離婚協議で必ず話し合うべき【5つのポイント】

話合い

夫婦が合意のうえで決める“離婚協議”は、第三者が介入しないために、話し合うべき項目がいくつか漏れてしまうことがあります。「あらためて話し合おうと思ったら、元夫と連絡が取れない」などということが無いように、しっかりと項目をチェックして話し合いに臨みましょう!

<離婚協議①>財産分与をどうするか?

離婚協議前に二人の共有財産をすべてリストアップする

離婚の話し合いの中で、最も忘れやすい項目のひとつが「財産分与」です。住宅や車といった大物はさすがに気づきますが、貴金属や生命保険・家具などの細かい内容は、離婚のどさくさに紛れて忘れてしまいがちです。どちらかが今までの住宅に住み続ける場合は、家具などは自然とその人が使い続けることも多いのですが、家を売って引っ越すとなると「自分がもらう」「いや私が」ともめるケースもあるので注意しましょう。

二人の共有財産はすべてリストアップし、ひとつずつ誰がもらうかを確認するのがベストの方法です。婚姻中に築いた共有財産は、折半にするのが基本です。夫婦の共有財産として考えられるのは、下記のような項目です。

プラスの財産

  • 住宅
  • 土地などの不動産
  • 自動車
  • 貴金属
  • 家具
  • 退職金
  • 年金
  • 満期保険金
  • 婚姻費用(別居していた場合)
  • 第三者名義または法人名義の財産、営業用の財産(夫婦で事業をしていた場合)

マイナスの財産

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • 消費者金融からの借り入れなど

<離婚協議②>慰謝料をいくらにするか?

相手から精神的苦痛を受けていた場合は、離婚協議後に慰謝料が受け取れる

不倫やDVなど、相手から精神的苦痛を受けていた場合は、「慰謝料」を請求することができます。たとえ「今まで主婦として働いてきたので、これからきちんとした就職先なんてとても見つからないから、慰謝料がほしい」と主張しても、それは通用しません。慰謝料は、あくまで相手に謝るという意味で払うお金です。

ただし、たとえば「夫が離婚をしたがっているが、このままですんなりと離婚なんて、とても承諾できない」と離婚をしぶっているような場合は、「解決金」という形で支払われるケースもあります。解決金は、離婚を認めない相手を納得させる“最後の切り札”のようなものです。

また、「ずっと主婦をしてきたから、このまま離婚をしても、まともな生活は営めない」というような場合には、「扶養的財産分与」という形でお金が支払われることもあります。これは離婚後に相手が経済的に自立できるまで、一定期間扶養を補助するために支払われるもので、養育費のように毎月定額が支払われます。

<離婚協議③>子どもの親権をどちらが取るか?

離婚協議をしても子どもの親権は母親が取る場合が多い

夫婦の間に未成年の子どもがいる場合は、親権者を決める必要があります。親権者とは子どもの衣食住の世話や躾・教育を行ったり、子どもの財産を管理したり、さまざまな契約を代行したりする人のこと。子どもの衣食住の世話は、普通は母親が行うため、母親が親権者になるケースが8割以上を占めています。

ただし、子どもが15歳以上の場合は、子どもの意思も尊重されます。15歳以下であっても、自分の意思を伝えられる年齢の場合は、確認する場合もあります。もしも母親が子どもの世話をせずに遊び歩いていたり、ヒステリックに叱ってばかりいた場合は、父親が親権を取った方が良いこともあるでしょう。以前に比べて、父親が親権者に指定されるケースは増えてきました。

どちらが親権を取るかは、必ず話し合っておく

子どもの親権をどちらが取るかは、離婚の話し合いの際に必ず決めておかなければなりません。もしも妻が親権を要求しても、夫が「自分が育てたい」と言ってきた場合は、非常に問題が難しくなります。調停や裁判にもつれ込むケースも多く、覚悟して臨む必要があるでしょう。

子どもが複数いるなら「長男は母親、次男は父親が親権を取る」というケースもありますが、調停や裁判になった場合には、親権を勝ち取るのはほとんど母親です。

<離婚協議④>子どもの養育費をどうするか?

子どもの養育は、離婚をしても二人の親の責任

子どもの養育は、たとえ親同士が離婚したとしても、二人の親が担う責任があります。離婚をして妻が子どもを引き取ったとしても、子どもを養育する責任は、父親にも課せられているのです。

そのため、夫婦の間に子どもがいる場合は、養育費の話し合いをする必要があります。養育費は毎月決められた額を支払うことになりますが、「いつまで支払うか」「いくら支払うか」「どうやって支払うか」を、細かく決めておくことが大切です。

養育費は支払われなくなるケースが非常に多い

養育費の内容は、衣食住に必要な経費・教育費・医療費・最小限度の文化費・娯楽費・交通費などです。これらに必要な金額を、相手が支払える範囲内でもらうというのが、一般的な決め方です。養育費の支払い期間に関しては、子どもが経済的に自立するまでが、ひとつの目安になるでしょう。ほとんどの若者が大学に進学することを考えると、大学卒業までの支払いを交渉するのがベストといえます。

ただし、この養育費に関しては、非常に怖い現実もあります。離婚をした人の実に半数以上が、離婚後に養育費を支払っていないのです。特に相手が再婚して子どもが生まれた場合などは、かつて一緒に住んでいた子どもへの愛情も薄れ、できるだけお金を払いたくないという姿勢に徹することも少なくありません。気持ちの変化に対しては、やむ負えない部分もあるかもしれませんが、実際に養育している人にしてみたらたまったものではありません。また、離婚当初は養育費を支払うだけの能力があった人でも、さまざまな事情で支払えない状況に追い込まれるケースもあります。

このような事態を考えて、養育費を定額で継続して支払うのではなく、一括で支払うという約束をする人もいます。養育費は原則定額払いなのですが、現実を考えた場合、その方が間違いないのかもしれません。

<離婚協議⑤>面会交流を認めるか?

子どもと会う権利は、離れて暮らす親にもある。しかし…

離婚後はどちらかが子ども引き取り、どちらかが子どもと離れて暮らすことになりますが、子どもと離れて暮らす親にも面会をする権利はあります。たとえば「月に1回は、家の近くのレストランで子どもと食事をする」など、面会交流について具体的に話し合いましょう。

しかし、ここで問題になるのが、相手から精神的な苦痛を受けて離婚をするケースです。「もう顔も見たくない」という状況で離婚をする場合、親権者となった側が、「子どもに会わせたくない」という強い想いを持つのも無理はないでしょう。そのことに相手が同意してくれれば問題ありませんが、「親なのだから会いたい」と言われた場合、話は複雑になります。

当事者同士で話がまとまらない場合は、第三者を介すことに

面会交流だけでなく、夫婦二人の話し合いでもめるような事態になった場合は、もう当事者同士で話をまとめることは難しいと思った方が賢明です。すぐに調停に入ることを望まないなら、まずは弁護士に相談して、弁護士と相手とが話し合う機会を持つという方法もあります。当事者同士ではどうしても感情的になりがちですが、第三者が入ることで気持ちに整理がつき、話がまとまるケースもあります。

それでも協議離婚が成立しない場合は、離婚調停・離婚裁判へと進むことになります。極力そこまで進まずに済むように、お互いの妥協点を見極めながら、離婚の話し合いを進めることが大切です。

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