離婚後の親権、成人した子どもの戸籍や苗字はどうなる?

離婚届けと指輪、印鑑、ペン

離婚後の親権ですが、子どもが既に成人(20歳以上)している場合、親権を考える必要はありません。ただ「親権」と「戸籍」や苗字の問題は、それぞれ分けて考える必要があります。

子どもが離婚前の氏(苗字)を名乗るのであれば、戸籍は父親の側に移ります。一方、母親の氏(苗字)を名乗るのであれば、戸籍は母親の側に残りますが、親が再婚をした場合は養父母の苗字を名乗る流れとなります。

このほか、子どもが未成年であっても結婚をした場合には「成人」と見なされ、親の親権から離れ、親権者を決定する必要は無くなります。本記事では離婚時、子どもが成人している場合の戸籍や苗字の問題について詳しく解説しましょう。

子どもが成人している場合の離婚後の親権

両親の離婚後、子どもが未成年の場合には、子ども一人につき一人の親権者を決める必要があります。しかし、子どもが20歳以上の場合には「親権者」を決定する必要はなくなります。

子どもの親権|未成年・成人の違い

子どもの年齢が20歳未満 親権を決定する必要がある
子どもの年齢が20歳以上 親権の決定は必要なし

離婚届には、親権を記入する項目があります。子どもの年齢が20歳未満の場合、親権者を決める必要があります。一方、子どもの年齢が20歳を超えていれば、親権者の欄を空白にしても(離婚届は)受理されます。

苗字と氏の違い

苗字は「家族の名」のことで、山田太郎さんの場合は「山田」を苗字と言いますが、法律上は氏(し)と呼ばれ、一般には姓(せい)と呼ぶ場合があります。

こうした手続き上の問題から「子が成人をするまで、離婚をしない」と決めた夫婦も多いです。実際、熟年離婚の割合が増えており、平成28年度の調査では全体の約17%が結婚20年以上の夫婦だと言います。

ただ、子が巣立つタイミングまで待ち続けるのは、精神的に負担が大きいことです。離婚問題を早期解決したい方は、一人で問題を抱えずに、信頼できる離婚弁護士に相談してみましょう。

子どもが結婚をした場合、未成年でも成人と見なされる

民法上「男性は18歳、女性は16歳」になれば父母の同意に基づく婚姻が認められています。また、子どもが未成年でも結婚をした場合には「成人」と見なされます。

婚姻をした未成年の子どもがいる場合には、離婚届の親権者を空欄にしても受理される

このため、婚姻をした未成年の子どもがいる場合には、離婚届の親権者を空欄にしても受理されます。

ただし、2022年4月には民法が改正され、成人の年齢が20歳から18歳にまで引き下げられます。このため、18歳になれば父母の同意なく婚姻を結ぶことが可能となり、親権者の扱いも(2022年4月以降)変わることになります。

※ 民法改正と「今後の親権者問題」については、本記事の最後で詳しく解説をします。

離婚後の子どもの戸籍

夫婦が離婚をした場合、基本的に子どもの戸籍は「離婚前の戸籍」のまま残ります。ただし、夫婦が婚姻の際、妻の苗字(氏)をそのまま名乗ると届け出ていた場合には、子どもは母親の戸籍に残ることになります。

親の姓と子どもの戸籍

離婚前(夫婦の婚姻時) 離婚後
両親が婚姻時、妻は夫の苗字を名乗るよう手続きをしていた 子どもの戸籍は、父親の側に残る
両親が婚姻時、苗字を別々に名乗る手続きをしていた 子どもの戸籍は、母親の側に残る

海外の場合「夫婦別姓」は、珍しいことではありません。しかし日本の場合、夫婦同姓が基本であり、婚姻後の夫婦は同じ苗字(氏)を名乗ることになるのです。

ただし、婚姻後の苗字(氏)は妻のものでも夫のものでも自由に選択できます。例えば、山田太郎さんが田中花子さんと結婚した場合、婚姻後の苗字は田中太郎としても法律上問題はありません。

しかし「妻の苗字」を名乗る夫婦の割合は少なく、平成28年度の調べでは全体のわずか4%しか妻の苗字を選択しませんでした。このため、離婚後の子どもの苗字は原則、夫の苗字(氏)と同じであり、戸籍も夫の側に残るというパターンになります。

離婚後の子どもの苗字(氏)を決定する方法

離婚後、子どもの苗字(氏)は離婚前の苗字と同じになります。ただ、子どもが苗字を変えることは可能です。

この手続きは「子の氏の変更許可申立」と言い、家庭裁判所に書類を申請すれば、子どもの苗字は夫から妻の苗字(または妻の苗字から夫の苗字)に変更できます。

ただし「子の氏の変更許可申立手続き」には、以下の書類と手続きが必要となり、一定の時間と手間が掛かります。

子の氏の変更許可申立手続きに必要な書類

  • 子の氏の変更許可申立書
  • 申立人(子ども)の戸籍謄本
  • 父・母の戸籍謄本(父母離婚の場合は、離婚の記載がある戸籍謄本)
  • 収入印紙(子どもひとりにつき800円)
  • 連絡用の郵便切手(申し立てをする家庭裁判所に問い合わせのこと)

下の画像は、裁判所が配布している「子の氏の変更許可」申立書の見本です。

「子の氏の変更許可」申立書の見本

裁判所が配布している「子の氏の変更許可」申立書の見本1

裁判所が配布している「子の氏の変更許可」申立書の見本2

申立書の書き方ですが、子どもが15歳未満と15歳以上で書き方が変わります。下に裁判所が作成した「書き方の見本」を載せておくので、それぞれの書類を比較してみてください。

子の氏の変更許可(子どもが15歳未満の場合)

子の氏の変更許可(子どもが15歳未満の場合)1

子の氏の変更許可(子どもが15歳未満の場合)2

子の氏の変更許可(子どもが15歳以上の場合)

子の氏の変更許可(子どもが15歳以上の場合)1

子の氏の変更許可(子どもが15歳以上の場合)2

家庭裁判所に「子の氏の変更」が認められた後、市区町村役場に届け出を行い、子どもの氏(苗字)が変更となります。また「子どもの戸籍」については、届出人の住所地の役場に入籍の届けを行う必要があります。

詳しい手続きの方法は、裁判所のページを参考にしてください。

参考リンク:子の氏の変更許可(裁判所)

また「子の氏の変更許可」手続きについては、離婚問題を専門に扱う離婚弁護士に相談するのが一番です。弁護士に任せておけば、複雑な親権や戸籍・氏の変更方法について、分かりやすく解説を行い、法的手続きを進めてくれるので安心です。

子の氏の変更許可に掛かる時間

申立人本人が家庭裁判所に出向いて手続きをした場合、即日処理審判を利用することで「申し立てから一日」で戸籍の書き換え手続きが完結します。

即日処理審判とは

申し立てた当日に、子の氏の変更許可を終了する取り扱いのこと。「離婚した後の父親又は母親の氏への変更と父親又は母親死亡後の母親又は父親の復氏に伴う氏の変更で,事由が生じてから1年以内で,申立をする子供が30歳未満で婚姻していない場合」に限り、家庭裁判所における「即日処理審判」が認められています。

なお、子どもが15歳未満の場合は、親権者が家庭裁判所に出向き「子の氏の変更申請」を行う流れとなります(※ 各家庭裁判所は月曜日から金曜日の毎日9時〜16時まで受付を行っています)。

郵送の場合は、即日処理審判ができないので注意しましょう。

このほか、子の氏の変更許可がスムーズに受理されるよう、必要な書類の作成は弁護士に相談した上で進めておくと安心です。子どもの氏の変更許可について分からないことがあれば、離婚弁護士に相談をしてみてください。

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15歳以上の子どもの親権は、子どもの意思を尊重して決定する

子どもが未成年であっても「15歳以上の子ども」については、子どもの意思を尊重し、親権を決めてください。

子どもが15歳を過ぎれば、自分の人生は「自分にも決定権がある」と考えるものです。このため、幼子のように両親だけの意見で親権を決めるのは難しく「子どもがどちらの親に親権を持ってもらいたいのか」それぞれの意見を聞き、親子間で決める必要があります。

なお、子どもの姓を変える場合、子の年齢によって手続きの方法は異なります。子どもが15歳未満の場合には親権者など「法定代理人」が子どもの代わりに「子の氏の変更手続き」を行います。

一方、子どもが15歳以上になると、子ども自身が申立人として「子の氏の変更」を申し立てることができます。

このほか、弁護士に申し立ての代理をお願いすることも可能です。後々、親権問題で揉めないためにも離婚問題を専門に扱う「離婚弁護士」に相談するのがベストでしょう。

親権者が死亡した場合の子どもの親権

親権を持つ親が死亡した場合、法律では「未成年後見人」を選ぶ必要があります。民法839条では「未成年者の親権について、遺言で未成年後見人が指定できる」としています。

民法第839条

第一項 未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。
第二項 親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は、前項の規定により未成年後見人の指定をすることができる。

また、遺言などにより「未成年後見人の指定が無い」場合には、親族や利害関係人の請求により未成年後見人を選定します。

民法第840条 第三項

未成年後見人を選任するには、未成年被後見人の年齢、心身の状態並びに生活及び財産の状況、未成年後見人となる者の職業及び経歴並びに未成年被後見人との利害関係の有無(未成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と未成年被後見人との利害関係の有無)、未成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

なお未成年後見人として、もう一人の親(=生存している親)の親権を復活させることが可能です。

民法第819条 第六項

子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。

上の「民法819条6項」にあるとおり、裁判所に適切かどうか認められた場合には、親権者変更手続きを行い「親権」を復活させる手続きが行えます。

なお、子どもの親権者変更については、時間も手間も掛かることであり、素人では太刀打ちできない部分が多くなります。法的な部分については弁護士に相談の上、手続きを進めると良いでしょう。

親が再婚した場合の子どもの親権と戸籍の問題

離婚後、親が再婚をした場合の「子どもの親権と戸籍」ですが、子どもの戸籍と再婚後の母親の戸籍が別々になります。つまり一つの家庭に、二つの戸籍が同居するかたちとなるのです。

離婚後、親が再婚をした場合の「子どもの戸籍」

  • 再婚をした夫と妻だけの戸籍
  • 妻が除籍された状態で子どもが残っている戸籍

このように、戸籍と親権は「別のもの」として考えてください。離婚後、子どもの戸籍は離婚前と同じですが、親権は実父母のどちらかを一人「親権者」として届け出を行います。

そして「親が再婚をした場合の戸籍」ですが、子どもと再婚相手の男性が普通養子縁組をする方法や子どもと再婚相手の男性が特別養子縁組を行う方法のほか、法的親子関係を形成しない「養子縁組無し」とする方法が選択できます。

親の再婚に伴う子どもと親(再婚した男性)の関係
普通養子縁組 法的な親子関係が結べるが、戸籍の続柄には養子(女の子の場合は養女)として記載される。
特別養子縁組 子どもが6歳未満(一緒に住んでいた場合は8歳未満)の場合、戸籍に「養子や養女」などの記載がなく、法的にも「本当の親子関係に近い」家族が形成される。
養子縁組なし 子の戸籍は離婚前と同じ、同居をする男性(継父)と子どもの戸籍は別のものとなり法的親子関係は形成されない。

普通養子縁組 法的な親子関係が結べるが、戸籍の続柄には養子(女の子の場合は養女)として記載される。
特別養子縁組 子どもが6歳未満(一緒に住んでいた場合は8歳未満)の場合、戸籍に「養子や養女」などの記載がなく、法的にも「本当の親子関係に近い」家族が形成される。
養子縁組なし 子の戸籍は離婚前と同じ、同居をする男性(継父)と子どもの戸籍は別のものとなり法的親子関係は形成されない。

なお養子縁組を行った場合、子どもの苗字(氏)は養親の苗字を名乗ることになります。

親の再婚に伴う子どもの苗字
親子の関係 再婚後の子どもの苗字
普通養子縁組 子どもの苗字は養父母の苗字を名乗る
特別養子縁組 子どもの苗字は養父母の苗字を名乗る
養子縁組なし 離婚前・親の再婚前の苗字と同じ

子どもの養子縁組とや特別養子縁組の仕組みについては、下の記事にて詳しく解説しています。

成人年齢が18歳になった場合の子どもの親権

成人した男女

2018年6月13日に改正民法が成立し、2022年4月1日より「年齢18歳をもって成年とする」ことが決まりました。現行、成人は20歳以上となっていますが、新しい民法では男性女性ともに18歳を「成人」と認めることになります。

2022年4月より、18歳の高校生夫婦が誕生する

2022年3月末までは「未成年者の婚姻は父母の同意が必要」としますが、2022年4月1日以降は18歳になった時点で、父母の承諾なく婚姻できるという流れとなります。つまり、親が認めずとも法的に「高校生がお互いの同意のみで夫婦になれる」時代が来るのです。

親の離婚後「氏の変更をした子ども」については、成人後〜満21歳までの期間「今のままの姓で良いのか」前の姓に戻すかどうか選択する余地が与えられます。

なお、2022年4月1日以降の苗字の変更については「18歳を成人」とするため(子の氏の変更をされた方は)18歳〜19歳までの期間に姓の変更をするかどうか検討する流れとなります。

まとめ|離婚後の子の戸籍は離婚前と同じ

原則、離婚後の子の戸籍は「離婚前と同じ」ですが、子どもが成人(2022年3月末までは満20歳を成人とし、2022年4月1日以降は満18歳を成人とする)をした場合には、離婚届における「親権者の欄」を空白にしても受理されます。

離婚をしても、戸籍と親権者、苗字の問題はそれぞれ分けて考える必要があります。なお親が再婚した場合には「親権の問題をどうするのか」再び、養子縁組の手段や方法について考え直す必要があります。

このほか未成年者の親権者が死亡した場合は、後見人を決める必要があります。また家庭裁判所への手続きによって、非親権者を親権者にすることも可能です。

離婚や再婚に伴う親権問題、未成年の子の親権や苗字の変更問題については、離婚問題のエキスパートである「離婚弁護士」の相談してください。今回取り上げた親権の問題だけでなく、子の養育費や離婚に伴う慰謝料についても弁護士が問題を解決してくれます。

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