不倫と浮気の違いを法的観点から解説!慰謝料請求は可能?

不倫や浮気はされた方にすれば許せない行為ですが、それぞれの違いを法的観点からご存知の方は少ないと思います。

そこでこのページでは不倫と浮気の違いや慰謝料請求できるケース、注意点などについて解説しますので参考にして下さい。

不倫と浮気の違いは3つのポイントにある

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まず結論から言ってしまうと、実は不倫も浮気も明確な定義や法律的な区分があるわけではありません。

ただ性交渉があるかどうかで不貞行為(不倫)に分類されるので、日本ではそれらを元に浮気と不倫の違いを区別されることが多いです。

よって、一般的には浮気と不倫には次のような違いがあると考えられています。

  1. 独身か既婚か
    独身同士なら浮気、どちらかが結婚していたら不倫
  2. 本気か遊びか
    浮気は遊びの関係が多いが不倫は本気が多い
  3. 肉体関係があるかどうか
    肉体関係がない場合は浮気となる

独身か既婚か

まず不倫と浮気の大きな違いは独身か既婚かという点です。

お互いに独身の恋人同士で、どちらかが交際相手とは別の異性に好意を持ったりデートをしたりする場合は「不倫」とは言いません。

独身同士の場合は基本的に「浮気」になります。一方でどちらかが既婚者の場合、日本では「不倫」と区分されるケースが多いです。

既婚者でも一時的な遊びなら浮気

しかし、既婚者でも一夜限りの遊びの恋などは不倫ではなく浮気と呼ばれることがあります。

この辺りは次の項目でも触れていますが、不貞行為の相手に対して愛情があるかどうかが関係していると言えるでしょう。

本気か遊びか

仮に既婚者でも一夜限りの恋が不倫ではなく浮気と呼ばれるのは、本気の恋ではないからです。

辞書によると浮気とは「ひとつのことに集中できず心が変わりやすいこと」「特定の人に心をひかれやすいこと」などとあります。

仕事や趣味を持ちながら別のことに手を出すことを「浮気した」と言いますが、異性との関係でも同じで軽い感覚で他の異性とつきあうことを「浮気」と言います。

そのことから浮気は遊び感覚でつきあうケースが多いと考えられます。一方、不倫は関係が盛り上がった結果、離婚に至ることも珍しくないです。そのため、不貞行為として裁判などにも発展しやすいです。

既婚者でも風俗嬢や飲み屋のホステスなどと一夜限りの関係を持つ場合は不倫と言わず、浮気と言うケースが多いのはそのためです。

一時的な気の迷いは浮気

飲んだ勢いや同窓会での再開など雰囲気に流されて交際(または関係を持つこと)は不倫ではなく浮気と呼ばれる傾向にあります。

これも遊びや一時的な気の迷いなので、不倫ほどの本気度がないからでしょう。

配偶者を大切に思うかどうか

浮気の場合はあくまでも遊びなので配偶者への愛情が残っており、放っておいても浮気相手と別れることが多いという特徴があります。

しかし不倫は本気なので、配偶者を捨てて(離婚して)でも一緒になりたいと思う傾向があります。つまり、配偶者への愛情が残っていない場合は不倫と呼ばれることが多いのです。

肉体関係があるかどうか

肉体関係がある場合は不倫になりますが、食事やドライブ、映画に行っただけで肉体関係がない場合は不倫とは言いません。

不倫と浮気には明確な定義はありませんが、これらの観点から違いを理解しておくといいでしょう。

なお、慰謝料が請求できる不倫(浮気)は法律用語では「不貞行為」と言い、あくまでも性行為を伴う関係のことを指します。

残念ながら配偶者どんな気持ちを感じようとも、性行為があり不貞行為と断定できる証拠などがない限り、不倫として離婚や慰謝料の請求をすることはできません。

不倫や浮気で慰謝料が請求できるのは既婚者のみ!

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慰謝料を請求できるのは結婚している人が配偶者(婚約中や内縁関係も含む)の浮気(不倫)の場合のみで、配偶者や不倫相手に対して請求できます。

一方、基本的に独身同士の浮気は慰謝料請求できません。

ただし、婚約中や内縁関係なら浮気の慰謝料請求は可能

上で基本的に、と紹介した通り独身でも婚約関係や内縁関係にある場合は相手の浮気に対して慰謝料請求ができます。

婚約関係や内縁関係とは、次のような状態を指します。

婚約関係 ・結納を終えている
・婚約指輪のやりとりをしている
・結婚式場を予約している
・結婚式・披露宴の招待状を発送している
内縁関係 ・長い間一緒に住んでいる
・お互いに婚姻の意思がある
・住民票に夫(未届)・妻(未届)と記載されている
・周囲の人が夫婦だと思っていた

友達に「結婚しようと思っている」と話したり、お互いに「結婚しようね」と口約束をしているだけ、といった場合は婚約関係とはみなされません。

その場合は浮気をされても慰謝料請求はできません。住民票の届け出や婚約指輪のやり取りといった、第三者からみても実質婚約関係にある場合のみ慰謝料請求が可能です。

なぜ既婚者の不倫は慰謝料請求できるのか?

では、なぜ既婚者の不倫は慰謝料請求できるのでしょうか。

その理由は夫婦には「貞操義務がある」ということ、そして民法によって損害賠償を請求できると定められているからです。

貞操義務とは?

貞操とは夫婦が夫(または妻)以外の異性と性交渉を持たない状態のことで、貞操義務とは「夫婦は貞操を守るべき」ということを意味します。

貞操義務そのものは現在では法律で明文化はされていませんが、民法で「不貞行為が離婚事由として認められている」、「重婚(結婚しているのに別の異性とも結婚すること)を禁止している」などから貞操義務はあると考えられています。

このような理由から婚約や内縁関係にある場合でも浮気行為があれば慰謝料の請求ができます。

不貞行為とは?

不貞行為とは、既婚者が配偶者以外の異性と性行為を持つことを指します。配偶者に不貞行為があれば離婚事由として認められ、慰謝料請求もできます。

なお食事やドライブ、映画に行っても性行為がなければ不貞行為とは言えません。

また、慰謝料は離婚しなくても相手の不貞行為によって苦痛を受けたことに対して請求できます。

民法で定められている不倫の慰謝料

不倫の慰謝料に関して、民法では次のように定めています。

民法第709条【不法行為による損害賠償】
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

故意(わざと)または過失(不注意)による不法行為(=不貞行為)で損害が生じた場合、損害を賠償するとあります。

要するには不倫(不貞行為)は貞操義務に反する行為であり、また平穏な結婚生活を侵害する不法行為に該当するので、損害を賠償する必要があるという事です。

さらに下記のように損害の対象は財産以外のもの(精神的な苦痛)も含まれます。

民法第710条【財産以外の損害の賠償】
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

浮気(不倫)の慰謝料を請求する方法

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配偶者が不倫しているかも?と思っても、それだけでは慰謝料請求はできません。

先程も軽く触れましたが、慰謝料を請求するには、相手の不貞行為を示す証拠が必要です。

証拠を用意する

不倫の証拠として認められるのは、主に下記のようなものです。

  • 性行為を持ったと思われるホテルに出入るする写真や動画
  • 性行為の写真や動画(自分たちの行為を記録したスマホの画像なども含む)
  • 性行為があったと思われるホテルの領収書やラブホテルのポイントカードなど
  • 性行為があったことを推測できる電話の録音

なお、メールやLINEは改変ができるので証拠としては弱いと言われています。

相手へのプレゼントの領収書やレストランで食事をしている様子の写真なども、性行為を裏付けるものではないので証拠としては効力を持ちません。

ホテルに出入りしている動画や実際に性行為の様子が収められた動画、ラブホテルの領収書などが証拠としては有力です。

証拠集めは専門家に任せると安心

不倫の証拠を押さえるためには尾行したり、離れた距離から写真撮影したりする必要があります。

こういった行動はバレたりプライバシーの侵害で逆に損害賠償を支払うハメになるなど、かなり危険を伴いますし、技術や高度な撮影機材なども必要になるため探偵に依頼すると安心です。

不倫や浮気の証拠集めを得意とする探偵のサイトはいくつかあるのですが、一箇所だけだと料金の相場が分からない上に適正料金より高額になってしまう可能性もありますので、一括で複数の事務所に見積もりを依頼できるサイトを利用した方が良いでしょう。

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不倫の慰謝料は誰に請求すべき?

不倫は必ず相手が存在します。そのため、不倫の慰謝料は配偶者と不倫相手の双方に請求できます。これを「共同不法行為」と言います。

不倫相手が誰かわからない場合や配偶者だけを責めたいという場合は配偶者のみに請求します。ただ配偶者とは離婚しない場合、慰謝料を請求しても同じ家計の中から出すので意味がないという考え方があり、その場合は不倫相手だけに請求することも可能です。

なお、慰謝料は配偶者と不倫相手の双方から二重取りをすることはできません。例えば、慰謝料が300万円の場合、配偶者に300万円、不倫相手に300万円を請求することはできず、双方から合計で300万円を受け取ることになります。

不倫の慰謝料を請求する際の注意点

不倫の慰謝料を請求する際には次の点に注意が必要です。

  • 不倫したときにすでに夫婦関係が破たんしている場合は請求できない
  • 二重取りはできない
  • 故意または過失ではない場合(不倫相手があなたの配偶者が既婚者であることを知らなかった場合)は請求できない
  • 時効がある

故意または過失ではない場合、つまり浮気相手があなたの配偶者のことを既婚者だとは知らなかった場合は民法第709条に該当しないため、慰謝料請求はできません。

また、慰謝料請求には時効があります。時効は下記の2つのいずれか短い方で計算されます。

  • 不倫関係が始まったときから20年間(除斥期間)
  • 不倫関係を知った日から3年間

すでに不倫関係は終了していてもあなたが夫(または妻)の過去の不倫を最近知ったという場合は、その日から3年以内であれば慰謝料請求ができます。

ただし、相手が確かに不倫(肉体関係にあること)を証明しなければなりません。クレジットカードの明細やラブホテルの領収書など、確たる証拠が必要です。

浮気(不倫)慰謝料の請求は弁護士に依頼すると安心

ここまででご説明してきたように不倫の慰謝料請求には証拠が必要です。また、時効があるため、早くに請求を進めることが大切です。

相手は慰謝料の支払いを避けたいために、「証拠はあるのか」「夫婦関係が破たんしたから浮気をした」などと反論する可能性があります。

こういったやりとりには法律の知識が必要になるため、少しでも有利に進めるためには証拠を集めた上で弁護士に相談するのがおすすめです。

浮気と不倫の違いや慰謝料請求方法まとめ

不倫と浮気の違いは法律的には明確に定義されていませんが、一般的に独身の恋人同士の場合は浮気、どちらかが結婚していたり肉体関係が伴う場合は不倫と区分されます。

また、不倫で慰謝料請求ができるのは基本的に婚姻関係にある場合(婚約や内縁関係も含む)で、なおかつ証拠が存在している場合せす。

証拠集めや慰謝料請求には法律の専門知識が必要になるため、まずは慰謝料に強い弁護士に相談しながら進めましょう。

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