離婚後の子供の姓と戸籍はどうする?~入籍手続きと戸籍に伴う問題

離婚と子供の問題

離婚するときには、旧姓に戻るか婚姻時の姓を名乗るかを選ぶことができますし、戸籍をどのような形にするのかも決めないといけません。子どもがいたら、子どもの姓や戸籍についても、自分のものとは別に手続きする必要があります。子どもの姓や戸籍を変えるには「子の氏の変更許可申立」が必要です。離婚をしたら、できるだけ早く弁護士からアドバイスをもらい、姓や戸籍についての適切な対応をしましょう。

1.離婚すると、姓や戸籍はどうなるの?

離婚をすると、妻の姓はどうなるのかご存知でしょうか?婚姻中に使っていた姓を名乗るのか、実家の旧姓に戻るのか、または、どちらかを選ぶことができるのでしょうか?

姓だけではなく戸籍の問題もあります。結婚をすると、妻が夫の「戸籍」に入ることが多いのですが、離婚すると戸籍を分けなければならないので、その際自分の戸籍がどうなるのかも把握しておく必要があります。

このように、離婚をするときには「姓」と「戸籍」の問題を理解しておかなければなりません。そのことを、以下で詳しく見ていきましょう。

2.姓と戸籍

2-1.姓について

そもそも、結婚時や離婚時の「姓」は、どのような取扱になっているのでしょうか?姓とは、いわゆる「名字」「苗字」のことです。そして、日本では、夫婦別姓が認められていないので、夫婦の姓は同一である必要があります。そこで、結婚するときには、夫か妻の姓に揃えます。どちらに揃えなければいけないということもありませんが、伝統的に「夫の姓」に揃えることが多いです。だから、離婚の際、「妻の姓」が問題になるのであり、「夫の姓」はあまり問題になりません。夫は結婚しても姓が変わらないので、離婚後も当然同じ姓を名乗り続けるためです。もし、結婚時に妻の姓に揃えたら、夫が婚姻中の姓を名乗るのか、旧姓に戻るのかという同じ問題が発生します。

2-2.戸籍の基本知識

日本には「戸籍制度」があります。これは、国民を家族(親子)単位で把握して、役所で管理するための制度です。戸籍には「筆頭者」があり、その下に配偶者や子どもが表記されていて、日本人であれば、全員どこかの戸籍に入っています。赤ちゃんが生まれたら、親や関係者が役所に「出生届」を提出します。これにより、その子は親(多くは父親)の「戸籍」に入り、その後一生どこかの戸籍に入り続けることになります。結婚や離婚、転籍によって入っている戸籍は変わりますが、戸籍自身がなくなることはありません。

そして、結婚をするときには、戸籍が変わります。結婚するとき、苗字を変えない方の配偶者(通常は夫)が筆頭者となり、苗字を変える方の配偶者(通常は妻)が夫の戸籍に入る形になります。子どもが生まれたら、子どもも同じ戸籍(夫を筆頭者とする家族の戸籍)に入ります。子どもの出生届を提出するとともに、子どもの戸籍が追加されるのです。

このように、婚姻中は、「夫、妻、子ども」がみんな「夫の姓」を名乗っていて、1つの「夫を筆頭者とした戸籍」に入っている状態になっています。

3.離婚したら、妻の姓はどうなる?

さて、婚姻中は夫の姓に揃えていても、離婚したら夫婦の姓を一致させる必要がありません。この場合、妻の姓はどうなるのでしょうか?当然に、実家の姓に戻ることになるのかが問題です。

3-1.原則は、旧姓に戻る

原則としては、妻(婚姻によって姓を変更した人)は、婚姻前の姓に戻ります。このことを、「復氏」と言います。ただ、婚姻中の姓を引き続き使うこともできます。このことを、「婚姻続称」と言います。つまり、離婚をするとき、妻は旧姓に戻ることもできますし、婚姻中の姓を引き続き名乗ることもでき、どちらかを選べるのです。

なお、婚姻によって姓が変わらなかった人(多くは夫)は、離婚後も当然そのまま同じ姓を名乗り続けることになり、姓を選ぶことはできません。つまり、夫が離婚後いきなり妻の旧姓を名乗り始めることはできないということです。当然ですね。

3-2.婚姻続称する方法

結婚をするとき、妻は運転免許証や銀行預貯金通帳などの表記を夫の姓に変えているので、離婚によってすべて元に戻さないといけないとなると、非常に面倒だと感じることも多いです。そこで、婚姻続称をしたい場合、どのような手続きをしたら良いのでしょうか?そのためには、2つの方法があります。

離婚届け時に婚姻続称を希望する

1つは、離婚届けを提出するときに、婚姻時の姓を引き続き名乗ることを選ぶ方法です。協議離婚用の離婚届には、婚姻続称をするかどうかが選べる欄があるので、その欄をチェックして離婚届を出せば、引き続き婚姻時の姓を使うことができます。

離婚後に改めて婚姻続称の届出をする

もう1つの方法は、離婚後に役所に届け出る方法です。離婚時には婚姻続称を希望せず復氏してしまった場合でも、その後気が変わって婚姻続称をしたいときには、役所にその旨の届出をしたら、婚姻中の姓にしてもらうことができるのです。この場合の届出先の役所は、本籍地のある役所か、自分が住民票を置いている市町村の役所です。

婚姻続称の届出期間

離婚後に婚姻続称の届出をするとき、期間制限があることに注意が必要です。具体的には、離婚後3ヶ月以内に、役所に届出をしなければなりません。この期間は、たとえ災害などが起こって役所に行くことが困難であったとしても延長してもらうことができないものです。当然「知らなかった」「忙しかった」などの言い訳は通用しません。

離婚後、「やっぱり婚姻時の姓を使いたい!」と思ったら、早めに役所に行って、婚姻続称の届出を行いましょう。

3-3.期間を過ぎたら、どうしたらいいの?

婚姻続称の届出期間はわずか3ヶ月なので、その間に決められないこともあります。期間を過ぎてしまったら、もはや婚姻時の姓を使うことはできないのでしょうか?

できないということはありませんが、少しハードルが高くなります。期間経過後に姓を変更したいときには、「氏の変更許可申立」という手続きが必要になるためです。氏の変更許可申立とは、家庭裁判所に申し立てをして、苗字を変えてもらう方法です。氏の変更許可申立には、特に期間制限はないので、離婚後いつでも行うことができます。また、これは広く苗字を変更する方法なので、婚姻中の夫の姓に限らず、自分の旧姓とも婚姻時の姓とも違う、全く無関係の姓に変えてもらうことも可能です。

ただ、姓は社会内で生きていくのにとても重要なもので、安定していることも求められますから、自分の希望でいつでもどのような姓にも変えてもらえるというわけにはいきません。氏の変更許可申立が認められるためには、「やむを得ない事情」が必要です。たとえば、長期間その姓を使っていて周囲がみなその姓で呼んでいるとか、今の姓を使うことで不都合が起こっているなどの事情です。

離婚により、実家の姓に戻りたいという場合には、その他の無関係な姓に変えたいという場合よりも「やむを得ない事情」があると認めてもらいやすいので、変更は難しくありません。

氏の変更許可申立の手続き方法

氏の変更許可申立をすることができるのは、戸籍の筆頭者か配偶者、父または母が外国人の人です。離婚後復氏しなかったら自分だけの新戸籍が編成されて、自分が戸籍の筆頭者になるので、この要件を満たします。

そして、家庭裁判所に対し、氏の変更許可申立書を提出します。氏の変更許可申立書の書式は家庭裁判所のウェブページにあるので、利用すると良いでしょう。このとき、収入印紙800円が必要なので、郵便局で購入して申立書に貼付します。

添付資料は、申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)と、苗字の変更が必要であることを証明する資料です。婚氏続称の場合には、婚姻前の戸籍謄本から婚姻中の戸籍謄本、現在の戸籍謄本までのすべての謄本などが必要です。

裁判所で苗字の変更を認めてもらうことができたら、自宅に「審判書」という書類が届きます。ただ、これによっても当然に苗字が変わるわけではありません。審判書が届いてから2週間後、「審判確定証明書」という書類を家庭裁判所から取り寄せる必要があります。そして、審判書と審判確定証明書の両方の書類を役所に持参して、姓の変更の手続きをします。このことにより、ようやく正式に姓の変更が認められることとなります。

4.旧姓に戻るか婚姻続称か、どちらがおすすめ?

このように、離婚時に妻(婚姻時に姓を変えた人)は、旧姓に戻るか婚姻続称するか選ぶことができるのですが、このどちらが良いのでしょうか?迷ってしまう方も多いので、それぞれのメリットとデメリットを確認していきましょう。

4-1.旧姓に戻るメリット

旧姓に戻ると、離婚した相手とは異なる姓になるので、気持ち的にさっぱりします。特に相手との不仲によって離婚したり、熾烈な離婚トラブルとなって相手に対する憎しみがあったり、相手から酷いDVを受けていて思い出したくもないような状態になっていたりしたら、相手とは違う姓にすることによって、新たな人生を踏み出すことに大きなメリットがあります。

また、旧姓に戻ると、自分の実家の家族と同じ姓になるので、元の家族との仲が良い場合には、居心地の良い場所に戻ってきたような安心感を得られることもあります。

4-2.旧姓に戻るデメリット

旧姓に戻ると、とても煩雑で面倒な手続きが多いです。結婚したときを思い出していただいたらわかるのですが、女性は苗字が変更するので、運転免許証やパスポート、年金手帳などの公的書類をはじめとして、銀行預貯金通帳や証書、生命保険証書やクレジットカードの名義、株式の名義など、すべての名前を変更する手続きが必要になって大変面倒だったはずです。「夫は名前が変わらないから、何もしなくてよくて、いいなぁ」と感じた方もいるのではないでしょうか?離婚によって復氏すると、これと全く同じ手続きが必要になると考えると良いです。多大な労力も時間もかかるので、これは大きなデメリットでしょう。

また、旧姓に戻ると、離婚したことが一見して明らかになります。いきなり苗字が変わったら、周囲の人にも「離婚したのかな?」と思われてしまいますし、余計な詮索をされるおそれや偏見を受けるおそれもあります。特に子どもがいる場合、急に名前が変わると、他の子どもや父兄などにいろいろなことを言われたり噂されたりするので、子どもも嫌な気持ちになることもありますし、子どもが「どうして名前が変わるの?」と不審に思うこともあります。このような不都合を考えて、婚姻続称を利用する人もたくさんいます。

4-3.婚姻続称するメリット

婚姻続称をすると、運転免許証や銀行預貯金通帳などの名義変更が不要なので、まったく手間がかかりませんし、周囲に離婚がバレることもありません。

また、旧姓よりも夫の姓が気に入っている場合、それを使い続けることができる点もメリットです。子どもがいる場合には、婚姻続称した方が通りも良く、学校生活を始めとしたいろいろなことが、スムーズに進むでしょう。

離婚時に相手とトラブルにならず、相手を嫌いになっていない場合には、婚姻続称を選択する意味があります。

4-4.婚姻続称するデメリット

婚姻続称のデメリットは、嫌いな相手の名前を名乗り続けないといけないことでしょう。通常、離婚をするときには、何らかの問題があって別れているはずです。相手のことが大好きだけど別れた、ということは少ないです。そんな相手の名前を離婚後も使い続けるのは不快です。特に、相手の実家と不仲で別れた場合、相手の実家の苗字である婚姻時の姓を使うことは、耐えがたい苦痛を伴います。

このようなことから、相手や相手の実家に対する憎しみが強い場合には、婚姻続称はおすすめではありません。

4-5.復氏しないで「通称」を使う方法

相手に対して嫌悪感があるので相手の姓のままになるのは嫌だけれど、会社などで噂をされるのは嫌だから、婚姻中の姓を続けて使いたい、という場合があります。このようなときには、「通称」を利用するのも1つの方法です。通称とは、本名とは異なるニックネームのようなもので、社会内で一般的に通用する名前です。実際には復氏して旧姓に戻っていても、会社では通称を利用することにより、これまで通り婚姻時の姓で呼んでもらうことができます。最近は、通称利用を認めてくれる会社も増えているので、相談してみると良いでしょう。相手が嫌な場合だけではなく、婚姻続称の届けを出すのを忘れて、裁判所で氏の変更をするのも面倒な場合などにも利用できる方法です。

通称を利用する場合、健康保険証や銀行預貯金通帳などの表記は旧姓に戻るので、病院や銀行などで呼出を受ける場合には、旧姓で呼ばれることとなります。また、運転免許証の表示やパスポートなどの表記は実家の姓に戻るので、こうした表記変更の手続きは必要です。

弁護士は、離婚後の姓についても相談に乗ってくれる!

離婚をするとき、復氏するか、それとも婚姻続称するか悩んでしまわれる方がけっこうたくさんいます。そのようなとき、具体的にどのようなメリットやデメリットがあるのかを教えてくれるアドバイザーがいると、大変助かります。

弁護士であれば、たくさんの離婚案件を扱っているので、類似事例などを交えて、離婚後の姓についての相談に乗ってくれます。離婚の手続きそのものだけではなく離婚後のサポートもしてもらえて安心なので、悩み事やわからないことがあったら、どのようなことでも遠慮なく弁護士に聞いてみましょう。

5.離婚後の戸籍はどうなるの?

疑問に思う女性
次に、離婚した後の妻の戸籍がどうなるのかも確認しましょう。婚姻時には、夫を筆頭者とする新しい戸籍が編成されています(夫の姓を選択した場合)。ただ、離婚をすると、妻はその戸籍から抜けます。その後、妻はどこの戸籍に入るのでしょうか?日本では、国民全員がどこかの戸籍に入っている必要があるため、離婚後の妻の戸籍がなくなるということはありません。

この場合、以下の2つの方法があります。

5-1.実家の戸籍に戻る方法

1つ目は、婚姻前の実家の戸籍に戻る方法です。このことを復籍と言います。復氏する場合には、復籍をすることが原則となります。妻は、婚姻時に新しい戸籍を作るとき、元の戸籍に×をつけて出てきているのですが(戸籍が電子化されている場合には、×はつきません)、離婚によって実家の戸籍に戻ると、また自分の父親を筆頭者となる実家の戸籍に子どもとして入ることになります。この方法を選択出来るのは、復氏した場合のみです。戸籍制度では、戸籍内の人(家族)が異なる姓を名乗ることを認められていないからです。

5-2.自分の新戸籍を編成する方法

2つ目は、新しく自分一人の戸籍を作る方法です。その場合、元妻を筆頭者とする一人だけの戸籍が作られます。婚姻続称をする場合には、必ずこちらの方法によって戸籍が編成されます。

本籍地について

新戸籍を編成する際には、本籍地を指定する必要があります。離婚届を提出する際や婚姻続称の届出をするとき、新戸籍の本籍地を記載する欄があるので、届けをするときには、予めどこを本籍地とすべきか考えておく必要があります。

本籍地は、自分の住所地になると思われていることがありますが、実際にはどこでも良いので、日本全国の自分の気に入った番地を定めることができます。たとえば、皇居や京都御所、自分が通っていた大学、ディズニーランド、小笠原諸島などでも良いのです。ただ、遠方にすると、戸籍謄本類を取り寄せたいときに郵送が必要になって非常に面倒です。離島などにすると、取り寄せるのに何日もかかってしまうこともあるので、実用的な側面からの検討もした上で本籍地を定めると良いでしょう。

5-3.実家の戸籍が転籍していた場合

離婚時に復氏すると、基本的には実家の戸籍に戻ることになりますが、実家の戸籍が「転籍」しているケースがあります。転籍とは、本籍地を変更することです。自分が結婚しているうちに、実家の家族が本籍地を移動して、別の戸籍が編成されている場合があるのです。

この場合でも復籍は可能で、復籍すると、転籍後の実家の戸籍に入ることになります。

5-4.実家の戸籍が除籍されている場合

それでは、婚姻中に実家の戸籍が「除籍」されていたら、どのような取扱になるのでしょうか?除籍とは、その中に入っている人がすべていなくなってしまった戸籍のことです。

たとえば、父親とその配偶者、子どもたちが入っている戸籍であっても、子どもたちが全員結婚してその戸籍から出ていき、配偶者も父親も亡くなったら、中にいる人が全員いなくなります。そこで、その戸籍は、除籍されてしまいます。除籍されても、物理的に戸籍が処分されることはなく、役所で保管され続けますし、「除籍謄本」という証明書も取得することができるのですが、いったん除籍された戸籍内に戻る、ということはできません。

そこで、自分が結婚している間に親も亡くなって他の兄弟も亡くなったり結婚したりして実家の戸籍が「除籍」されたら、たとえ復氏しても、実家の戸籍に戻ることはありません。この場合には、自分を筆頭者とする新戸籍が編成されます。姓は旧姓に戻るけれども、戸籍は自分一人のものになる、ということです。

5-5.復氏をしても、新戸籍を作ることができる

離婚の際、復氏をすると実家の戸籍に戻るのが原則なのですが、その場合でも、新戸籍を作ることは可能です。

この場合には、婚姻前の姓(実家の姓)で、自分を筆頭者とした自分一人の戸籍が編成されることとなります。このように、名字を婚姻前のものに戻す「復氏」と、戸籍を実家に戻す「復籍」は、必ずしも一致しないので、注意しましょう。

5-6.姓と戸籍のまとめ

以上、姓と戸籍の関係について、わかりにくいのでまとめてみました。

戸籍
婚姻前の姓を名乗る(復氏する)場合 l 原則として実家の戸籍に戻る(復籍する)

l 新戸籍を編成することも可能

l 実家の戸籍が除籍されていたら、必ず新戸籍を編成する

婚姻続称する場合 必ず新戸籍を編成する

6.新戸籍と実家の戸籍に戻る方法は、どちらがおすすめ?

離婚時に新戸籍を編成する方法と復籍する方法は、どちらがおすすめなのでしょうか?以下で、そのメリットとデメリットを確認しましょう。

6-1.実家の戸籍に戻るメリット

実家の戸籍に戻ると、元々の家族と同じ戸籍に入っているということで、安心感と実家の家族への親近感が得られます。

また、戸籍謄本を取得するときに便利です。戸籍謄本は、その戸籍に入っている人であれば誰でも取得することができるので、必要なとき、家族に頼んで取得してもらうことができるからです。戸籍謄本を取りに行く時間がとれない場合や郵送による取得手続きが面倒な場合でも、親に頼んで送ってもらうことなどができます。

6-2.実家の戸籍に戻るデメリット

実家の戸籍に戻ると、その戸籍に何度も出入りしていることが一見して明らかになります。

実家の戸籍には、まず結婚したときに、結婚したこととその日付が記載されます。電子化される前の戸籍の場合、そこに×がつけられます。その後、復籍によって元に戻ったら、再度戸籍に入った日付と戻ってきた事実が記載されます。このように、離婚して復籍すると、戸籍謄本に×がついた状態となるので、離婚した人を「バツイチ」と言っているのです。離婚を2回して2回復籍したら×が2個つくので、「バツニ」と言います。結婚や離婚をするときに「戸籍を汚す」などと言うのも、このことによります。電子化された戸籍の場合には×はつかず、結婚と離婚やその日付が記載されるだけですが、その場合でも、戸籍を見たら、その人は結婚と離婚を繰り返している(離婚経験がある)ことが一見してわかります。

すると、再婚するときに、相手によっては偏見を持たれることがあります。特に、再婚相手には、離婚経験があることを秘密にしている場合、戸籍を見られることによってバレてしまうので、注意が必要です。このことは、実家の戸籍に戻るデメリットと言えるでしょう。

6-3.新戸籍を編成するメリット

新戸籍を編成すると、自分だけの新しい戸籍ができますが、これは、今までの履歴もなくまっさらな状態なので、見ても「離婚歴がある」ことがわかりません。そこで、再婚する際をはじめとして、その他の戸籍謄本が必要なときに、戸籍謄本を人に見られて偏見を持たれるおそれはありませんし、再婚相手に離婚を隠しているときにも、バレずに済みます。

また、新戸籍編成時には本籍地を自由に定めることができるので、自分の気に入った場所を設定することができます。離婚によって一から再スタートを切りたい場合、お気に入りの場所を本籍地と定めてまっさらな戸籍を作ることにより、気分一新して前向きな気持ちになることができます。

6-4.新戸籍を編成するデメリット

新戸籍を編成すると、その戸籍内に入っているのが自分一人なので、誰かに戸籍謄本を取得してもらうことができません。そこで、必ず自分で役所に行くか、郵送で取得手続きをしなければなりません。遠方に本籍地を定めてしまった場合には、最寄りの役所や市民サービスセンターで取得することができないので、必ず郵送費用と時間をかけて取り寄せをしないといけなくなります。戸籍謄本を取得するときには、郵便局で「定額小為替」という特殊な支払い用の為替を購入して、運転免許証などの本人確認書類を同封し、返信用の切手を入れて、戸籍謄本申請用の書類を入れて郵送しないといけないので、かなり面倒です。

6-5.新戸籍を編成したら、元の戸籍には戻れない

復籍するか新戸籍を編成するかについて、もう1つ判断材料にできることがあります。それは、いったん復籍すると、元の実家の戸籍に戻ることはできないことです。

離婚時に、実家の戸籍に戻ることを選択して復籍したら、その後「やっぱり自分だけの戸籍がほしい」と思ったとき、役所に申請をして新戸籍を編成してもらうことができます。

これに対し、離婚時に復籍をせずに新戸籍を作ってしまったら、その後「やっぱり実家の戸籍に戻りたい」と思っても、もはや復籍することはできないのです。そこで、迷ったときにはとりあえず復籍しておくのも1つの方法となります。

6-6.戸籍附票について

実家の戸籍に戻るのと、自分一人の戸籍を作るのとでは「戸籍附票」にも大きな違いが発生します。戸籍附票とは、戸籍ごとに作られている付属の書類のことで、ここにはその戸籍に入っている人の住所の履歴が載っています。掲載されるのは、その人がその戸籍に入っている期間の履歴で、単なる居所ではなく住民票上の住所です。

実家の戸籍に戻った場合には、家族全員の戸籍の附票をとることができます。たとえば、実家の親兄弟の附票をとって住民票の場所を調べることができますし、反対に、自分の住民票の場所も、家族に調べられてしまうことになります。

これに対し、新戸籍を編成した場合には、実家の家族の戸籍附票をとることはできないので、家族が行方不明のとき、自分が調べることはできません。反対に、自分が家族と音信普通にしているとき、家族が戸籍附票をとることによって自分の居場所を調べられることもありません。復籍するか新戸籍を編成するか迷ったとき、こういったことも判断の資料にすることができます。

離婚後の戸籍でわからないことがあったら、弁護士に聞いてみよう!

戸籍は、普通に日常生活を送る上ではあまり関わってくることはないのですが、思わぬ場面で必要になります。再婚をするときには必須ですが、それ以外にも、国家試験を受けるときや専門職に登録をするときなどにも必要なケースがあります。

そのとき、実家の戸籍に入っているのか自分だけの新戸籍を作っているのかで、見た目も取得手続きも全く違ってきます。そこで、離婚の際の戸籍の問題は意外と重要です。自分でどのようにしたらよいかわからない場合や判断に迷ったとき、そもそも戸籍がどういうものなのかよくわからない場合などには、法律のプロである弁護士に相談すると役に立ちます。離婚後の戸籍問題で知りたいことがあるなら、弁護士の無料相談を申し込んでみましょう。

7.離婚後の子どもの姓は、元のまま!?

子ども選ぶ

次に、離婚後の子どもの姓がどうなるのかも確認しておきましょう。

夫婦に子どもがいるときには、母親が親権者になることも多いです。そして、母親(妻)は、離婚によって復氏するのが原則です。そうしたら、母親が親権者になっている以上、子どもの姓も当然に母親の旧姓になるのでしょうか?

世間ではそのように思われていることもあるのですが、実際にはそうなっていないので注意が必要です。子どもの姓は、夫婦の婚姻時の姓と同じになります。婚姻時に夫の姓を名乗っていたなら、離婚後も子どもの姓は夫の姓です。妻が離婚によって復氏しても子どもの姓は変わらないので、親権者として同居している母親と子どもの姓が違う、という妙な状態になってしまいます。

7-1.子どもの姓を変える方法は?

「離婚して自分が親権者になったのに、子どもだけは夫の姓のままというのは納得ができない!」という方も多いでしょう。子どもの姓を、自分の姓に揃える方法はないのでしょうか?

このときには、「子の氏の変更許可申立」という手続きを利用します。子の氏の変更許可申立は子どもの姓を変更してもらうための手続きです。基本的な方法は先に妻の姓を変更する手続きとして紹介した「氏の変更申し立て」と同じですが、子どもの姓についての手続きなので、「子の氏」と言っています。

ただ、一般的な大人の氏の変更申し立ての場合には、変更をするための「やむを得ない事情」が必要ですが、子の氏の変更申し立ての場合には、この要件は緩くなります。親と未成熟の子どもの姓が違う場合には、それだけで社会生活での支障があると考えられるため、その他に特に事情説明がなくても、親と同じ苗字に変えてもらいやすいです。特に子どもが小さく母親と同居している場合などには、原則的に氏の変更を認めてもらえると考えると良いです。

7-2.子の氏の変更申し立てをする方法

子の氏の変更申し立てをする方法を確認しましょう。

子の氏の変更許可申立の申立人は基本的に子どもなのですが、子どもの年齢によって取扱が異なります。子どもが15歳以上の場合には、子どもが単独で申し立てをすることができるのですが、15歳未満の場合には、親が法定代理人として申し立てを行うためです。そこで、氏の変更許可申立書の書き方も、子どもが15歳以上か未満かで異なります。15歳以上の場合には子どもだけを記載すれば足りますが、15歳未満の場合、法定代理人の欄に記入をして、法定代理人が署名押印をしなければなりません。

申立先の家庭裁判所は、子どもの住所地の家庭裁判所です。費用は収入印紙800円なので、申立書に貼付して提出しましょう。添付書類は、申立人である子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)と、父や母の戸籍謄本(全部事項証明書)が必要です。このとき、離婚の記載がある戸籍謄本が必要なので、離婚後に転籍をしている場合には、転籍前のものが必要になります。

子の氏の変更が認められたら、自宅宛に裁判所から審判書が届きます。2週間立つと確定するので、確定証明書を取得して、審判書と一緒に役所に持参して、子どもの姓を変更してもらう手続きをしましょう。これによって、ようやく子どもと親権者の姓を一致させることができます。

8.子どもの戸籍はどうなるの?

離婚後の子どもの戸籍も問題です。離婚して元妻である母親が親権者になっても、子どもの戸籍は当然には母親と同じにはならないからです。離婚後の子どもの戸籍は、婚姻時の夫婦の戸籍に残ったままになります。つまり、別れた夫の戸籍に入ったままになるということです。離婚して妻が親権者になっても、妻は元の戸籍を出ることになるため、子どもと妻の戸籍は別々になります。

このことは、妻が婚姻続称をした場合も同じです。妻が婚姻続称を選んで夫や子どもと同じ姓を名乗っていても、戸籍だけは妻が別、という状態になります。この場合、母親と子どもの「苗字」が同じになるので、「戸籍」だけが別になっているということに気づきにくく、特に注意が必要です。気づかないため何の対処もせず、離婚後の長年、子どもの戸籍が母親と別になっている例も多いです。

8-1.子どもの戸籍が夫の戸籍に入っているとどんな問題があるのか?

子どもの戸籍が元夫(父親)の戸籍に入っていると、具体的にどのような問題があるのでしょうか?

日常生活においては特に問題は起こりにくいです。そもそも戸籍が必要な機会がありませんし、必要なときにも、法定代理人として子どもの戸籍謄本を取ることができます。ただ、婚姻時の戸籍の本籍地が、離婚後の住所から遠い場所にある場合には、いちいち本籍地の役所に郵送で戸籍の取得申請をしなければならないので、面倒です。

また、子どもの戸籍が元夫の戸籍に入っていると、元夫は子どもの戸籍の附票を取得することができます。戸籍の附票には、その人の住所の履歴が載っているので、元夫は子どもの住所を調べて知ることができます。離婚後、元々の配偶者は他人になりますから、お互いの住民票や戸籍謄本を取得することができないのですが、子どもが相手の戸籍に入っていたら、子どもの住所を調べることにより、妻の住所地も知られてしまうのです。夫と不仲で離婚した場合や現在の住所地を知られたくない場合には、こうした可能性があることは大きなデメリットとなるでしょう。

8-2.子どもの戸籍が夫の戸籍に入っているメリットはある?

それでは、子どもの戸籍が夫の戸籍に入っていることにメリットはあるのでしょうか?

これについても、戸籍の附票が関係します。子どもが元夫の戸籍に入っているとき、母親は子どもの戸籍や戸籍の附票をとることができます。そして、同じ戸籍内に入っている元夫の戸籍や戸籍の附票も取得することが可能です。このことで、元夫の住所変更の履歴や現住所を知ることができることになります。

たとえば、元夫が養育費を払わなくなって逃げてしまったとき、戸籍の附票をとることによって現住所地を知ることができますし、離婚後に元夫に対して財産分与請求や慰謝料請求をするときにも、夫の新しい住所地がわかるので、請求手続きをしやすくなります。

このように、子どもの戸籍を夫の戸籍内に残しておくと、夫からこちらの住所を調べられてしまうリスクがある代わりに、こちらも夫の住所を調べることができるというメリットがあります。

8-3.子どもの戸籍を自分の戸籍に入れたい場合の方法は?

子どもの戸籍が離婚前の夫の戸籍に入ったままだと気持ちが悪いし、自分が親権者なのだから自分の戸籍に入れたいという方も多いでしょう。どのような方法で、子どもと親権者(母親)の戸籍を同一にすることができるのでしょうか?

まずは新戸籍を作ろう

この場合、まずは母親(元妻)が新戸籍を編成する必要があります。戸籍制度では、親子までしか同じ戸籍に入ることができず、孫を入れた三世代の戸籍は認められていないためです。実家の戸籍に戻って復籍している場合、自分は実家の父親を筆頭者とする戸籍に入っていますが、このままでは、孫の世代になる子どもをその戸籍に入れることはできません。

そこで、復籍しているなら、まずは自分だけの新戸籍を編成してもらいましょう。姓は、実家の姓のままで(婚姻続称しなくても)、戸籍だけ新しく作ってもらうことができます。

子の氏の変更許可申立をする

その上で、家庭裁判所に対し「子の氏の変更申し立て」を行います。これは、子どもの姓を変更するためにとったのと同じ方法です。ただ、姓の変更の場合には、子どもと母親の姓が異なることが前提でしたが、戸籍を揃えたい場合には、母親と子どもの姓が同じ場合もあります。母親が婚姻続称している場合には、母親も父親も子どもも全員同じ姓になっていても、母親と子どもの戸籍は異なる、という状態になるためです。

この場合、子の氏の変更許可の申立書には、「申立人の氏(甲野)を、母の氏(甲野)に変更することの許可を求める」というように、「変更」と言いながら内容は同じという奇妙な状態になってしまいます。「間違っているのでは?」と不安になるかもしれませんが、それで合っているので、気にせずにそのまま提出すると良いです。

費用や必要書類、その後の手続きなどは、姓を変更したいときの子の氏の変更申し立てとまったく同じです。

9.子の氏の変更をすると、どんな戸籍ができるの?

子の氏の変更申し立てをすると、戸籍がどのような形になるのかを確認しましょう。

この場合、母親(親権者)を筆頭者とする戸籍に子どもが入っている状態となります。子どもが1人なら戸籍の中の人は2人(母と子)ですし、子どもが2人なら戸籍内の人は3(母と子ども2人)人です。母親と子どもの姓は、必ず一致しています。

また、元夫とは戸籍が別なので、元夫は子どもの戸籍附票を取り寄せてこちらの住所を調べることはできなくなりますし、こちらが元夫の戸籍附票を取り寄せて元夫の住所を調べることもできません。元夫とは完全に決別することができます。

10.子の氏の変更は、いつまででも可能?

離婚して子どもの親権者になっても、自分と子どもの戸籍が別になっていることに気づかないまま長期間が経過してしまうことがあります。その場合、離婚後何ヶ月、何年が経過していても、子の氏の変更許可申し立てをして、子どもの戸籍を変えてもらうことができるのでしょうか?子の氏の変更許可申し立てに期限があるのかが問題です。

10-1.変更の必要性が問題になる可能性がある

まず、申し立て自体に期限はありません。離婚後いつでも申し立てをして、氏の変更を許可してもらうことができます。ただし、離婚後数年などの長期間が経過していると、氏の変更の必要性を疑問視されるおそれがあります。そこで、「なぜ今更変更が必要なのか」ということになるのです。すると、今まで申し立てをしなかった理由や、今になって氏の変更をしなければならない必要性について、説明をしなければなりません。「単に親と子どもの姓が違うから」というだけでは変更が認められなくなる可能性もあります。

また、子どもの年齢が15歳未満の場合、母親が親権者として子の氏の変更申し立てを代行しますが、子どもの年齢が15歳以上になると、子どもが単独で申し立てをすることができるようになります。このことにより、申立書の作成方法が若干変わることにも注意が必要です。

10-2.子どもが成人したらどうなるの?

子どもが成人した場合でも、「子の氏の変更許可申立」は可能です。ただ、この場合、氏の変更の許可要件が、さらに厳しくなります。それは、成人が氏を変更する場合、借金から逃げたり犯罪を隠したりするためにこの手続きを利用することがあるためです。単に「親と子どもの姓が違うから」というだけでは説明が足りず、変更許可申し立ての動機や今まで申し立てをしなかった理由、このたびあえて変更したいと考えている理由や必要性などを詳しく説明出来ないと、認めてもらえない可能性があります。

そこで、子の氏の変更許可申し立てをするなら、離婚後早い時期に行っておくことをお勧めします。自分では手続きの方法がわからない場合や、離婚後時間が経ちすぎて裁判所に氏の変更を認めてもらえるかが不安な場合には、弁護士に相談をして、手続きを代行してもらうと安心です。

離婚後の姓と戸籍のことで悩んだら、弁護士に相談しよう!

離婚というと、財産分与や慰謝料、親権や養育費などの離婚条件の方に関心が向かいがちですが、実は離婚後の姓や戸籍の問題も大切です。姓(苗字)は生活する上での基本ですし、日本では戸籍制度が完全に整備されているため、自分や子どもが生きていく中で戸籍が関わってくることを避けることはできないからです。また、子どもが相手の戸籍に入っている限り、離婚しても完全に相手と関係を断つことはできません。戸籍の附票をとられたら、住所という重要なプライバシーを他人になった元夫に暴かれてしまうことにもなります。

ただ、戸籍は日常的な問題ではないため、適切に対処する方法がわからないことも多いです。自分と子どもの戸籍が別々になっていることに気づかないまま長期間が経過してしまう人もいます。

「離婚後、もう何年も経過しているから、子の氏の変更許可は認められない」と思って諦めてしまうこともあるかもしれません。

そんなときには、まずは弁護士に相談をしてみましょう。弁護士なら、裁判所に上手に理由を説明して、氏の変更を認めてもらえるように手続きを進めてくれます。無料相談サービスを受けられる法律事務所もたくさんあるので、離婚後の姓や戸籍の問題で悩んだら、できるだけ早めにそうした弁護士事務所に申込みをしましょう。

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