離婚後の子どもの戸籍と姓【多感な時期の子供には配慮を】

離婚後の子どもの戸籍と姓

子どもの戸籍(姓)を変えることで、好奇の目にさらされることも

戸籍を変更しても幼稚園入園前であれば大きな問題はない

「あまりに辛いことがあった結婚生活だから、もうこれ以上夫の戸籍(姓)を名乗り続けたくない」と思っている人もいるでしょう。自分が旧姓に戻るのと一緒に、子どもも旧姓を名乗り、母子で新しい人生を踏み出したいと願うのは当然のことです。

もしも子どもが幼稚園入園前であれば、子どもの名字に対する自覚もまだあまりなく、子ども同士の人間関係も希薄なのであまり問題はないかもしれません。母親は「実は離婚したので名字が変わって」と、近所のママ友などに説明することはありますが、母親同士の会話であれば子どもが傷つくことはありません。

「なぜ名字が変わったの?」と疑問に思う、子どもの友だち

一番子どもにとって辛い状況になるのは、幼稚園の年中・年長・小学生の頃です。自分の名字が変わることによって、当然ながら先生から呼ばれる名字も変わります。クラスメイトがそのことに気付くと、「なぜ〇〇くん(さん)の名字は突然変わったのだろう?」と疑問を持つでしょう。それは仕方のないことです。

ところが、なぜ名字が変わったのかという理由を、クラスメイトはすぐには理解できません。「自分にはパパとママがいるのに、なぜ〇〇くん(さん)にはパパがいなくなってしまったのだろうか?」と不思議になり、そのことで子どもが好奇の目にさらされてしまう可能性もあるでしょう。

学童期の子どもたちには遠慮や気づかいといったものがほとんどないので、容赦なく質問されてしまうことで、子ども心に大きなストレスをかかえてしまうかもしれません。

幼稚園や学校の先生が、よほど上手に説明してくれない限り、子どもが戸籍(姓)を変えることで周囲から受けるダメージは大きいと考えておいた方が良いでしょう。

離婚後は戸籍も変え、思い切って引っ越しをするという選択肢もある

別の街に暮らすことで、戸籍を気にせずに済む

「それでもやっぱり、親子で一緒に戸籍(姓)を変えて、人生の再スタートを切りたい」と考えるのであれば、思い切って住み慣れた街を離れ、子どもの旧姓を知らない人が住む街で暮らすのもひとつの方法です。

離婚前に住んでいた街には、離婚相手のことを知っている人もいるでしょうし、そこに暮らし続けることは思い出を引きずって生きていくことにもなります。それならば、いっそのこと別の街に住んだ方が、まっさらな状態で再スタートを切れるかもしれません。

シングルマザーが住みやすい環境を選べる

もしも引っ越しを考えるなら、シングルマザーにとって住みやすい環境を選んだ方が賢明です。

ひとり親家庭に対する援助の内容は、自治体によって大きな開きがあります。それによって暮らしの豊かさもかなり変わってくるので、どの市町村にどんな制度があるかを調べてから転居地を選ぶことをお勧めします。

母親だけが戸籍(姓)を変える場合にも、若干の問題は残る

書類の保護者欄に、子どもと違う名字を書かなければならない

「子どもの姓は変えられないので、自分だけ旧姓に戻ることにした」という人もいるのですが、この場合も若干の問題は残ります。

それは、子どもが成人するまでは、何かにつけて書類に保護者名を記名しなければならない機会があるからです。たとえ親が離婚したことを周囲が知っていたとしても、書類を出す時に親子の名字が違うというのを、気にする子どももいるでしょう。中には、保護者と子どもの名字が違うことで、書類の提出先から「親権者は父親では?」と訊ねられてしまうケースもあります。健康保険証に記載される名前も、一枚のカードに違う名字が載ることになり、使うときに恥ずかしいと感じる子どももいるようです。

母親が戸籍(姓)を変えなければ、ほとんど気になる要素はない

また、母親が学校のPTA活動などに参加した場合は、母親が皆の前で名前を呼ばれたときに「誰のお母さんだろう?」と疑問に思ってしまうこともあります。もし母親が婚姻時の戸籍(姓)を変えないでいれば、子どもが自分で言い出さない限り、誰も親が離婚していることには気づきません。

つまり、母親が離婚後に戸籍(姓)を変えなければ、子どもは両親の離婚などまったく関係なく、いたって普通に学校生活を送ることができるのです。子どもの気持ちとしては、両親の離婚を親しい友人に話すことはあっても、クラス全体に知れ渡るようなことはしたくないと思っているでしょう。

もちろん、母親が婚姻時の姓をそのまま名乗ることが、道義上どうなのかというのは別の話です。元夫の実家にしてみると、離婚後まで自分たちの姓を名乗ってほしくないという気持ちもあるでしょう。しかし、子育てという観点からみると、間違いなく母親が婚姻時の姓を変えない方がスムーズにいくことは確かです。

“通称”ということで、学校でのみ旧姓を使う子どももいる

学校で旧姓を名乗っていれば、目立たずに済む

戸籍上で母親や子どもが戸籍(姓)を変更しても、学校の先生の計らいがあれば、学校でのみ“通称”ということで旧姓を名乗ることもできます。持ち物に書く名前なども、通称で問題ありません。それならばいたずらに目立ってしまうこともないため、子どもは傷つかずに済むでしょう。

このような形をとったときは、うっかり周囲に子どもの戸籍上の名前がバレてしまわないよう、母親として細心の配慮が必要です。本当の名字が違うことを誰かに知られたときにも、上手に対処できるよう、あらかじめ考えておく必要があります。

また、学校で通称を名乗ることはできても、学校への提出書類などは旧姓を使うことができません。卒業式では、卒業証書授与の際に「〇〇くん(さん)」と通称で呼んでもらうことはできますが、卒業証書に書かれる名前は戸籍上の名前になります。

再婚したときにも、戸籍(姓)の問題はつきまとう

母親が再婚することで、子どもの戸籍(姓)が変わることもある

離婚したときだけでなく、再婚したときにも、戸籍(姓)をどうするかという問題はつきまといます。離婚をしたときに子どもの戸籍(姓)を変えなかったとしても、母親が再婚をすると、新たに子どもの戸籍(姓)問題が浮上してくるのです。

民法や戸籍法では、母親が再婚した際の子どもの戸籍(姓)に関して、次のように定めています。

<民 法>
(養子の氏)
第八百十条  養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

(子の氏の変更)
第七九一条  
① 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
② 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
③ 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。
④ 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

<戸籍法>
第九十八条 【子の改氏の届出】
①民法第七百九十一条第一項から第三項までの規定によつて父又は母の氏を称しようとする者は、その父又は母の氏名及び本籍を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
②民法第七百九十一条第二項の規定によつて父母の氏を称しようとする者に配偶者がある場合には、配偶者とともに届け出なければならない。

離婚→再婚によって、子どもの戸籍(姓)を二度も変えてしまうことがある

「養子は、養親の氏を称する」というのは、子どもが母親の結婚相手と養子縁組をした場合に、子どもの名字が変わるという意味です。また養子縁組はしなくても、家庭裁判所で氏の変更許可をもらい、母親の婚姻後の氏を称する入籍の届出をした場合は、子どもの名字が変わります。

では何も手続きをしなければどうなるかというと、子どもの名字は再婚前のまま。つまり母と子は、再婚時点で違う名字になってしまいます。相手がこちらの姓を名乗ってくれれば、母子は同じ姓になることもできますが、男性が名字を変えるというのはレアケースでしょう。

また、母親が離婚したときに、すでに戸籍(姓)を変えてしまったという子どももいます。この場合に子どもは、もしも母親の再婚相手と養子縁組をすると、一度ならず二度までも戸籍(姓)変更を強いられてしまうのです。それはさすがに可哀想というものでしょう。もしも若いママが離婚する場合は、「この先もしかしたら再婚するかもしれない」という可能性を視野に入れて、子どもの戸籍(姓)を考えることが大切です。

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