結婚相手が重度の精神病、そのとき離婚は成立するか?

強度の精神病結婚相手が回復の見込みのない強度の精神病にかかってしまった場合、果たして離婚は認められるのでしょうか?これは非常に複雑なテーマです。なぜなら、「結婚生活を営めない」という生活面の問題と、「配偶者を見捨てる」という倫理面の問題をはらんでいるからです。

このような場合には、精神病による離婚が認められる

【その1】回復の見込みがなく、離婚後に相手が生活を営める場合

結婚相手が強度の精神病にかかっていて、症状が重く回復の見込みがない場合は、「夫婦が互いの“協力義務”を十分に果たし得ない」という理由から、離婚が認められるケースがあります。ただし、この場合には下記のようなさまざまな要素を加味して決断がなされます。

離婚を求める人が、結婚相手に誠意のある介護をしてきたかどうか?

夫婦はもともと、「健康な時も病気の時も、共に助け合うべきもの」という裁判所の大前提があります。そのため、もしも結婚相手が精神疾患にかかったとしても、お互いに助け合うべきという基本スタンスは変わらないのです。

しかし、著しく精神疾患の状態が悪く、今後の結婚生活を営むにあたって支障をきたす場合は、「これまでに離婚を求める人が、どれだけ夫婦として努力をしたか。誠意ある介護をしてきたか」という事実が求められることになります。

結婚相手の療養や介護において、具体的な方策があるか?

結婚相手の精神疾患を理由に離婚を望む場合には、離婚後にその結婚相手を見捨ててしまうような状況はけっして許されません。そのため、離婚後にどのような治療を受けられるかどうか、日常生活の面倒をみてくれる人がいるかどうかが、大きな焦点となります。

たとえば痴呆症の結婚相手が全額公費負担の老人ホームに入所している場合などは、この点においてはクリアしているといえるでしょう。

夫婦としての精神的なつながりは、まったくないのか?

たとえ精神疾患であっても、離婚を求める人のことを結婚相手が認知していて、つながりを求めるような場合には、離婚は認められません。パートナーとの心の交流がまったくないような、重い精神障害であれば、離婚を認められる可能性があります。

精神病の治療が長期にわたっているか?

たとえ回復の見込みがない精神疾患だったとしても、「先月から病気が発症した」というような短い期間では、離婚は認めらません。精神病の治療が長期にわたっていることが、離婚が認められる条件のひとつとなります。

【その2】回復の可能性はあるが、離婚せざるを得ない重大な理由がある場合

精神疾患が回復しないと断言はできないけれど、結婚生活をどうしても続けられない重大な理由がある場合には、離婚が成立する可能性もあります。

法律的には「婚姻を継続しがたい重大な事由」と表現しますが、ある意味どうとでも解釈できそうな言葉です。たとえば結婚相手が薬物中毒などの場合は、回復の見込みがないといえ、結婚生活に支障をきたす可能性が否定できません。そのことを「重大な事由」として訴訟を提起することも可能です。しかし、回復の見込みがない精神疾患の場合と違って、立証するのは簡単ではないでしょう。

離婚原因として認められる精神病・認められない精神病

離婚原因として認められる可能性が高い精神病

統合失調症や早期性痴呆・麻痺性痴呆・躁鬱病・偏執病・初老期精神病・認知症・アルツハイマー病・重度の身体障害などは、離婚原因として認められる可能性が高い精神病です。

こうした症状を離婚の理由として挙げるには、専門医の意見や診断書が必要です。その際は、これまでの治療経過や入退院の回数・期間につて説明する必要もあります。

離婚原因として認められにくい精神病

アルコール中毒や薬物中毒・ヒステリー・劇物中毒・ノイローゼなどは、離婚原因とは認められにくい精神病です。

「アルコール中毒が離婚原因として認められないなんて」と思う人もいるかもしれません。確かに、昼間からお酒を飲んで酔っているアルコール中毒患者と一緒に暮らすことは、パートナーにとっては耐え難いはずです。

しかし、裁判所が重視するのは「夫婦は互いに協力し合い扶助しなければならない」という規定です。本人の力だけではなかなか完治できないアルコール中毒を、配偶者として支えていくべきだとする考え方なのです。一度は契りを交わしたパートナーとして、完治に向けて一緒に歩んでいくのが、夫婦としてのあり方だということでしょう。

このように、精神疾患を理由に離婚を行うには、さまざまな難しい問題があります。まずは離婚に詳しい弁護士への相談からスタートするのが、賢明な方法といえます。

精神病による離婚が認められたケース

昭和33年 最高裁判決

妻が精神病となり、回復の見込みがない状態で、夫から離婚の請求がありました。夫の経済状態はけっして豊かではなく、妻の実家が療養生活を送るにあたって面倒をみられるだけの経済的な能力があることから、離婚が認められました。

昭和58年 高裁判決

てんかんと精神薄弱を患い、入院して回復の見込みがない妻の治療に積極的に協力していた夫が、10年に及ぶ生活に疲れ切って離婚を申し出ました。裁判所では妻の病気が回復の見込みがなく、夫婦の義務を果たせないほど痴呆化していることを踏まえ、離婚を認めました。

夫は、離婚後に妻が生活保護を受けて、療養生活が続けられるように手配。離婚後も妻にできるだけ面会に行くと約束するなど、誠意を見せました。こうした誠意ある態度は、離婚を認める上でのプラス要因となります。

平成2年 地裁判決

アルツハイマー病となった妻が痴呆状態となり、夫が妻に対して離婚を申し出ました。病状は回復の見込みがない強度の精神病とは認められないものの、長期間にわたって夫婦の協力義務が果たせていないこと、婚姻関係が破綻していることが明らかなことから、離婚が認められました。

精神病による離婚が認められなかったケース

平成3年 高裁判決

妻が難病を患い、日常生活に支障をきたす状態に陥りました。しかし、病状は強度の精神病とはいえず、妻と夫・子どもの間では精神的な交流を行うこともできました。さらに、夫は妻の治療費や生活費を援助していないという事実があり、離婚は認められませんでした。

精神病の配偶者を持つ夫婦の状況は、どれひとつとしてまったく同じものはありません。離婚の請求をしても、その時の裁判官や検事・弁護士の判断によってもまた、結果は異なります。「同じような状況だから離婚が通る」というものではなく、参考として見ていただければと思います。

判断能力がない場合は、成年後見人を選出

精神疾患を患っている人との離婚を申し出た場合は、被告に判断能力がない場合がほとんどです。そのような場合は、家庭裁判所に成年後見人を選出してもらい、離婚の申し出をした人はその後見人に対して訴訟を起こす形をとります。成年後見人に選ばれるのは、主に親兄弟です。

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