親権をめぐる調停や裁判に臨む際の「3つの心構え」【要注意!】

親権心構え

離婚する夫と妻が、子どもの親権に関する話がまとまらずに調停や審判・裁判に進んだとき、いったいどのような心構えで臨んだら良いのでしょうか?親権問題は、子どもを巻き込む非常にデリケートな問題。さまざまな危険性も踏まえながら、細心の注意を払って臨むことが大切です。

【心構えその1】子どもの連れ去りに要注意!

「そんなことがあるはずがない」と思うことが、実際に起こっている

親権を法廷で争う段階にきたとき、状況が不利な側が子どもを連れ去るという事態が起こっています。「子どもを遊びに連れて行くから」と言って連れ出し、そのまま帰らなかったり、保育園や幼稚園に突然お迎えに行って連れ去ってしまうなど、そのやり方はさまざまです。

「まさか、あの人がそんなことをするはずが」と思う気持ちはわかりますが、実際にそういうことがいくつも起こっていることは事実です。可愛い子どもを手元に置くために、どんな手段でも使いたいと思うのが、調停や裁判に臨む人間の心理でもあるのです。

そういうこともあるのだということは頭に入れておき、あらかじめ保育園や幼稚園の先生に「私が迎えに行かない場合は、前もってご連絡します」と、ひと言伝えておくことも必要でしょう。

子どもの連れ去りがあったとき、調停や裁判にどう響くのか?

もしも父親が「このままだと調停が不利に働く」と思って子どもを連れ去った場合、実際には父親側にとって不利な状況に働きます。もともと家庭裁判所は、男性が育児をすることに対しては懐疑的で、たとえ父親の親族に面倒をみる能力があったとしても、有利になることはあまりありません。逆に母親の側に実家の両親などフォローできる存在がある場合は、裁判所も肯定的にとらえることが多いでしょう。

では、なぜ不利な状況になるにもかかわらず、父親がそのようなことをしてしまうのでしょうか?よくありがちなのは「もうそうするしか方法がないと思った」というような、短絡的な理由です。子どもには状況を把握して自力で家に帰る能力がないため、それを知っていてあえて行う行為といえます。調停や裁判において、9割ほどの親権が母親に認められる現状にあって、子どもと暮らしたい一心の父親にとっては最後の切り札となるのが“連れ去り”なのです。

ただし、法廷で不利に働くとはいえ、連れ去られた子どもを取り戻すのは容易ではありません。もしもこうなってしまった場合は、自分の力で何とかしようと思うのは危険かもしれません。相手の性格を判断したうえで、状況によっては速やかに家庭裁判所に調停(または審判)の申立てをしましょう。

また同じ連れ去りでも国際離婚の場合は、本国に子どもを連れ去られてしまうと、たとえ母親でも子どもを取り返せないケースが頻発しています。子どもの連れ去りに関しては、十分過ぎるくらい十分に注意をしましょう。

【心構えその2】虚偽の証拠が出てくることを覚悟する

相手がでっちあげの証拠を作るケースがある

本来あり得ないことですが、現実には法廷の場で不利に働く側が、でっちあげの証拠で立ち向かってくることが往々にしてあります。たとえば母親の精神状態がおかしいことを証明するために嘘の日記を書いたり、母親が子どもを虐待している事実を捏造するなど、さまざまな方法が考えられます。

母親の側に養育をするうえで問題がなかった場合、それでも何とかして親権を取りたいと頑張る父親には、「何が何でも子どもと暮らしたい」という強い思いがあるに違いありません。自分が不利だと知りながら調停や裁判に臨むくらい強気なので、それなりの手を打ってくる可能性は大いにあるでしょう。

「調停や裁判とはそういうものだ」と思っていれば、腹も立たない

親権をめぐる調停や裁判に臨むにあたって非常に大切なのは、「冷静さを保つこと」です。相手に親権を取る見込みがない場合、残されるのはでっちあげの証拠で自分を有利にすることぐらいしかありません。

しかし、裁判はそのような虚偽の証拠づくりに踊らされてしまうほど、甘くはありません。むしろ怖いのは、虚偽の証拠を出されて興奮してしまい、裁判官と言い合ってしまうなど自分自身の心象を悪くしてしまうことです。何としてでも親権を取りたい相手は、興奮させることで体制を有利にしようと画策してくる場合もあるからです。

「自分にまったくやましいことがないのだから、絶対に大丈夫」という自信をもって、冷静に堂々と調停や裁判に臨むことが大切です。そして、嘘は嘘、やっていないことはやっていないと、きっぱりと言い切る勇気も必要です。

相手の策略にはまらないよう、弁護士にきちんと相談を

離婚調停の際に、「経済的に大変だから」と弁護士に相談せずに進める人がいますが、これは極めて危険なことです。特に相手が証拠を捏造するといった巧妙な手段に出てきた場合は、当然ながら相手は弁護士を付けてくるでしょう。親権を勝ち取るためには、どんなことでもする覚悟で臨んでいるはずです。

このような状況下で、自分だけが弁護士抜きで立ち向かうことはできません。親権が相手にいってしまっても後悔しないのならその方法もありますが、親権を絶対に奪われたくないのであれば、調停の段階から弁護士に相談した方が賢明でしょう。

裁判の段階で弁護士を依頼することもできますが、調停から裁判までの一連の流れを弁護士が知っていることは、裁判を進めるうえで有利に働く可能性が大です。家庭内のことというのは、はっきりとした事実がわかりづらく、相手が虚偽であっても時系列のきちんとした証言をしてきた場合は、太刀打ちできなくなる危険性もあるのです。当サイトで離婚に強い弁護士を見つけて、まずは法律相談から始めてみることをお勧めします。

【心構えその3】子どもの心を傷つけないよう、細心の配慮を

子どものためには、できる限り争いを長引かせないこと

慰謝料や財産分与といった問題と違い、親権争いは直接子どもに関わる問題です。乳幼児ならまだしも、物心ついた子どもがいる場合は、親同士が親権をめぐって争っていることは少なからず子どもの精神状態に影響を与えます。親権争いは長引くケースが多く、内容によっては仕方がないとも言えますが、親としてできる限り長引かせない努力も必要です。

子どもの預け先を、必ず見つけておきましょう

また、調停や裁判ともなると、幾度となく裁判所に足を運ぶ機会が生じます。その際に、子どもを預かってくれる先を事前に見つけておくことが大切です。実家の母親などに預けられればベストですが、そうでない場合は近所の知り合いやシッターなど、信頼して任せられる大人に子どもを託しましょう。

「シッターを頼むのは経済的に大変」という場合は、シルバー人材センターに依頼したり、助け合い共済に入っていれば加入者にケアをお願いしたりすることもできます。その場合は1時間1,000円以下で託児を依頼できるので、くれぐれも子どもを家に置き去りにしたり、裁判所に連れて行ったりすることの無いようにしましょう。裁判所には託児の用意はなく、調停や裁判の当日は、子どもを控え室で待たせなければならないため非常に危険です。

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