離婚の財産分与をもらい損ねないための【3つの注意点】

共有財産の分け方

離婚のときに受け取る財産分与は、今後の人生にとって非常に重要な生活の糧となります。しかし、やり方を一歩間違えると相手から「財産隠し」をされてしまうこともあるので、くれぐれも慎重に行動を!財産分与をもらい損ねないための、3つの注意点をご紹介します。

【財産分与の注意点①】財産チェック前は、絶対に離婚の意思を告げない

財産を隠されてしまうと、簡単には調べることができない

「相手に離婚を告げる前に、共有財産を事前チェックすること」。これは財産分与を有利に進めるために、絶対に守るべきルールです!有利に進めるためというよりは、もらうべきものをもらい損ねないためにと言った方が良いでしょう。

多くの女性は、「夫に三下り半を突き付けて、ギャフンと言わせてやりたい」と思うあまり、ごく早い時期に夫に対して離婚の意思を告げてしまいます。でも、実はこのことが、後になって大きなアダになって自分に返ってきてしまいます。仕返しをしたつもりが、ブーメランのように自分への仕返しになって戻ってきてしまうのです。

財産隠しは、いとも簡単に実行できる

なぜなら、相手が「離婚するかもしれない」と察知してしまうと、自分名義の財産を持っている人の多くは、「いかにして隠すか」を考え始めるからです。そして財産隠しは、いとも簡単に実行することができます。隠し預金であれば、口座があることを妻に知られないように、会社で通帳を保管すれば良いだけです。

「そんなことを言っても、離婚となれば依頼した弁護士も詳しく調べるだろうし、財産を隠してもすぐにわかってしまうのでは?」と勘違いしている人もいますが、それは間違いです。なぜなら、離婚は民事事件の範疇に入るため、夫が隠し財産を持っていても簡単に個人情報の部分に踏み込んでいくことができません。

正確に言うと、弁護士は「弁護士照会」によって夫名義の口座などの内容を調べることは可能ですが、金融機関がこれに回答したがらないのが現実なのです。金融機関としては個人情報保護法に抵触する恐れがあるため、夫から逆に訴えられるリスクを考えて、情報開示に関しては消極的です。ましてやタンス預金のように自宅に隠してしまった現金は、刑事事件のように家宅捜査などはできないので、まったく調べることはできないでしょう。

この状況は、調停に進んだ場合でも同様です。離婚裁判に進んではじめて、裁判所から金融機関などに強制的な財産調査を行うことが可能になります。夫の社内預金や退職金なども、裁判所に「調査嘱託」を申し出ることで、会社から回答してもらうことができます。調査嘱託とは、裁判所が必要としたときに、官庁や団体に対して情報の強制開示を求められることを言います。

たとえ隠し財産があることがわかっても、法律には問われない

では、夫の財産隠しが後になってバレた場合は、罪に問われるのでしょうか?これに関しても、残念ながら答えは「NO」です。それはなぜかというと、夫婦の間には「親族相盗例」という刑法上の規定が適用になるため、親族間で発生した一部の犯罪行為として、刑罰を免除されてしまいます。

もちろん、後から隠し財産が発覚した場合は、損害賠償の請求が可能です。そのため、発覚すること自体はとても良いことなのですが、刑に罰せられないために平然と財産隠しが横行しているのも事実なのです。

上記のような理由から、相手の財産チェックがすべて終わるまでは、絶対に離婚の意思を告げてはなりません。離婚のそぶりを見せることもNGです。悔しいと思うかもしれませんが、相手が何も知らずに油断しているときでなければ、財産チェックは難しいのです。

もしも「もうすでに離婚を告げてしまった」という人は、この期間は夫に対してできる限り波風を立てないようにしましょう。そして平穏な状態を保ちつつ、ひとつでも多くの財産を証拠として残せるよう、努力することです。

【財産分与の注意点②】財産の証拠集めに専念する

財産の証拠となる通帳や書類を用意する

相手に財産があるかどうかは、通帳や書類などがあれば明らかになります。下記の通帳や書類があるかどうかをチェックしましょう。

  1. 相手名義の貯金通帳
  2. 夫がサラリーマンの場合は給与明細、自営業なら確定申告書
  3. 不動産を所有している場合は不動産登記簿
  4. 株やFXなどをやっている場合は証券口座の明細
  5. 生命保険に入っていれば保険証券

通帳や書類の原本を取っておくことが難しければ、コピーをしておきましょう。ただし、通帳や書類が相手の手元にある以上、いつ解約や引き出しをされるかわからないことは、常に認識しておかなければなりません。

【財産分与の注意点③】財産形成に自分が貢献したことを主張する

夫が稼いだお金でも、家庭を支えてきたのは妻。堂々と主張を

さて、相手と財産分与について話し合いを進めるにあたっては、自分が財産形成にしっかりと貢献してきたことを、主張することが大切です。なぜなら、婚姻期間中に二人で協力して築き上げてきた財産を、離婚する際はそれぞれの貢献度に応じて分配するという、考え方があるからです。

間違っても「主人が働いて得たお金だから」などと控えめな態度を示すことはやめましょう。夫は働いて給料を得たかもしれませんが、妻はその間に家事をし、子どもを育てるなどして家庭を支えてきたのです。そのことに対してはけっして遠慮することなく、堂々と自分の貢献度を主張することです。

かつて財産分与の割合は、夫が7~8割・妻が2~3割だった

財産分与の割合は、基本的に夫婦で2分の1ずつというのが、現在は主流となっています。しかし、かつては妻の割合が2~3割という時代もありました。夫は外で働き、妻は専業主婦という形態が当たり前だったため、財産形成への妻の貢献度は低いと見られていたのです。共働きが増えるにつれて、この割合は見直され、現在は半分ずつに落ち着いています。

ただし、ここで特に注意したいのは、専業主婦の人の場合です。主婦が財産形成への貢献度を主張する場合は、家事従事による財産形成への寄与、つまり“内助の功”が重要視されます。調停や裁判に進んだときには、相手側が「いかに妻が家事を怠り、財産形成に寄与しなかったか」を主張してくる可能性もあるでしょう。それに負けないためにも、自分自身が妻として財産形成にしっかりと貢献してきたという自覚をもって、臨むことが大切です。

離婚の財産分与に関する、さまざまな事例

弁護士に相談することで、高額の財産分与を受けられたAさんの場合

Aさんは、会社を経営する夫と18年前に結婚し、家事と子育てに専念していました。経済的には何不自由ない暮らしでしたが、夫は当然のように不倫を繰り返し、Aさんに対してDV行為も行っていました。

ずっとそれに耐え続けていたAさんですが、我慢はもう限界にきていました。子どもが就職して自立したのを機に、ついに離婚を決意。夫に打ち明けたところ、夫は離婚には応じないばかりか、そのときから財産隠しを始めたのです。

Aさんは弁護士に相談し、一部始終を打ち明けました。その後、弁護士はAさんの夫に対して財産目録の開示を求めました。夫は「ここで嘘をつくと、後々自分が不利になるかもしれない」と察知し、預貯金や生命保険・不動産などの内訳を開示。総額約4,000万円に対し、Aさんは2,000万円の現金を受け取り、無事に協議離婚へと至りました。

離婚裁判で「調査嘱託」を申し出て、夫名義の財産を立証したBさんの場合

Bさんの夫は結婚間もない頃から浮気を重ね、二人の仲はすでに冷めきっていました。現在は別居中。二人の間には小学生になる子どもが1人いました。「私も仕事を持っているし、正式に離婚をしてすべてを清算し、これからは子どもと二人で生きていこう」と、Bさんは決意しました。

共働きだったので、Bさんにもそれなりの預貯金があります。しかし、夫が離婚に応じないため、財産については一切聞き出すことができません。夫の社内預金や退職金の額が判明しないと、Bさんの方が財産分与を払わなければならない状況でした。

離婚裁判へと進んだBさんは、裁判所に「調査嘱託」を申し出ました。夫の会社に対して、夫の社内預金の金額と、別居時点で退職していたら夫が受け取る筈だった推定の退職金の金額を申し出た結果、会社からは正確な数字を回答してもらうことができました。

裁判所はこれによって、婚姻時に関わる社内預金と退職金を財産分与の対象とし、Bさんは正当な財産分与を受けて無事離婚することができました。

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