェックしてください。

【令和○年○月○日届出】届出の日付は、提出日を記入する
とりあえず空白にしておいた方が無難 離婚届の名称のすぐ下に「平成○年○月○日届出」と書いてあります。ここには、実際に離婚届を提出する日を記入しましょう。最初に日付を記入してしまうと、その日に行けなかった場合に日付が変わってしまって面倒なので、取りあえずは何も書かないでおいた方が無難です。
郵送の場合は、郵送日を書けば大丈夫 離婚届を郵送する人は、「もしかしたら郵便の到着日を書くのでは?」と悩むかもしれませんが、郵送日で大丈夫です。また、調停や審判・裁判で離婚した場合には、確定の日から10日以内に届出を提出しなければいけないので、注意しましょう。
【○○長殿】夫婦の本籍地の市区村長宛にする
本籍地の役所に行けないときは、戸籍謄本を一緒に提出 届出日の下にある「○○長殿」という欄の○○には、夫婦の本籍地の市区町村を書きましょう。たとえば本籍地が東京都豊島区であれば、「東京都豊島区長殿」となります。
【氏名】戸籍に記載されている氏名を書く
新字体で書くと別人とみなされる たとえば「齋藤」という苗字の人の中には、書き方が難しいので普段は「斉藤」という新字体を使っている人がいます。書き慣れていると、つい離婚届にも新字体を使ってしまいがちですが、それはNG!離婚届のうえでは、別人とみなされてしまいます。必ず戸籍に記載されている氏名を記入しましょう。
離婚後の氏名ではないので注意を 離婚届を出す際に、「旧姓に戻るから」と離婚後の苗字を書いてしまう人がいますが、これはNGです。離婚届が受理されるまではまだ夫婦なので、婚姻時の苗字を書きましょう。
【生年月日】は年号でも西暦でも、どちらでもOK
年号の省略は不可 生年月日を書く欄には、和暦○年と書いても、西暦で書いても問題ありません。ただし、例えば、昭和を「s」と省略して書いたりするのはNGです。
【住所】戸籍に記載されている住所を書く
番地の省略などは認められない 氏名と同様、「現住所」や「本籍」も、戸籍とまったく同じ書き方をする必要があります。たとえば本籍に「453番地10」と書いてあるのに、「453-10」と書いてしまったりすると、NGになってしまいます。戸籍謄本などを見ながら、間違えずに書きましょう。
【本籍】本籍と住所は違う場合があるので要注意
必ず戸籍簿で本籍の確認をすること 「この家で生まれ育ったから、本籍と住所は同じはず」と、本籍地の欄に現住所を書いてしまう人がいますが、本籍と住所は違う場合があります。必ず戸籍簿で確認してから書くようにしましょう。
戸籍の一番はじめに書かれている人が「戸籍筆頭者」 戸籍筆頭者とは、戸籍の一番はじめに書かれている人のことを指します。ただし、外国籍の人は国籍のみを記入します。
【父母の氏名】親が死亡していても、必ず記入する
両親が離婚している場合は、必ず姓から記入 離婚届には、「父母の氏名」を記入する欄があります。「父親は他界しているので書かなくていいだろう」と、記入しない人がいるのですが、これはNG。必ずそれぞれの両親の名前を記入しましょう。親の姓は省略してもいいのですが、もしも両親が離婚している場合は、必ず姓から書きます。
【続き柄】父母との関係を記入
長男・次男・三男という書き方 続き柄には、父母との関係を記入します。たとえば夫が長男であれば「長男」、次男であれば「次男」、三男なら「三男」と書きます。妻の場合も同じように「長女」「次女」「三女」となります。
【離婚の種別】話し合いによる離婚は「協議離婚」にレ点
調停や審判・裁判による離婚は成立(確定)日も記入 離婚の種別は、該当する項目にレ点を入れます。話し合いによる離婚の場合は、協議離婚にレ点を入れます。調停や審判・裁判による離婚の場合には、レ点のほかに成立(確定)した日付も記入します。
【婚姻前の氏にもどる者の本籍】旧姓に戻る人は必ず記入を
旧姓に戻らない人は、別途届け出が必要 離婚をして旧姓に戻る人は、「妻」と「もとの戸籍にもどる」にレ点を入れ、本籍地を記入します。離婚をしても婚姻時の姓を名のる場合はここには記入せず、離婚届とは別に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出します。
【未成年の子の氏名】親権者の方に子の氏名を記入
親権者が決まっていないと、離婚ができない 夫が親権者なら「夫が親権を行なう子」の欄に子どもの氏名を、妻が親権者なら「妻が親権を行なう子」の欄に子どもの氏名を記入します。親権者が決まっていないと、離婚届は受理されません。
【同居の期間】覚えていなければだいたいでOK
同棲し始めた年月を、覚えていない場合もある 「同居の期間」には、挙式した年月か同居を開始した年月のうち、いずれか早い方を記入します。「最初は同棲していたけれど、もう何年も前のことだし、いつから一緒に住んだか覚えていない」という人もいるかもしれません。その場合でも「絶対に真実を書いてください」などと言われることはないので、安心してください。覚えている範囲で、だいたいの年月を記入すれば大丈夫です。
【別居する前の住所】すでに別居している人だけが記入
別居していない人は空欄でOK すでに別居しているときは、夫婦で暮らしていたときの住所を書きます。別居していない場合は空欄で大丈夫です。
【別居する前の世帯のおもな仕事と夫婦の職業】国勢調査の年度にのみ記入
国勢調査の期間以外は無記入でOK この欄は、国勢調査をする年の4月1日~翌年3月31日までに離婚届を出す場合にだけ記入します。国勢調査は5年に一度行われ、2020年・2025年・2030年と、5で割り切れる数字の年に開催されます。
【その他】父母が養父母の場合に記入
「父母の氏名」と書き方は同様 父母が養父母の場合には、ここに「父母の氏名」と同様の書き方で記入します。
【届出人】夫と妻の氏名を書いて捺印
夫婦の名前を書く欄が複数あるので注意を 離婚をする夫と妻の氏名を書き、印鑑を押します。夫婦の名前を書く場所は2~4ヶ所もあるので、「また名前を?」と思うかもしれませんが、夫婦の署名捺印をするのはここだけです。

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