離婚を一方的に切り出された!どう対応すべき?

離婚

愛する夫・妻から、何の前触れもなく一方的に離婚を切り出された場合、どんな人でも大きなショックを受け、心は波立つもの。

しかし、感情に任せて相手をなじったり、売り言葉に買い言葉で即座に離婚に応じてしまうのは、少し待って下さい。離婚に応じる/応じないに関わらず、ここは冷静に対処したほうが、最終的にはより自分に有利な結果につながるからです。

本記事では、離婚を一方的に切り出された場合の対処法についてご説明します。きちんと対処法を知ることで、自分にとって納得できる解決を勝ち取りましょう。

離婚を一方的に切り出された場合、離婚届不受理申出書を提出しよう

相手から一方的に離婚を切り出された場合、相手の言い分を聞いて落ち着いて話し合うことが大切ですが、相手が離婚を急いでいたり、話し合いを持つこと自体を煩わしいと思っている場合、話し合う前に相手が勝手に離婚届を出してしまわないとも限りません。

離婚届は、記入ミスなどがなく形式さえ整っていれば、役所に受理されてしまいます。

「自分には離婚の意思がないのに、相手が勝手に離婚届を提出した!」として離婚が無効である旨を主張することもできますが、そのためには家庭裁判所に協議離婚無効確認調停を起こす必要があり、大変な労力をかけねばなりません。

しかし、離婚届不受理申出書というものがあります。この離婚届不受理申出書を市区町村の役所に提出すれば、自分の意思に基づかない離婚届が役所に受理されることを防げます。

こうすることで、「相手にいつ離婚届を提出されるかもしれない」という不安から開放され、落ち着いて離婚の話し合いをすることが可能となります。

離婚を一方的に切り出した相手の言い分を聞こう

相手が離婚したい理由は何?

離婚届不受理申出書を出し、落ち着いて話し合いを持つ余裕ができたら、離婚を一方的に切り出した相手の言い分を聞きましょう。

相手が離婚したい理由は、一体、何でしょうか?

性格の不一致

よくある原因の一つには、「性格の不一致」が挙げられます。しかし「性格の不一致」は、内容としてとても漠然としています。

具体的に自分のどういうところが気になっているのか、相手からしっかり聞き出しましょう。「子育てや親の介護についての価値観が違う」など、大きな理由があるのかも知れません。あるいは、「掃除の仕方が気に入らない」、「服を脱ぎ散らかして片付けない」など、生活のこまごました問題が積み重なったことが理由かもしれません。

しかし、一度は将来を誓いあった夫婦です。感情的にならず話し合い、お互いが譲歩して価値観のすり合わせや行動を改善することで、「性格の不一致」と呼ばれるものを解決できるかもしれません。

他に好きな人ができた

「他に好きな人ができた」、これもよくある原因の一つですが、どう考えても相手に非があります。しかし、感情的になって相手を攻めるのはぐっとこらえて下さい。

例えば相手は、「夫婦間の会話が減ったから、寂しくて、他に好きな人ができた」、と言うかもしれません。しかし夫婦間の会話が減ったのであれば、それを改善する工夫をすることも可能ですし、一度は好きあって結婚した夫婦です。

他の人に目が行っても、かつて配偶者を愛していたことは事実ですので、当時の気持ちを思い出してもらえるよう、夫婦で落ち着いて話し合うのも一つの方法です。

冷静に相手の気持ちを受け止めよう

上記では、代表的な離婚理由2つについて触れましたが、理由がその他のものであっても、まずは冷静に相手の気持ちを受け止め話し合うべき、というのは一緒です。

一番良くないのは、感情的になって相手をなじることです。これでは、冷静な話し合いはできません。夫婦関係を円満に保つためには、とにかく落ち着いて話し合い、そのうえでお互いに歩み寄っていくことが大切です。

一方的に離婚することはできる?

相手の言い分を聞きじっくり話し合っても、相手の離婚の意思が変わらなかった場合、相手からの一方的な都合で離婚することはできるのでしょうか?

その答えは、離婚の形式によって違います。

日本では主な離婚形式として、「協議離婚」、「調停離婚」、「裁判離婚」の3つがありますが、このうちの「協議離婚」および「調停離婚」では、夫婦の合意なく片方の一方的な都合で離婚することはできません。しかし「裁判離婚」では、一定の条件を満たせば夫婦の合意がなくても離婚することができます。

以下で、それぞれの離婚形式について見ていきましょう。

協議離婚:夫婦の合意なく一方的に離婚することはできない

協議離婚とは、離婚の条件を夫婦で話し合い合意ができれば、あとは市区町村の役所に離婚届を提出するだけで離婚が成立します。離婚する夫婦の実に9割が、この協議離婚を選択しています。

調停離婚:夫婦の合意なく一方的に離婚することはできない

調停離婚とは、協議離婚での話し合いが不調に終わり、離婚の合意ができなかったときなどに家庭裁判所に申し立て離婚を成立させる方法です。正式には、夫婦関係調整調停と言い、調停委員が夫婦双方の意見を聞いて離婚について話し合い、条件面も含めて合意ができれば離婚となります。

裁判離婚:一定の条件を満たせば、夫婦の合意がなくても離婚できる

裁判離婚とは、調停を経ても夫婦間で話し合いがまとまらなかったときに、家庭裁判所に裁判を起こして、慰謝料や財産分与、親権などの条件面も含めた離婚の可否について裁判官に判決をもらい、離婚することを言います(離婚の裁判は、調停を経てからでないと起こすことができません)。

判決には強制力がありますが、裁判官が判決を出す前に夫婦双方が譲歩して和解する場合もあります。この際には判決ではなく和解調書と呼ばれるものが作られ、これにも判決と同じ効力があります。

裁判離婚が協議離婚や調停離婚と大きく違うのは、離婚できる理由が、法律で決められた5つに限られる点です。

裁判離婚では、離婚理由が

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないこと
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があること

のいずれかに該当しなければ離婚することができません。下記に簡単に内容を記します。

①不貞行為

不貞行為とは、配偶者があるにも関わらず、配偶者以外と性的関係を持ち夫婦関係を破たんにいたらせることを指します。ただし、性的関係のないプラトニックな関係や単にデートをしただけといった場合は除外されます。

②悪意の遺棄

悪意の遺棄とは、正当な理由がないにも関わらず、同居、協力、扶助義務を果たさないことを言います。例えば、収入があるにも関わらず生活費を一切渡さないなどが挙げられます。

③3年以上の生死不明

3年以上の生死不明とは、相手が生きているか死んでいるかわからないことを言います。この場合は、調停を経ずに離婚の裁判を起こすことが可能です。

④強度の精神病に罹り、回復の見込みがないこと

強度の精神病に罹り、回復の見込みがないこととは、配偶者が夫婦生活を維持するための協力や扶助ができないほどの強度の精神病にかかり、今後回復する見込みがないことを言います。

その他婚姻を継続しがたい重大な事由があること

その他婚姻を継続しがたい重大な事由があることとは、ケースバイケースで幅広い解釈が可能ですが、具体例としてはDVや過度の宗教活動、犯罪を繰り返すことなどが挙げられ、婚姻関係が破たん状態にあることを指します。

一方的に切り出された場合でも、自分に有利な解決をしよう

これまで、離婚の仕組みについて見てきました。相手から一方的に離婚を切り出された場合、まずは離婚届不受理申出書を出して、相手が勝手に離婚届を出すことを防ぎ、夫婦で落ち着いて話し合う時間を持ちましょう。相手の言い分を聞き、お互いが譲歩できるのであれば離婚を回避できます。

それでも話し合いがまとまらなかった場合は、自分が離婚に応じるか応じないかで、その後の対策は変わってきます。

離婚に応じる場合

離婚に応じる場合、慰謝料・財産分与・子どもの親権など離婚の条件を決める必要性があります。何も取り決めをせずに離婚してしまうと、自分にとって不利な状況につながりかねません。

例えば、慰謝料についてです。

前記の「相手が離婚したい理由は何?」の項目で、「他に好きな人ができた」というものを挙げましたが、この中身が「配偶者以外と性的関係を持った」ということであれば、相手が婚姻関係を破たんさせ離婚原因を作っていますので、慰謝料請求も可能となります。

離婚に応じない場合

離婚に応じない場合には、極力、相手との別居を避けましょう。

なぜならば、婚姻関係を破たんさせ離婚原因を作った配偶者(有責配偶者と言います)からの離婚請求であっても、

  1. 夫婦の別居が両当事者の年齢および同居期間との対比において相当長期に及んでいる
  2. 夫婦の間に未成熟(18歳程度まで)の子が存在しない
  3. 相手方配偶者が離婚により精神的、社会的、経済的に極めて過酷な状況に置かれない

などの要件を満たせば、裁判において離婚が認められてしまう場合があるからです。

また、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停」を申し立てましょう。これは、「調停離婚」でも取り上げた申立てではありますが、必ずしも離婚を前提としたものだけではなく、夫婦関係を円満にするためにも存在するのです。

この調停では、調停委員という第三者を介して、夫婦関係を円満に維持するための話し合いをします。夫婦二人だけではなく冷静な第三者を交えることで、離婚を回避できる可能性があります。

離婚を一方的に切り出されたら、弁護士に相談を!

離婚を一方的に切り出された場合、離婚の仕組みを正しく知って自分に有利な解決を目指そう、というのが本記事の趣旨でしたが、いかがでしたでしょうか?

離婚は応じるにせよ応じないにせよ、複雑な話し合い・手続きを必要とします。離婚を一方的に切り出されただけでも精神的なダメージが深いのに、複雑な話し合い・手続きも考える必要があるとなると、より一層気分が滅入ってしまうかもしれません。

それでも調停や裁判では、申立書や陳述書などを作成せねばなりませんし、協議離婚においても、自分の権利を守るためには離婚条件を書面化し、離婚協議書を作成すべきです。これらの作成には、いずれも専門的な知識が必要で、素人には作成が困難です。

そこで本記事では、離婚を専門とする弁護士に相談することをオススメします。離婚を専門とする弁護士は、相談者が心から傷ついていることを理解しつつ、丁寧に離婚問題について説明してくれます。

夫婦の問題を誰かに相談するのは勇気が要ることかもしれませんが、弁護士という心強い味方を得て、自分にとって有利な解決を目指しましょう!

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