離婚裁判とは?弁護士に依頼すべき理由と費用について解説

夫婦喧嘩

離婚裁判は、当事者が自分ですすめるのは非常に難しいです。裁判手続きでは、法的に適切な方法で主張と立証をしないといけませんが、自分で手続きすると、有利な判決を得ることは期待しにくいです。弁護士に依頼すると、依頼者はほとんど裁判所に行く必要もなく、弁護士が適切に手続きを進めて有利な判決を勝ち取ってくれるので安心です。弁護士費用以上のメリットがあるので、是非とも弁護士に依頼しましょう。

離婚裁判が起こるまでの流れ

協議離婚ができない場合には調停になる

夫婦が離婚をするときには、多くのケースで協議離婚が利用されています。協議離婚とは、夫婦が自分達で話しあって離婚方法を決める手続きです。日本では、離婚する夫婦の9割以上が協議離婚の方法で離婚をしています。しかし、中には話合いで離婚できないケースもあります。相手が離婚に応じてくれない場合もありますし、離婚条件に合意ができないケースもあります。

このように、協議離婚ができない場合には、家庭裁判所で離婚調停を行うことにより、離婚の話し合いをすすめないといけません。離婚調停では家庭裁判所の調停委員が間に入って話合いを仲介してくれますが、調停も話合いの手続きなので、当時者に結論を強制することができません。そこで、調停ではお互いが合意できなければ、結局離婚することができず、調停は不成立になって終わってしまいます。

調停が不成立になると離婚訴訟になる

調停が不成立になると、離婚訴訟をしないと離婚することができません。離婚訴訟は、裁判手続きなので、当事者の主張内容と立証方法にもとづいて、裁判官が離婚について、判決によって決定をしてくれます。このように、離婚訴訟をすることにより、当事者に合意ができない場合であっても離婚問題を解決できます。

つまり、夫婦が離婚する場合には、まずは協議離婚の話合いをしますが、それが無理なら離婚調停をして、それでも無理なら離婚裁判をして離婚をする、という3段階の流れになるのが基本です。

離婚裁判と協議離婚や調停離婚との違い

話合いか、裁判所が決定するかの違い

次に、離婚裁判と協議離婚や調停離婚との違いを見てみましょう。もっとも大きな違いは、話合いの手続きか裁判所が決定する手続きかという違いです。協議離婚や調停離婚は当事者同士の話し合いによる手続きなので、当事者が両方とも合意しないと問題を解決することができません。これに対し、離婚裁判の場合には、話合いではなく裁判所が決定してしまう手続きなので、当事者が合意しなくても裁判所が強制的に解決方法を決めてしまいます。

離婚条件を自由に決められるかどうか

また、協議離婚や調停離婚では、解決内容を当事者が自由に決めることができます。たとえば、慰謝料や養育費については、相場にとらわれず自由に金額を設定することができますし、特にどちらが悪いというわけではなくても(有責性がなくても)解決金を支払う約束ができます。財産分与の割合も2分の1にこだわらず、自由な割合で分け合うことができます。また、慰謝料などの支払い方法も、一括払いではなく分割払いにすることなどもできます。ケースによって柔軟な解決方法ができるということです。

これに対し、離婚訴訟では法律に従った硬直的な解決方法しかとることができません。
たとえば、慰謝料や養育費を定めるときには法的な相場に従った金額になりますし、有責性がないなら慰謝料や解決金などの金銭支払いが発生することはありません。また、財産分与の割合は必ず2分の1ずつになりますし、慰謝料や財産分与の支払い方法は一括払いになります。

手続きが簡単か難しいか

さらに、協議離婚や調停離婚は手続きが簡単なので、当事者同士が自分たちで取り組むこと容易ですし、失敗も少ないですが、離婚裁判は複雑で専門的な手続きなので、弁護士なしで取り組むことは非常に難しいです。離婚裁判では、主張内容も法的に整理しないといけませんし、証拠の提出方法にも決まりがあり、どのような証拠をどのタイミングで提出するかなどの判断も必要になるからです。

以上のように、離婚訴訟とその他の離婚手続きには、大きな違いがあります。離婚訴訟をするときには、弁護士に依頼する必要性が高いです。

離婚訴訟が必要になるケース

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相手が話合いに応じないケース

それでは、具体的に離婚裁判が必要になるのはどのようなケースなのか、見てみましょう。まずは、相手が話合いに応じてくれないケースです。たとえば、相手に離婚話を持ちかけても無視されてしまうこともありますし、「離婚はしない」と言われてしまうこともあります。このような場合、調停をしても相手の態度が変わらない限り、離婚訴訟をしないと問題を解決できません。

相手と離婚条件が合わないケース

また、離婚の話し合い自体はできても、離婚条件に合意ができないことがあります。たとえば、相手が不貞をしているので慰謝料を請求したところ、こちらとしては300万円支払ってほしいけれども相手は「30万円しか支払わない」と言っているような場合です。子どもの親権を双方の親が望んでいる場合にも、合意ができません。このような場合、離婚調停をしても合意ができなければ、やはり離婚裁判が必要になります。

DVやモラハラなどのケース

さらに、DVやモラハラなどの事案でも離婚裁判が必要になることがよくあります。これらの事案では協議離婚が難しいのでいきなり調停から始まることが多いですが、調停に来ないこともありますし、調停に来ても、「妻が悪いから教育をしているだけだ」などと言って話にならないことも多いです。そこで、調停が不成立になって離婚訴訟になってしまいます。

相手が不倫を認めないケース

相手が不倫を否定しているときにもよく離婚訴訟が起こります。配偶者が不倫していると思っているけれども相手がしらを切って一切認めず、慰謝料も支払わない場合です。この場合も、調停では合意ができず、裁判で白黒つけよう、ということになってしまいがちです。

以上のように、話合いで解決できない事例はいくつかのパターンがありますが、このようなケースの多くにおいて、離婚裁判が必要になるので、憶えておくと良いでしょう。

いきなり離婚裁判できないのか?

夫婦が離婚問題を抱えているとき、「すぐに裁判をしたい」と希望する人が結構多いです。相手と何度か折衝してみたけれどもまったく話にならないので、調停をしても無駄だと思っているからです。離婚したいときには、通常早く終わらせて次に進みたいと考えますが、調停をすると、それだけでも3ヶ月程度はかかってしまい、非常に無駄になるので、調停を飛ばして離婚訴訟をしたいと考えるのです。

しかし、基本的に離婚調停を飛ばしていきなり離婚調停をすることはできません。

日本では「調停前置主義」という制度が選択されていて、離婚訴訟前には必ず離婚調停をしないといけないことになっているからです。相手が外国にいて行方不明になっているような特殊なケースをのぞいて、通常のケースでは離婚調停なしに離婚裁判をすることはできません。面倒でも、いったん離婚調停のステップを踏まないといけないので、覚えておきましょう。

離婚調停にかかる弁護士費用を節約したい場合には、調停だけは自分でおこなって、不成立になってから弁護士に依頼する方法をとると効果的です。

離婚訴訟の管轄裁判所

離婚訴訟を起こすときには、どこの裁判所を利用するのかも問題です。この点、離婚調停の場合には、相手方の居住地の家庭裁判所になります。そこで、相手と別居して相手が遠方に居住している場合には、遠くの裁判所で調停を行う必要があり、調停期日に出頭する度に高額な交通費がかかって1日仕事になるため、かなり負担がかかります。

これに対し、離婚訴訟は当事者のどちらかの住所地の家庭裁判所で手続きができます。つまり、離婚訴訟の場合には、自分の居住地の近くの家庭裁判所を利用できると言うことです。また、離婚訴訟を弁護士に依頼していると、期日のたびに本人が出頭する必要はないので、本人は非常に楽になります。

相手が遠方に住んでいる場合には、負担の重い離婚調停はさっさと終わらせて早期に自宅近くで離婚訴訟を起こすことがメリットにつながるケースがあります。

離婚裁判で決めてもらえることは?

それでは、実際に離婚訴訟を起こすと、どのようなことを決めてもらえるのでしょうか?離婚訴訟での審理の内容を確認しましょう。

離婚するかしないかを決める

離婚訴訟では、まず、夫婦が離婚すべきかしないべきかを決めます。離婚原因があれば離婚を認めますし、離婚原因がなければ離婚を認めません。そこで、法律上の離婚原因が内場合には、離婚が認められないことになります。協議離婚や調停離婚なら明確な離婚原因がなくてもお互いの合意で離婚できますが、離婚訴訟の場合には、離婚原因がなければ離婚できないので、注意が必要です。

ただ、夫婦が双方とも離婚を望んでいる場合には、通常「夫婦関係が破綻している」とされて、離婚が認められることが普通です。

子供の親権者を決める

次に、子供の親権者を決めてもらうことができます。裁判所が子供の親権者を判断する場合には、子どもの生活状況や子どもとそれぞれの親の関係性、親の生活状況や経済状況、健康状態や今後予想される子どもとの関わり方、面会交流についての考え方などを総合的に考慮して判断します。

財産分与や慰謝料を決める

さらに、財産分与の内容や分け方を判断してくれます。
不倫などの有責性が問題になっている場合には、その事実認定と慰謝料の算定をしてくれて、必要があれば支払い命令も出してもらうことができます。

面会交流や年金分割も決めることができる

申立があると、離婚後の親子の面会交流や、年金分割についても決定してもらえます。

以上のように、離婚裁判をすると、離婚に関連するあらゆる問題を一気に決定してもらえるので、非常に効果的に離婚問題を解決することができます。

離婚訴訟の申立方法と費用

次に、離婚訴訟の申立方法とかかる費用をご説明します。

訴状を作る

離婚訴訟を申し立てるときには、訴状を準備しないといけません。訴状とは、自分の希望する決定内容と、それを求める理由を法的にまとめた書類のことです。離婚裁判の場合には、離婚したいこととその他の希望条件を書き入れます。たとえば、子どもの親権を認めてほしいことや、慰謝料支払い命令を出してほしいことなどを書きます。

その理由も詳細に書く必要があります

このとき、法的に整理して書かないといけないので、注意が必要です。いくら細かいことを書いても、それが法的に意味をなさないものであれば、評価してもらうことはできません。素人が効果的な訴状を作成するのは難しいので、弁護士に作成を依頼することをおすすめします。

証拠を揃える

提訴時に提出したい証拠がある場合には、訴状に添付して一緒に裁判所に提出します。訴状や証拠については、正本と副本が必要なので、それぞれ同じものが2部必要になります。副本(1通)は、被告(相手)に送られることになります。

戸籍謄本、年金分割情報通知書を用意する

また、離婚訴訟を提起する場合には、戸籍謄本が必要です。年金分割を申し立てる場合には、社会保険事務所から年金分割情報通知書を取得して、一緒に提出する必要もあります。

離婚訴訟にかかる費用

離婚訴訟を申し立てる際には、裁判所に印紙代を支払わないといけません、基本的には13000分になりますが、財産分与や養育費などを請求する場合には、1200円ずつ加算されます。また、慰謝料を請求する場合には、その金額によって印紙代が上がります。

たとえば、300万円の慰謝料を請求する場合であれば印紙代は20000円になりますし、500万円の慰謝料を請求する場合であれば、印紙代は30000円となります。さらに、5000円~6000円程度の予納郵便切手も必要です。切手については、各地の家庭裁判所で必要な金額や内訳が異なるので、個別に確認する必要があります。

このように、訴状と証拠、添付書類と収入印紙、切手をまとめて提出したら、離婚訴訟の申立ができます。申立は、家庭裁判所に直接行って書類を提出してもかまいませんし、郵送で送ることもできます。

離婚裁判の進み方

判決

離婚訴訟を提起したら、その後、手続きがどのように進んでいくのかを見てみましょう。

第一回口頭弁論期日が開かれる

まずは、第一回の口頭弁論期日が指定されます。裁判所から「口頭弁論期日呼出状」が届きます。弁護士に依頼している場合には、弁護士と裁判所が調整して期日を決めるので、弁護士から決まった期日を教えてもらうことができます。

相手には、「口頭弁論期日の呼出状」と「答弁書の催告状」が送られます。答弁書とは、訴状に対する反論書のことですが、これを提出しないと相手はこちらの言い分をすべて認めた扱いになってしまうので、通常は相手は答弁書を出してきます。そして、離婚訴訟を自分ですすめると不利になるので、相手も弁護士を立てることが多いです。

このようにして第一回期日が開かれます。このとき、弁護士に依頼していたら弁護士だけが出頭すれば良いので、依頼者は裁判所に行く必要はありません。ただ、出頭したければ出頭することもできます。相手が弁護士に依頼している場合には、相手自身は来ないことが多いです。

主張と立証の期日が数回繰り返される

第一回口頭弁論期日では、お互いがそれまでに提出した訴状や証拠書類、答弁書などの内容を簡単に確認して、次回の予定を決めてすぐに終わってしまいます。ものの5分10分出終わるので、当事者は拍子抜けしてしまうこともよくあります。そして、「次回までに反論をするように」と言う宿題が出て次回期日の日にちを入れて、その日は終わります。このように、主張と反論を繰り返す期日が、月に1回くらい繰り返されます。どの期日もだいたい5分か10分くらいで終わります。

尋問が行われる

当事者の主張と立証内容がだいたい出そろってきたら、尋問の手続きが行われます。尋問では、当事者に対する質問が行われるので、当事者は必ず出頭しなければなりません。相手も必ず来ます。

尋問はどのようにして行われるのか?

尋問が行われるときには、まずは自分の弁護士から順番に質問が行われます。それが終わったら、相手の弁護士から反対質問が行われます。それが終了したら、裁判官から質問が行われます。だいたい一人について1時間くらい、尋問が行われます。尋問の手続きは、テレビなどでよく見かける法廷ドラマの証人尋問などによく似ています。

ただ、意見を聞く手続きではなく事実を確認するための手続きなので、自分の好きなことを話し続けるのではなく、弁護士から聞かれた内容について、順番に答えていきましょう。

尋問というと、構えてしまう人が多いですが、事前に自分の弁護士としっかり打ち合わせをしてから臨むのでそれほど恐れる必要はありません。裁判において自分がどのような主張をしているのかを頭に入れて、矛盾のないように話をすれば良いのです。相手の弁護士に引きずられて余計なことを言わないように注意しましょう。

尋問が終わったら判決が下される

離婚裁判で尋問手続きが終わったら、最終的に主張をまとめた書面を提出して、離婚裁判は結審します。すると、だいたい1~2ヶ月くらい経って判決が下されます。判決には、離婚するかしないかや、慰謝料、財産分与、親権者や養育費など、当事者が決定を求めた内容についての判断が記載されています。当事者は、不服があったら判決受取後14日以内に高等裁判所に控訴することができます。特に控訴がなければ判決が確定して、離婚ができます。

離婚判決によって離婚をする場合には、判決書と確定証明書をもって役所に行き、離婚届けを提出すれば手続きできます。このときに必要な確定証明書は、弁護士が裁判所から取り寄せてくれます。

離婚裁判の「和解」とは?

和解とは?

離婚裁判には、「和解」という手続きがあります。和解とは、裁判の途中で当事者が話しあいによって問題を解決してしまうことです。たとえば、親権争いが激しいために離婚裁判になったケースにおいて、裁判の途中で、どちらかが親権を相手に譲る気持ちになったら、和解によって離婚ができます。相手が離婚を拒絶していた場合には離婚を受け入れてくれたら和解できますし、慰謝料支払金額について合意ができなかった場合には、お互いが譲り合って金額に合意ができたら和解離婚ができます。

和解は離婚裁判中、いつでもできる

和解は、離婚裁判のどの段階でもすすめることができます。たとえば、離婚訴訟を提起した直後でも当事者が「やっぱり話合いで離婚しよう」と思ったら和解できますし、離婚訴訟で主張と立証の整理をしている段階でも和解できます。当事者尋問前に和解することもありますし、尋問後、判決が出る前に和解することもあります。

和解離婚のメリット

和解すると、戸籍には「和解離婚」と記載されることになるので、「裁判離婚」より印象が良くなることもあります。また、当事者が自分達で離婚方法を決められるので柔軟な解決方法を実現出来ますし、離婚を早期に行うことができるメリットなどもあります。離婚訴訟内では、裁判官が和解を勧告してくることもよくありますし、和解の話合いは裁判官が間に入って進めてくれるので安心です。離婚裁判中に和解の話が出たら、一度はテーブルについて、話し合いをしてみることをおすすめします。

離婚裁判にかかる期間は?

時計

離婚裁判をすると、長期間がかかるイメージがありますが、実際に離婚裁判にはどのくらいの期間がかかるのでしょうか?

離婚裁判にかかる期間は、事案によってかなり異なります。争点が多い事件や、親権者争いがあって調査官調査が必要になる事件、財産分与の前提としての調査が必要になるような事案では、時間が長くかかりますし、争点が少なく離婚原因があるかないかだけ判断すれば良いような事案では、すぐに終わります。ただ、平均的には、だいたい8ヶ月~10ヶ月程度です。

離婚裁判が早く終わるケース

離婚裁判が早く終わるケースは、争点が少ないケースです。たとえば、原告が離婚を求めていて、被告が離婚を拒絶している場合には、離婚原因を決めるだけで判決ができるので、すぐに事件が終わります。半年もかからずに離婚できることもあります。また、当事者が和解した場合にも早期に離婚ができます。

この場合、3ヶ月程度で離婚裁判が終わることもあります。

離婚裁判が長くかかるケース

離婚裁判が長くかかるケースは、争点が多いケースです。たとえば、親権争いがあると調査官調査が入りますが、それだけで1~2ヶ月くらい期間が延びてしまうので、裁判自体も長くなります。財産分与についての争いがある場合には、相手に隠し財産があるのではないかと疑うので、裁判所から職権調査嘱託という手続きをとることが多いですが、このような嘱託調査をすると、金融機関からの回答を待たないといけません。何度も繰り返していると、かなりの期間が経過してしまいます。

和解がこじれた場合にも期間が長くなります

和解は、早期に合意ができたら早めに裁判を終わらせることができますが、こじれると、何度も和解期日を入れた上、結局和解できない、ということになってしまいます。そうなると、通常の裁判手続きに戻して尋問をして判決をしないといけないので、和解の話合いをしていた期間の分、手続きがのびてしまうのです。このように、離婚裁判が長引いたケースでは、1年や1年半以上かかってしまうことも普通にあります。

離婚裁判を早く終わらせたいなら、ケースに応じて適切に対応して、スムーズに手続きが進むように工夫することが必要です。そのためには、離婚問題に強い弁護士の助けを借りましょう。

そもそも弁護士なしで離婚裁判できるのか?

離婚裁判を行うときには、弁護士に依頼するイメージが強いですが、そもそも弁護士なしで、自分一人で離婚裁判をすることなどできるのでしょうか?この点、弁護士をつけずに離婚裁判をすること自体は可能です。実際に本人訴訟で離婚裁判を起こす人もいますし(原告が本人)、離婚裁判を起こされたときに弁護士をつけずに自分で対応する人もいます(被告が本人)。双方が本人であるケースもあります。

しかし、離婚裁判は法的に専門的な手続きでルールもややこしいので、素人が対応するのは困難です。自分で対応すると不利になる可能性が高いので、弁護士に依頼する人が多いですし、その方が得になります。

離婚裁判を弁護士に依頼するメリット

弁護士

それでは、離婚裁判を弁護士に依頼すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?以下で見てみましょう。

手続きがスムーズに進む

弁護士に離婚裁判を依頼すると、離婚裁判が非常にスムーズに進みます。自分で対応しようとすると、どのような書類を揃えたら良いのかもわかりませんし、書類の提出方法の決まりなどもわかりません。そうなると、いちいち調べないといけませんし、裁判所の書記官に聞きながら手続きしないといけないので、大変な時間のロスになります。弁護士なら手続きに慣れているので、問題なくスムーズにすすめてくれるので、期間を短縮できます。

手続きが有利に進む

弁護士に離婚裁判を依頼すると、有利に訴訟を進めることができます。弁護士はプロなので、いつどのようなタイミングでどのような主張をし、また証拠を提出したら良いかなどの判断を適切に行ってくれます。また、依頼者が有利になるポイントを逃さず法的に主張してくれるので、裁判官に有利に判断してもらえる可能性が高くなります。このような意味で、離婚裁判で有利になりたいなら、離婚問題に長けている専門的な弁護士に依頼することがより効果的です。

間違った判断をしない

離婚裁判を弁護士に依頼すると、自己判断で間違った方向に進むことを防止出来ます。たとえば、相手から反論が出たときや質問が来たとき、自分で対応すると不用意な主張をして墓穴を掘ってしまうことなどがあります。ここで弁護士に依頼していたら、そのようなことは言わない方が良いなど、状況に応じて不利にならないようにアドバイスしてくれるので、思わぬ不利益を受けることがありません。

また、和解の話が出ているときなどにも、受諾して良いのかどうかなどについて適切に意見を出してくれます。こちらが有利な内容になっていたら受け入れるべきと言ってくれますし、相手に有利になっているなら受け入れるべきではないと言ってくれるので、自己判断で不利な条件で和解してしまうことを避けられます。このように、間違った判断をせずに済むことも、離婚訴訟を弁護士に依頼する大きなメリットの1つです。

手間が省ける

離婚裁判を弁護士に依頼すると、非常に手間が省けます。離婚裁判をするときには、訴状や証拠を用意しないといけませんし、それぞれについて全く同じ写しを用意したりなど、膨大な手間がかかります。相手から主張や証拠が提出されたら適切に保管して検討しないといけません。裁判所とのやり取りも頻繁に発生します。このように、離婚訴訟を進めるときには非常に手間がかかります。ここで弁護士に対応を依頼すると、弁護士が全ての手続きを代行してくれるので、依頼者はほとんど何もしなくて良くなり、非常に手間が省けます。

安心感がある

弁護士に離婚裁判を依頼すると、依頼者は大きな安心感を得られます。そもそも離婚問題自身が人間に大きなストレスをかける原因になりますし、一般の人は、裁判を行っているということにもストレスを感じるものです。ここで、離婚訴訟を弁護士に依頼していると、法律のプロが自分の味方になってくれているという安心感が強いですし、面倒で複雑な訴訟手続きも弁護士が適切に進めてくれていると思えるので、ストレスを感じることがありません。裁判手続きは弁護士に任せることができるので、自分は離婚問題に煩わされることなく、日常生活に専念することが可能になります。

以上のように、弁護士に離婚裁判を依頼すると、依頼者にとっては大きなメリットがあります。自分で手続きするよりも得になることは明らかなので、裁判するときには必ず弁護士に依頼しましょう。

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相手に弁護士がついているなら弁護士に依頼すべき?

離婚裁判で相手に弁護士がついているなら、自分も弁護士を依頼すべきでしょうか?

自分に弁護士がいないと、裁判で不利になってしまう!

相手に弁護士がついているときに自分に弁護士がいないと、裁判で非常に不利になります。自分一人では、そもそも裁判所にどのようにして書類を提出して良いかすらわかりません。裁判所に書類を提出するときには、同じものを2部作って、1つに「正本」もう1つに「副本」と書いて、まとめて持っていかないといけません。

主張書面だけではなく証拠も同じです。証拠には「甲第一号証」とか「乙第一号証」などの番号を振る必要もあり、間違っていたら訂正を求められます。いちいち書記官に聞いても迷惑がられます。

また、裁判でどのような主張をすると有利になるのかも、全くわかりません。法律的な仕組みがわかっていないと、何を主張すると有利で何を言うと不利になるのかの判断ができませんし、どのような証拠が有効かなどもまったくわかりません。

自分では効果的な主張をしているつもりでも、てんで的外れになってしまうおそれが高いですし、必要な証拠を提出することもできずに裁判に不利になってしまう可能性もあります。

相手に弁護士がついていたら、必ず弁護士をつけよう!

相手に弁護士がいる場合には、相手はすべて心得ているので、相手の都合の良い主張を展開します。こちらが適切に反論できないままに裁判がどんどん不利になって、最終的に負けてしまう可能性が非常に高くなります。そこで、相手に弁護士がついていたら、必ずこちらにも弁護士を立てるべきです。

離婚裁判でかかる弁護士の費用

お金

それでは、離婚裁判を弁護士に依頼するとどのくらいの費用がかかるのか、説明します。

法律相談料

弁護士に離婚裁判を依頼するときには、まずは法律相談を受ける必要があります。このとき、だいたい30分5000円(+税)の法律相談料がかかります。最近では法律相談料が無料になっている事務所も多いので、そのような事務所を利用すると、法律相談料は不要になります。

着手金

離婚裁判を弁護士に依頼すると、当初に「着手金」という費用が発生します。着手金とは、弁護士に何らかの事件対応を依頼したときに当初に支払う費用のことです。原則的に一括払いとなりますが、分割払いを受け付けてくれる弁護士事務所もあります。離婚裁判の着手金の相場は、だいたい30万円~50万円程度となっています。

報酬金

離婚裁判が終了して問題が解決したら「報酬金」という費用が発生します。報酬金とは、弁護士に事件を依頼して解決したときに、その解決内容に応じてかかってくる費用のことです。離婚裁判の基本的な報酬金は、だいたい30万円~60万円くらいが相場となっています。相手から慰謝料や財産分与などのまとまった金額の支払いを受けたときには、支払いを受けた金額の10%~16%程度の金額が報酬として加算されます。また、子どもの養育費の支払い約束ができたときにも報酬金が加算されることが多く、子どもの親権争いがある事案では、親権をとれたときに報酬金が加算されることが多いです。

また、一審で納得できずに控訴する場合(または相手が控訴した場合)には、控訴審の着手金が別途発生することが普通です。

このように、離婚事件では、報酬体系がわかりにくいことが多いので、依頼する段階で、どういったケースでどのくらいの報酬金が発生するのか、しっかり確認しておくことが大切です。わからなければ、見積書を出してもらうと良いでしょう。

弁護士に依頼して離婚裁判を有利に進めよう

以上のように、離婚裁判をすすめるときには弁護士に依頼することが重要です。離婚裁判では、書類の作成方法や提出方法などが非常に専門的ですし、裁判所に主張内容を認めてもらうためには、自分に有利になるための法的な主張を行い、提出する証拠についても適切に判断する必要などがあるからです。素人が自分で判断すると、知らない間に不適切な対応をして、思わぬ不利益を受けるおそれも高くなります。特に、相手に弁護士がついている場合、自分にだけ弁護士がいないと圧倒的に不利になってしまいます。

弁護士に依頼するとそれなりに費用がかかりますが、離婚裁判の場合、確実に支払った以上のメリットがあります。今、離婚問題をかかえていて今後裁判になりそうだという人や、既に離婚裁判が起こっていて弁護士に依頼しようかどうか迷っている人は、一度早いタイミングで離婚問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。

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